第45話 会話中
学校にたどり着いた。
教室に入ると相崎はもうすでに自分の机に座っていた。
誰とも話さず本を読んでいる。
本の内容については、わからない……いや、タイトルが表紙がちょこっと見えたためわかった。『嫌韓論』という本であった。ああ、何となくどんな内容なのかわかってしまった。
相変らずぶれない女だ。
ちなみにその本の内容についてかなり不快感を持っている奴がいた。
それはつい最近転校してきた福島だ。
こっちをいや、相崎をにらんでいる。彼女は相崎が右翼であるのに対してまったく対局の存在に当たる左翼という存在、政治思想を持った女だ。
まったくどうしてこのクラスは右翼がいて左翼がいるんだ。やばいクラスだろ。まったく。
「なあ、相崎。放課後話があるんだがいいか?」
「話? あなたが私とまだ話すようなことなんかあるの?」
「ああ。まだ話残したことがある。だから、放課後にこの教室に残っていてほしい」
「約束はしかねるよ。あなたとはもうどうでもいいしね」
そう言って相崎と俺との会話は途切れた。
相崎め。俺が総裁の返事を断ったことをやはり恨んでいるらしい。まあ、俺自身関わらなくていいというのならそれでもいいが、あの組織が残っていること自体俺にとっては不本意な結果になる。あの組織を片付けることまでが俺の役割なのではないか。
「俺は待っているから」
俺はそう最後に言い自分の机へと戻った。
あとは、放課後を待つのみとなった。
授業は今日一日とても退屈であったがそんなのは些細なことであった。




