第46話 待機中
放課後になった。
教室で俺は待機している。
相崎であるが授業が終わったらすぐ教室から出ていってしまった。俺と話す気がないということだろう。まあ、こないにしても俺はここにいると言った以上しっかりと残ることはする。
時刻は16:40になっていた。この学校は17:30には学校の校舎を施錠する。それまでに生徒は学校内から出なくてはいけない。ああ、あと50分か。
本当に相崎は来ないつもりなのだろうか。
やっぱり帰ろうかな。
いや、だめだ。しっかりと話すと決めた以上俺は残ることにするんだ。
帰る、残る、帰る、残る。俺はこの2つの選択肢の中で揺れ動いていた。
やっぱり帰ろうかな。いや、だめだ。帰ってはいけない。ここにいると言ったんだ。最低でもこの学校が閉まる直前までこの部屋で待機するのは人間として当然のことだろう。
俺は、覚悟を決める。
しかし、き、きまずいな。
隣の部屋から何か男女の声が聞こえる。……あ、喘ぎ声が聞こえる気がす、する。もしかして学校の中でヤッテないか? 気にしたら負けな気がするが、でも、ちょっと見てみたいという男ならではの誘惑がある。そして、帰りたくてもあまり下手に動くことができない。俺がこの部屋にいることがバレたらなかなか難しいような気がする。
あ、相崎来るなら来てくれよ。でも、来たら俺がいることがバレるのか。どっちにしてもここに俺がいることがバレたくはないな。そんな変な状況へと追い詰められていた。
「はぁー」
ため息が自然と出てしまう。
「帰るか」
時刻は17:25だった。
あと、5分で校舎は施錠される。そろそろ俺も教室を出ないといけない時間だ。
「結局、来なかったな」
俺は教室から出ようと扉に手をかけると、
ガラガラ
俺は手をかけていないのに扉が勝手に開いた。
俺じゃない誰かが扉を開けたのだった。その扉を開けた人物というのが、
「相崎」
「野田君、まだいたの?」
相崎は少し疲れているような、走った後のような表情をしていた。
「相崎こそ、どうして今?」
あと、少しで学校から出ないといけないのに俺らは教室に集まってしまった。
キーンコーンカーンコーン
17:30になり本来出ないといけない時間なのに俺らは話し込むためこっそり教室に残ったのだった。




