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少女(?)の謀。

「これからあなたにやってもらいたいことを説明するわね。」

 

 引き締まった声で話す紫音は、心なしか緊張しているようだった。

 

 明人は観念かんねんしたようにうなずく。

 

「これからあなたにはもうひとつの世界に行ってもらうわ。そこで力をつけてもらう。」

 

「もうひとつの世界?今さら驚かないが、そこはなんなんだ?」

 

 明人が大真面目にたずねる。たぶんもう質問しても怒られないはずだ。てゆうか怒るな。

 

「行けばわかるわよ。」

 

 いきなり真後ろで声がして飛び上がった。いつの間にか背後に紫音が立っていた。

 

「いきなり現れるなよ・・・。心臓が飛び出すかと思ったぜ。」

 

「それは失礼。隠れる必要がなくなったから。・・・それに時間もあまりないの。」

 

 微笑を浮かべるそのほほに一筋の焦燥しょうそうを浮かべながら、明人の髪に指をからませる。

 その、いやになまめかしい指の動きを明人は視線で制す。

 

 ものすごく嫌な予感がする。そしてたぶんその予感は当っている。

 

「俺はこれからどんな目( ・ ・ ・  ・)にあうんだ?・・・力をつけた後、俺をどうするつもりだ?」

 

 真っ直ぐに向かい合う紫音の瞳がわずかにれたのを明人は見逃さなかった。

 

「迎えに行ったときに話すわ。それと万が一があったら、ゼインの民を頼りなさい。・・・とりあえず1ヶ月生き延びて!」

 

 懇願こんがんする表情に、明人の瞳も揺れる。

 あまりに無防備な表情が、明人の混乱をさらなる深みへといざなう。

 

「・・・そろそろ来るわね。」

 

 そのつぶやきは明人に届かない。それほどに小さくか細く、そして・・・好戦的だった。

 

 言葉を失う明人に抱きつき、耳元でささやく。

 

「あなたは巻き込まれたの。ごめんなさいね・・・。」

 

 触れ合う肌の感触を確かめることなく、明人の意識は闇にしずんでいった。

 

 意識を失う直前、明人は確かに聞いた。

 

「生きて一緒に戦って・・・明人。」

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