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1日目0時間 発生

 3.11 東日本大震災


 それは日本人――いや、世界中の人々を絶望と震撼させた災害となった。


 それだけではない。


 私たちは大事な友人をなくした。

 その際、政治家・科学者などの知識人の口から語られた言葉は「想定外」だった。友人をなくした理由は『想定外』でまとめられるものではない。

 だからか、当時の防災担当大臣から説明された想定は人々を再び震撼させた。


『死者32万3000人』


 あくまでも数値は想定であり、地震の発生時刻によって大きく変動する。しかし、その時はあり得ないとされたものが起きたのだ。

 私はあの災禍を再び繰り返してはいけないそして、東北、日本のいち早い復興・被災者の人々の心が休まる日が来ることを祈ってこの作品を執筆をする。


                                              下野 真


 この作品の内容は南海トラフが発生した際を想定した作品です。検討会発表の想定において、冬の夕方に起こった場合を利用します。主人公は、高校生です。高校生の立場から見た災害を書いていきたいと思います。


注意:この作品は地震をテーマとしているため気分を悪くされる可能性があります。その際はすぐに読むのをやめてください。


             参考:中央防災会議防災対策推進検討会議南海トラフ巨大地震検討ワーキンググループ報道発表資料等


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 当時の大臣が記者会見の席に座って恐ろしいことを述べた。


「南海トラフ地震が発生した場合、最悪死者32万人、全壊約238万棟」

 

 要約すると彼はそういった。その数字は途方もない数字なのだろうか――

 あのときはどうだっただろうか。原発は安全という神話は、豆腐のように簡単に崩れてしまった。ほかにも、想定外のことが起こった。予想を超える大津波、広範囲を震源とした地震……あげればきりがない。

 だから、あれがなければ嘲笑していただろうが、今回の記者会見での発表は誰もが信じた。そして、誰もがこう思った。この想定が現実に起こらないことを――


 しかし…。


 起こってしまった。

 それは、有名な物理学者の寺田寅彦の言葉にある「災害は忘れたころにやってくる」の言うとおり、記者会見を忘れたころに……。

 

 その時、人々は何をするだろうか?



  20××年(遠くない未来で技術等は今と同じ時代) 12月10日 午後4時

  東海地方のとある県の高台にある高校


 冬至も近くなり、日が暮れるのも早く午後4時といえどももう西の空は赤く染まっていた。冬の風は冷たく感じられた。そんな中で、多くの生徒たちが部活動に励んでいた。野球、サッカーは言うまでもなく、マイナー競技のワンダーホーゲル(登山部のようなもの)や文化部の多くが活動していた。それだけではなく、どのような部にも入っていないものも学校に残っていた。一端の進学校なので勉強をしているものが少なからずいるのだ。

 そんな自主勉強をしている生徒の一人に大川裕翔おおかわゆうとがいた。勉強があまり――とても嫌いなためいつも宿題をためており、今日は宿題を終わらすように教師に言われ図書室で勉強をしていた。


「ここの学校宿題多すぎ……」


 彼はそんな愚痴を言いながらスマホでワラワラ動画を見ていた。そのため、手が少しも動いていなかった。そんな彼に声をかけたものがいた。


「いい加減、勉強したらどうだ? 」


 裕翔が声の方向を見ると、左目にモノクルをかけた青年がいた。

 好青年に見えるが、モノクルの奥には何かを隠しているように見えた。


「芳樹…邪魔しないでくれ! 」


 モノクルの青年は吉田芳樹。勉学は優秀なのだが、性格が変人で犬猿の仲である者も多くいる。

 また、左目のモノクルは彼曰く左目だけ視力が落ちた。としているが、本当のところは不明でおしゃれといううわさもある。


「そんなこというのか? 宿題やってやろうと思ったのに…」


 芳樹はそういいながら、脇に置いてあったカバンからおもむろにノートを取り出した。それを見ると目を変えて裕翔は芳樹の手からノートを取り上げて目的のページを開いた。

 芳樹は裕翔のこの行動はいつものことなので小さくため息をついて裕翔のノートをみた。


「お前、いつから宿題やってないんだ? 」


 裕翔は笑ってカバンから参考書や問題集を出し始めた。ざっと見て10冊ほどあるだろうか。それでも裕翔の手は止まらなかった。逆にこの域まで来ると、一応であるが進学校であるここに来れた理由がわからなかった。

