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第19話 校門前

 更新久しぶりになります。

 翌日。ついに月曜日になった。月曜日となるとやはり高校生にとっては憂鬱の日だ。なにせ、この日からまた1週間学校生活が始まるのだから。高校生にとっては学校生活が始まるこの日こそ最も苦痛の日に違いない。そして、それは俺にも当てはまることであるが、俺は其れに加えてさらに憂鬱であった。それは2つ問題があるからだ。1つは、原口の件。この週末は原口のために費やしたと言っても過言ではない。まあ、最終的には美咲とデートになってしまったとかそんなラッキーなことがあったとは口が裂けても言えない。

 さて、俺は今学校の校門の前にいる。どうして校門の前にいるかって? そりゃあ、学校に行くためだろ。しかし、校門の前から先──つまりは学校の敷地内にどうしても入ることができていなかった。あと、一歩足を動かせばいいだけなのにどうしてか体が動こうとしなかった。


 「あれ? おかしいぞ」


 俺は自分の体の異常に戸惑いを感じていた。どうして動かないんだ。

 俺の横を他のクラスの子や先輩、クラスメイトが通り抜けていく。


 「野田、どうしたんだ?」


 「早くしないと遅刻するぞ」


 「早くしな」


 俺は、そこでかなりの時間を費やしていた。時刻は始業まであと5分の時間になっていた。周りを歩くクラスメイトから早くしろとせかされる。しかし、俺の足が動かないんだ。もう、今日はこのまま家に帰るべきか。体調不良なので学校の前まで来て帰りましたって言えばいい。それに、今日は雨だ。そう、だから俺が校門の前で止まっているのは自転車通学ではなく傘をさして歩いてきたからこそ起きたのだ。うん、今日は雨で気温が低いからきっと体調不良になったんだ。俺は、そう自分の中で完結させた。


 「あれ? 野田君?」


 俺がもう帰ろうかと思ったところで後ろから声がかけられた。女子の声だった。この声どこかで聞いたことがあるなと俺は思った。いや、この声の正体が誰なのか俺には顔を見なくてもすでに分かっていた。


 「相崎か」


 「相崎よ。まったくどうして私のことを見るのをそんなに嫌がるのよ。仮にも私は女子だよ。もうちょっと私を見て男子としてはうれしいとかいう表情をしてほしいな」


 「嘘つけ。そんなこと全く思ってないくせに。それにそんなキャラじゃないだろ、お前は」


 「ひっどーい。私と会ってまだ数日しか経っていないのに私のことわかったつもりなの?」


 「それはお前もそうだろ。出会って数日で俺に告白しやがって」


 俺は相崎に言われた言葉をそのまま突き返す。そうだ。俺だってお前のことを知らないし、相崎だって俺のことを噂で右翼活動をしていたということしか知らないはずだ。それなのに、どうして告白なんてしてきやがったんだ。


 「出会って数日で告白ね……いいよ、別に野田君は私のことを覚えていないということぐらい知っていたし」


 相崎のその言い方はまるで昔俺が相崎が出会ったことがあると暗示しているものだった。しかし、俺の記憶の中からは相崎に関するものが出てこなかった。どこかで昔あっていたとしてもどこだ。俺には本当に分からなかった。


 「相崎。俺ら昔もしかして出会っていたのか?」


 「それについて知りたいなら私と付き合えばわかるんじゃない?」


 ぐぬぬ。

 どうやら相崎は俺に無償で教えてくれることをしてくれないようだ。

 交換条件。俺がそのことを知りたいというのならば私と付き合いなさい。そう来たか。俺は、このことを聞き出すがために相崎と付き合うことをしていいのか。答えは否だ。俺としては相崎と付き合っても何のメリットがない。


 「いや、特にそこまで知りたいとは思わないしいいや」


 「えっ!?」


 俺が話をきっちりと断る。すると、相崎が驚いた表情をした。そして、急にあせりだした。


 「いや、だって、え、気にならないの? 知りたくはないの?」


 「ない」


 俺が断言する。


 「そんなあ~」


 相崎が俺の言葉に対してとても残念がる。そんなに自分のこと気になってほしいのかよ。俺はそう思ってしまった。第一俺は相崎に対して何の感情も抱いていない。いや、何の感情とまで言ったらうそになる。俺が相崎に対して持っている感情は苦手とか、嫌いとかとにかくマイナスのものだと言える。


 「話はそれだけか? なら、俺は体調不良だから帰るぞ」


 俺はそう言って学校の校舎とは逆側に向かって歩き出そうとする。自然と学校の校舎側に進まなかった足が動く。やはり学校に行きたくなかったのか。自分のことなのに体は正直だ。つくづく思う。

 俺は、相崎から徐々に距離を取っていく。もう向かう先は自分の家だ。今日はもう寝る。帰って寝る。俺はそう覚悟を決めた。

 

 「待って」


 俺が歩いて家に帰ろうとするのを相崎によって止められた。相崎は俺の手を思いっきり握った。

 若干痛かった。


 「何だよ」


 俺は不機嫌そうに声を低くして返事をする。相崎は俺が不機嫌そうに声を発したことに対して一回体をびくっと動かしたが、すぐに待ってのあとに続く言葉を言う。


 「あのさ、私とこれからデートしない?」


 俺は相崎の言っている言葉の意味を一瞬理解することができなかった。

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