第44話 直前事
美咲に対して俺は相崎のことについて話始めた。
「俺は実は過去、つまり中学時代にネトウヨと言われる存在であったんだ」
「ネトウヨってあれだよね? 韓国嫌いとか野党は売国奴とかネット上の掲示板とかで言っている人達だよね」
「そう。そして、親父が国会議員ということもあり政治に関してかなり興味があった俺は政治団体まで作り上げてしまったんだ。最初の内は中学生ということもあり遊び感覚であったんだけどなぜか途中から話が大きくなっちゃってね。それで途中で辞めたんだけどその組織が今も残っていてそこの代表が俺に又代表をやれって話があったんだ。そして、相崎はその団体に参加しているメンバーでもある。だから、相崎と俺がつるんでいることが多いのはこのことで相崎に脅されているというか説得をされているというのがすべてなんだ」
美咲は俺の話に対して黙って聞いていた。
もちろん、学校に行く途中ということもあり俺らは歩きながら話を続けていた。
「……それがすべてなの?」
「ああ、すべてだ」
俺の話を全て聞き終えた美咲が言ったのはその言葉だけであった。
「変な思想を持っていたことに失望した?」
「うんうん、そんなことないよ。ネトウヨとか政治についてのことはまったくわからないけど自分の考えを持っている人というのはすごいって思うよ」
美咲から嫌われはしなかったようだ。
逆にすごいって言われてしまった。
「すごいことか?」
「ええ、すごいよ。私には到底マネできないことだから」
そうまで言われてしまうと照れしまう。ただ、政治活動をしていた後ろめたい自分というのがいたがこれで救われた気がする。
「ありがとう。美咲がそう言ってくれるならありがたい。俺も相崎との関係についてきちんと断らないとな。もうあんな活動はしない。それに俺の今の考え方はあんなネトウヨのようなものではない。きちんと今の自分の政治姿勢について相崎に伝えて見せる」
「うん。きちんと伝えれば相崎さんもわかってくれるはずだよ」
美咲に後押しされた。
あとは、相崎と直接会って話すだけだ。
「ああ、今日は相崎にしっかりと自分の考えを述べてみせる」
俺は、相崎と直接話をすることを決意した。
美咲と話をしている間に学校にたどり着いた。
さあ、今日が勝負の日だ。




