第30話 攻防戦
すみません、忙しくて更新できませんでした。こっそり、一番人気のない(自分で言っていて悲しくなってきた)この作品から更新をします。
屋上へと続く階段。
この学校は漫画やアニメみたいな創作物と違って屋上は安全上の理由で解放されていない。屋上へと続く扉をガチャガチャいじっても回しても開くことはない。
だから、この階段にわざわざやってくる生徒というのはいない。
それを狙って俺達はこの階段の場所で話をしていた。
「相崎、話って何なんだ?」
「あの女をどう思う?」
あの女……言い方が最悪だな。
俺はとぼけてみる。
「あの女って誰だ?」
「あの女って言えば、あの女よ。分からないの」
怒られた。
言えばって、あなたの中ではそうかもしれないけど他の人からしてみれば違うかもしれないでしょ、と俺は頭の中で思ったが言葉に出さずぐっと抑え込む。
まあ、だって俺もあの女が誰なのか分かってとぼけているのだし、怒られても仕方ない? 仕方ないのか。まあ、仕方ないとしておこう。うん。ここは、理不尽に耐えておく。
「福島のことか?」
「わかっているじゃない。何でもとぼけた真似をしたの?」
「……」
俺は無言だった。
下手に答えたら何だかまずいような気がしたからだ。俺の中でのとっさの危険予知だった。
俺の無言の答えに対して相崎は「はぁ」とため息をついた。
呆れたのだろうか。
「まったく、私を何だと思っているのよ。変なこと言っても何もしないよ。失礼だと思わないの?」
怒られてしまった。
だが、きつい言い方ではなく俺の扱いに対して納得がいっていないという言い方をした。
「ごめんなさい」
「何でそんなにびくびくしているの。私だって女の子なんだからね」
「……」
「何で、そこで黙るの。野田君、本当に失礼だよ。私が右翼だっていうのがそんなに嫌なんですか?」
「はいっ」
「少しは否定してよっ」
俺の態度、言葉に対して相崎がずっと忙しく怒っているのか、ツッコミを入れているのかわからないぐらい全力で言葉を返してきていてぜぇぜぇ疲れていた。
いや、そんなにつかれるのだったらツッコミするのをやめればいいじゃん。それに右翼っていうのは別に女の子のステータスの1つでは別にないからな。もし、ステータスだとしたら絶対にマイナスのものだから、どうして彼女は俺がいい感情を持つと思ったのだろうか。太だ謎に思われる。
「あはは、ごめんよごめん」
俺は謝っておく。
しかし、相崎は謎だ。
どうして右翼だと自ら明かしてそして俺に近づくんだか。
俺のことが好きとも言った。告白もされた。でも、その本当の狙いというのがいまだに分からない。俺の過去のことを知っていて目星の人間とまで言っていた。
まあ、俺は遊園地での件で怒ってしまい、告白をあやふやにしてしまったんだよな。今、相崎を俺はきちんと振ったっていう状況になっているのだろうか。相崎はそのあと普通に俺に接してくるし、あの時俺に関わるなって言わなかったっけ?
自分でもどうなっているのかよくわかっていないというのが現状だ。
何で、こんな今の状況と全く関係ないことを俺が考えているってそれは……
ち、ちかい。
相崎が俺に対してかなり接近しているからだ。
「野田君、ねえ、野田君。福島に何かしちゃおうよお」
「福島さんな。まだ、出会ったばっかの人なんだから呼び捨てはいけません」
言葉は落ち着かせているが心臓はバクバクしている。
だから、顔が近い。近い。
何で、会話するのにそんなに近づける必要があるんだよ。
「むぅ、何もしてきてくれないの」
わざとだったみたいだ。
俺が、落ち着いていると思ったのだろう、顔を遠ざける。
「あーあ、もっと動揺して欲しかったなあ」
いや、内心はかなり動揺していましたよ、とか本当のことを言わない。
言ったら絶対に弱みを見せることになる。
「ねえねえ、福島……さん、ムカつかない?」
えっと、何、その女子同士のギスギスとした会話みたいのを俺に対してしてくるの。困るんだけど。
いや、困るよ。
「え、ええっと、男子の俺からしたらノーコメントで」
「ふぅーん、いいんだ。ノーコメントって。政治家としてそれをマスコミに対してやったら支持率下がっちゃうよ。感じ悪いって言われて」
「いや、俺は政治家じゃないから。それを相崎に言われたくないね」
「政治家の息子でしょ」
「そうだけど……私はお父さんとは違うんです」
「それって元総理のマネ?」
「うるさい」
元ネタをいうのはさすがにまずいから少し変えて言ったのに、相崎にはどうしてすぐF元総理のマネってバレるんだよ。
それにしても、相崎……
俺は一つ大きなことを思っていた。
相崎の制服のスカートからチラリと白いパンツが見えていた。しかも、これあえて俺に見せつけている感じだった。
絶対に相崎は狙っている。
俺はこれを完全にスルーしなくてはいけない。そんな気がしていた。
「ねえ、野田君。私に協力してよ」
「いやだ」
「ねえねえ」
「いやって言ったらいやだ」
「ねえねえ、私のパンツ見たでしょ」
「し、知らない」
「えー、怪しいなあ。こんなに見えるようにしてあげたのに。この黒いパンツを」
「そんなエロいパンツはいてないだろ」
「……」
「あ」
「見てましたか?」
「…………はい」
「じゃあ、協力してね」
俺は、相崎の罠にまんまとはまってしまったのだった。
協力って何をするんだよ。もう。




