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ロムの雲  作者: かえで
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ロムとお日様

子猫のロムのほのぼのとした日常です。

その日も、ロムがお気に入りの籠に入って、お昼寝をしていました。朝からとても暖かい日で、お日様がポカポカと体を温めてくれました。ロムまでお日様の匂いでいっぱいになりました。それは本当にとろけそうなくらい気持ちの良いお昼寝でした。ロムはふと、


「お日様はどんな色をなんだろう。」


と思いました。そして目を開けて、そっとお日様を見てみようとしましたが、目の前がチカチカしてお日様の色は分かりませんでした。きっとお昼寝をしていたからだと思ったロムは、今度は一度しっかり起きてからちゃんと目を開けてお日様の色を見ようとお日様を見上げました。すると、目が痛くてとても目を開けてられませんでした。そこで、ロムはどうしてだろう?と考えました。


「お日様はきっと、とっても恥ずかしがり屋さんで不思議な魔法でみんなに見えないようにしているんだわ。」


とロムは思いました。それでも、ロムは


「お日様はきっとステキな色をしているんだろうなぁ。」


と思いながら、またお日様の匂いに包まれてお昼寝の続きを始めました。


次の日、やっぱりお日様の色が気になったロムは


「お日様の近くを飛んでいる鳥さんなら、お日様の事をよく知っているはずだわ。」


と思ってスズメに聞いてみることにしました。スズメは窓の外の電線にいつもいるので、聞きやすいと思ったんです。でも、ロムが近づくとスズメは逃げてしまいました。そこで、今度は公園にいるハトに聞いてみる事にしました。ロムは、公園にハトを探しに行くことにしました。空は青くお昼近い時間になっていたので、気温は朝より上がり、初夏のさわやな風が心地よく吹いていました。ハトは最初は猫が来たと飛び立とうとしたのですが、それがフワフワの小さな子猫だったので安心し、こんな子猫が自分に何の用だろう?と思い、話を聞く気になりました。ロムはハトが話を聞いてくれそうなのが分かると、


「ハトさん、ハトさんはお日様の近くを飛ぶでしょう。だから、きっとお日様の色を知っているでしょう。私にお日様の色を教えてくれない?」


と、聞きました。ハトはロムがかわいい子猫だったので


「子猫ちゃん、お日様はね、見ることができないんだよ。見ると目がつぶれてしまうからね。」


とやさしく答えてやりました。ロムは、


「やっぱりお日様は恥ずかしがり屋さんなんだわ。でも、誰かお友達はいないのかしら?ずつと一人で隠れているなんて寂しくないのかしら。」


と思いました。ロムはハトに、


「ありがとう、ハトさん。」


ときちんとお礼を言って別れました。


ロムはそのまま公園で日なたぼっこをする事にしました。芝生の上に寝転がっての日なたぼっこはお気に入りの籠とはまた違う楽しさがあるのです。ロムがポカポカでなんて良い気持ちだろうと喉をゴロゴロさせていると、お友達の子猫のクロがやって来ました。クロはその名前の通りに真っ黒な子猫です。目の色は、ロムと一緒の青でした。クロが、丸くなって日なたぼっこをしているロムの隣に来て、


「こんにちは。私も一緒に日なたぼっこをしてもいいかしら?」


と聞きました。ロムは喜んで一緒に日なたぼっこをすることにしました。ロムは日なたぼっこをしながら、クロに恥ずかしがり屋のお日様の話をしました。クロは大変お日様の心配をしました。実はクロは恥ずかしがり屋でなかなかお友達ができなかったのです。ロムとお友達になるまで、クロはいつも一人でいました。でも、今はクロの周りにはロムやロムのお陰で仲良くなれたお友達がたくさんいます。


「お日様もロムとお友達になったら、きっと自分のように楽しくなれるはずなのになぁ。」


とクロは思いました。そこで、クロはロムに、


「お日様とお友達になってあげない?」


と提案しました。ロムは最初はびっくりしましたが、


「ポカポカと毎日ロムを幸せにさせてくれるお日様とお友達になれたらステキだわ。」


と考えました。そこで、二人はどうやったらお友達になれるのかしらと一生懸命になって相談し、悩みました。悩みすぎて、そのうちぐっすりお昼寝してしまいました。


「これこれ、こんな時間にこんな所で寝ていたら風邪をひくよ。」


と言う声で、ロムとクロは目が覚めました。もうすっかりお日様は傾き、夕方間近にになっていました。ロムとクロはポカポカとお日様があんまり気持ちよく照っていので、長い時間眠ってしまったようです。二匹を起こしてくれたのは、近所に住む犬のおじいさんでした。犬のおじいさんは、夕方の散歩に来て二匹を見つけて起こしてくれたのです。ロムとクロは、犬のおじいさんに


「お日様は誰にも姿をみせないで、一人でずっといるの。だから、私たちがお友達になってあげようと思ったんだけど、お日様にご挨拶をする方法も分からなくて。」


と話をしました。すると、犬のおじいさんは、朗らかに笑って言いました。


「ははは、お日様が姿をみせないだって!雲に邪魔をされなければみんなに、《おはよう》と《さようなら》の挨拶をしてくれているよ。」


それを聞いて、ロムとクロはぼっくりしてどこに行けばお日様とご挨拶ができるのと聞きました。犬のおじいさんは、


「ほらもうすぐ、さようならの挨拶をしてくれるよ。ご覧なさい。」


と言いました。二匹が犬のおじいさんの言う方向を見てみると、空を真っ赤にして、お日様が夕日になってお別れをしていました。そこで、二匹はお日様に、


「初めまして。私たちお日様とお友達になりたいの。」


と大きな声で言いました。


「せっかく会えたのに、すぐお別れではお友達になれないかなぁ。」


と二匹がしょんぼりしていると、犬のおじいさんが、


「ロムちゃんもクロちゃんも今日は一日お日様と過ごしたんしゃないのかい?」


とやさしく言いました。二匹がびっくりして犬のおじいさんを見ると、


「ほら、ロムちゃんもクロちゃんもとても良い匂いがする。お日様の匂いだね。」


と言いました。犬のおじいさんに言われて、二匹は自分達がお日様の匂いに包まれていることに気がつきました。そして二匹は


「なぁんだ、私たちもうお日様とお友達だったんだぁ。」


とにっこりしました。そして、声をそろえてお日様に向かって、


「今日も楽しかったわ!また、明日ね。バイバイ!」


と大きく手を振りました。ロムは、心のなかでそおっと、


「お日様におはようの挨拶をするのはお寝坊の私には難しいわね。」


と思いました。でもいつかお日様に


「おはよう!」


って言って、お日様を驚かせてあげないなぁと、にっこりしました。




子猫のロムは周りに助けられて少しずつ成長しています。

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