 そして、宿題の説明を始めた。


「前の期末テストから。これは後藤先生との交渉で、今までの分とまとめて提出すれば受け取ってもらえるようにしてもらった」


 それを自慢げに説明してくる様子は誰であっても少し気分を悪くするものだった。

 そこに予想外の横やりが入った。


「君たちさっきからお話しかしていないよ! 」


 そう、ここは図書室―話すことの禁止された場所である。そこで2人は堂々と話をしていたのだった。だから、図書館司書から怒られたのだった。


「申し訳ありませんでした」「すいません! 」


 2人はそう謝ってとても小さな話し声変えた。

「私は今から天文部の部活動があるのでドロンさせてもらうよ」


「おう! これから部活とはな…」


 裕翔は自分の腕時計を一度見た。

  4時45分

 ふつう部活はSHRが終わってすぐに行くものだ。しかし、SHR終了からもう1時間も過ぎていた。それを裕翔は不思議に思ったのだ。


「あぁ、天文部は日が暮れてからが部活開始時間だからな。それとちゃんとノート返せよ! 」


 一度裕翔に貸したノートが帰ってこなかったことがあったので芳樹は一度念を押して図書室を後にした。

 裕翔は勉強を始めた。


 それからおよそ30分になった。

「もう、5時15分か…。帰るとするか…」


 裕翔の家は学校と同じ市内にあるにもかかわらず、鉄道網の関係で一度関係のない方向に行かなくてならず、登校に約1時間半かけている。それを言い訳にして帰ろうとしているのだ。

 ――もちろん先生にばれないように……

 裕翔はカバンを担いで図書室から出て階段を降り始めた。


「大川君、どこ行くの? 」


 階段の上から声をかけられたので頭を上に向ける。

 そこには茶色がかった黒髪をポニーテールにした美しい女の子がいた。おそらく裕翔と同じくらいの普通の高校生が10人いれば、8人は美しいという女子だった。


「家だよ! 」


 裕翔は吐き捨てるように言った。彼女は太田千穂おおたちほ。学業については並の成績であるものの、面倒見のいいお姉さんのような性格で、芳樹とは真逆にとても好かれている。


「確か、今日は7時まで学校に拘束では? 」


 裕翔は少し汗をかきながら、頭を上げたままその場に立ち尽くした。


「そうだけど家が遠いから…」


 

  同時刻 裕翔たちの高校のある県の太平洋沖地下

 地下深くでお互いのぶつかりあいでストレスをためているものがいた。

 ―プレート

 それはおよそ100年ほどストレスの発散をしていなかった。それが今、ストレスを発散しようとしている。それもどこかの不良のように周りを引き連れて…。


 

  ところ戻して学校

 千穂は顎に手を当てて、裕翔のほうを見ていた。

「先生から帰る許可もらったの? 」


「…もちろんだよ! もちろん…」


 裕翔は冷や汗をかき苦し紛れに答えた。

 千穂はこの時点でもう裕翔の言葉が嘘であることは気づいていた。しかし、ちょうど通りかかった先生に聞こうとした。


「先… 」


 その行為は簡単にできなくなってしまった。

 サイレンが鳴り始めたのだ。


「緊急地震速報です! ただちに強い揺れに警戒してください! 」



  20××年 12月10日 (日本時間) 17時19分48秒 


 廊下がまるで吊り橋のように縦揺れや横揺れを始めた。それと同時に多くの場所から悲鳴が上がった。それはまるで伝染病の広がり、だんだん悲鳴は大きくなり、揺れも大きくなる。


 『地震』


 だれもが思い出した。 あの想定と地震の名前を。まるで昨日のことの思い出のようにはっきりと思い出せた。


『南海トラフ巨大地震』


 揺れは長く続いた。実際は1分、地震の揺れとしては長いものだったのだろうが、それは1分より長く永遠のようにも感じられる時間が始まった。

 すぐに二人は東日本大震災以降活発に行われてきた、眠たくなるような防災講話でいわれたとおり、自分の命を守るだけでもするため、廊下の真ん中に避難し、頭を守る行動をした。

 あちらこちらで、ガラスが割れるような音が聞こえる。先ほどまでいた、図書室からは重いものが落ちる鈍い音がして、それだけ揺れが増えた気がするものだった。

 裕翔はふと体が動いた。運動神経はいいほうではないが、なぜか今は動いてしまった。自分を守ることで手一杯であったものの――。千穂の頭を守るように覆いかぶった。その上に蛍光灯が落ちてきた。自分の頭を守ったため、蛍光灯は背中で割れた。

 痛みはアドレナリンであまり感じられなかったが、割れる音が耳をつんざいた。

 心の中は驚いていたが、友人を守れたことで一杯だった。しかし、まだ揺れが収まっていないので、その体勢を続けた。


「きゃーーーー! 」

 千穂は割れる音が聞こえて悲鳴を上げた。いつもの彼女だったら出ない声だったため普通の裕翔ならよろこんでいただろうが、そうもいられなかった。


 最後に隣に蛍光灯が落ち、割れると刹那揺れが収まり始めた。永遠にも感じられたがようやく収まった。


 ここからが始まりだった。

 生と死が隣で起きるような震災は―― 

死者32万人を読んでいただきありがとうございます。

初めまして、下野真です。

この小説は、私の住んでいる町が南海トラフ巨大地震が起きた場合、20分で津波がくるとされたため、東日本大震災で高校生が活躍したと聞いたため、南海トラフの場合どうなるかと思い執筆させていただきました。

まだ、次回は書いていませんが、次回もよろしくお願いします。

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