第22話 葛藤中
更新久しぶりになります。戦国群馬、国王の2作品が思いのほか反響をいただいたためそちらを優先していました。転校生は1話あたりが短くなるかもしれませんが、ゆっくりとエタらずに進めていくつもりです。
翌日。
「結局、昨日一睡もできなかった……」
俺の煩悩は消えなかった。
何でだ。俺は美咲のことが好きだったんじゃないのか。何で、相崎のことをこんなに思ってしまっているんだ。
あいつは、危険な右翼な女だ。右翼には関わりたくはない。
右翼は、危険だ。
野党を売国政党としてネット上で批判し、ネット上であると顔も正体もバレないからといって威勢のいいことばかり言っている集団。本当に徴兵制が日本において復活したとしたら喜んでそいつらは参加するのだろうか。日本が戦争になったら喜んで戦争に行くのだろうか。
どうせ、やるわけない。口先だけで言っているような奴らだ。
そして、相崎もそういう右翼の一人だ。
そんな奴に惚れるはずがない……
「かつての俺ってこんな奴らと同じだったのだろうか……」
昔の話だ。
俺は右翼だった。
右翼活動をしていた。
我ながら中二病が変な方向に行ってしまったのだと思う。普通だったら痛い行動をする。アニメとかの影響を受けて。しかし、俺の場合はなぜだか政治の方向に走ってしまった。親の影響なのだろうか。
親の影響を受け右翼的な活動をした俺は、警察に目をつけられ、右翼団体のお偉いさんに目をつけられ調子に乗っていた。中学生ということもあり誰かに注目されているというのはやはりいいことだと思ってしまっていた。俺自身本来は誰かの上に立ちたいとか誰かよりも目立ちたいという気持ちがかなりあったことは嘘偽りのないことだ。俺の性格でもあったといえる。そのために、調子に乗っていた。そして、最終的には……詳しくは言いたくないのでカットするが親父に多大な迷惑をかけてしまった。親父と別居しているのもおふくろが今うちにいないのもそのせいでもある。家族の関係を悪くしてしまった。それが、俺の罪であるとも思っている。
だからだ。
俺はもう決めたんだ。
右翼活動に関わることはしないと。
親父は政治家になるのなら許すと言ってくれた。俺にとってやるべき道は政治家になるという道しかない。だから、街中で街頭演説をしたり、車で軍歌を流したりするような右翼団体とは関わったりしてはいけないのだ。
それが、親父との約束。おふくろがいなくなった今、俺の唯一残った家族との約束だ。
しかし、学校に行く気がおきない。
さっきからごたごたと考えている一番のことはやはり学校に行きたくはないということだ。
でも、昨日も学校をさぼってしまっている以上今日もさぼるわけにはいかない。親父との約束の中で政治家になるという話があったが、二世議員とは言ってもそれなりの大学にしっかりと合格をしろと言われている。親父からは簡単には地盤をやってたまるかと言われていたのでそれなりに俺は試されているのだろう。
まったく、俺の将来はどうなることだか……
「行ってきます」
俺は、重い足取りだが家を出て学校に行くことにする。
1日休んだだけでも学校には中々行きづらい。
それがずる休みだったということも加わってさらに行きづらい。これが続くと不登校になってしまうのだろう。まあ、高校にまで行って不登校にはなりたくはないと思っているのでやっぱり頑張って学校には行くけど。
学校に着く。
「おはよう」
俺は、教室に入る。
「おはよう、野田君」
「おはよう」
「おはよー」
「みんな、おはよう」
俺が、おはようとクラスメイトに挨拶をする。すると、クラスメイトから挨拶を返される。
「野田、大丈夫だったか? 風邪か」
「最近、風邪が流行っているみたいだから気を付けないとね」
「あはは、そうだね」
俺は、風邪ではなかったのだがそれをわざわざ伝えるというのも面倒だし、それにもう高校生だ。高校生ともなるとさぼろうとするやつも一定程度いるしそのことを理解している奴もいる。暗黙の了解的なものができている。だから、風邪だと本人が言ったのであればそれは風邪になるのだ。
まあ、今回は風邪の話でもちっきりになったからそれはそれでよかったんだが。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
俺は、席に着いた。
俺は、相崎の席の方を確認する。
相崎の姿はなかった。どうやら今日は、相崎は欠席のようだ。俺が、覚悟を決めて登校してみたが何とも拍子抜けだった。
うれしいと思う半分、残念と思う自分がいた。自分でも不思議に思ったが、あまりその時には気にしてはいなかった。
授業は何事もなく進み学校は終わった。
そして、放課後になった。




