第３５話 恋愛話
学校に着いた。
教室にいつも通り入って行く。２人で入って行くことは別に珍しいことではない。実際にクラスメイトにいつものように思われているみたいで茶化される。
「今日は２人で登校か」
「早く付き合えよ」
男女、俺と美咲の両方の友人からそれぞれ茶化される。いつもであれば俺らは全力で否定するなりする反応をしていた。しかし、今日は俺らにそれをすることができなかった。
「あ、うん」
「そ、そうだね。付き合えか……」
２人していつもと違う反応をしてしまった。しかも、顔を赤く染めていたらしい。
このいつもと違う反応がクラスメイトをわきたてた。
「も、もしかして？」
「これは！」
「いいよいいよ、大ニュースだー」
「いいや、ようやくさやに納まってくれたんだね」
みんなから察されてしまった。
俺らが付き合ったことがいとも簡単にバレてしまった。こんなに簡単にバレるとは思ってもいなかった。
俺からバレるような気がしていたが、まさか美咲もこんなに簡単に反応をしてしまうとは思ってもいなかった。２人してダメだったという訳になる。
「な、何でわかった」
「いや、２人とも反応が分かりやすすぎ」
やっぱり俺らの反応でわかってしまったみたいだ。
「そ、そんなにわかりやすかったの？」
「ええ、そうよ。美咲にしてはかなり表情に出ていたわ。あれならば誰でもわかるわね」
「ちょっと、ショックなんだけどぉ」
美咲がかなりショックを受けていた。
自分がこんなにも簡単にバレるとは思ってもいなかったみたいでショックだったらしい。まあ、確かにそうだと思う。絶対に俺からバレると思っていたし。まさか、美咲がこんなに表情に出るとは思っていなかった。昔からポーカーなど表情にまったくといってもいいほど出さなくて強かったのに意外なところで表情に出てしまったというわけか。
相崎はこのことをどう思うのだろうか。
不思議とそんなことを思い浮かべてしまった。
相崎はこの日教室で見ることはなかった。
欠席らしい。
福島さんがかなり嫌みったらしく休んだことを言っていた。ただ、それは心配しているようにも思えてしまった。
何か不思議にこの休みが風邪じゃないような気が俺はした。どうしてだか分からないがこれは絶対にずる休みだと思った。
放課後探してみようか。
そんなことを思いながら授業を受け、休み時間は美咲とのことをクラスメイトにからかわれ続け、授業を受け、休みにからかわれを数回繰り返し放課後がようやくやってきた。
さあ、探しに行こうか。
まあ、別にあいつのことが気になっているわけでない。さぼりはいけない。注意をするだけだ。
俺はそんな嘘を自分に言い聞かせて町へと向かった。
