五月雨
私の身体は 水でできているらしい。
五月雨を見上げて 口をひらいた。
口に入る五月雨たちは 私の一部となるのだろうか
なら、私は五月雨。
私の身体は 五月雨でできている。
あれから、いくつもの季節が過ぎた。
私の中の五月雨は、どこかへ流れていった。
今は どこかの牛の一部が私になっている。
私はどこへいくんだろう。
私の身体は季節を巡る。
乗り物を変えて、形だけはそのままに。
牛や、草、魚に鳥、海や山。そして五月雨。
私の形は季節になって どこかの空気の一部になって
呼吸とともに入れ替わる。
大好きなあの人とも つながっているのかな。
五月雨に祈りを込めて あの日の記憶に帰り着く。
あのひとの姿は 今も五月雨に消えたまま。
私の中の五月雨の向こうに いつか溶けていこう
私は五月雨に口を開く。
あの人と見る予定の アジサイの花は
もうすぐそこまで来ている
季節ぐるぐる 五月雨に
私は目を閉じ 溶けていく