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4剥き目

容赦なく俺にツッコミを入れて沈ませたのは、メイドのニーナ。

ブロンドの緩いパーマがかった髪を肩までの長さで切りそろえ、陶器のような白い肌に碧眼の、俺の専属ということになっているこの家で一番美人のメイドだ。

ちなみにこの人以外のメイドの容姿はギリギリ及第点と言っておこう。しかしニーナの表情は乏しく感情が読みにくい。全く世の中世知辛いね。


ニーナさんの頭の上には黒い兎耳が生えているが、以前どうなっているのか尋ねようとしたら物凄い形相で、「その話をこれからもするようであれば、私はここから出ていかなければなりません!」と言われ、俺は泣きながら「だれにもいわないからぼくをおいていかないで」と頼み込んだのだ。


その後彼女を逃がさないために豚を適当に丸め込んで俺の専属にしたのは言うまでもない。

ちなみに喋る時の一人称は年齢に合わせて僕って雰囲気のを使ってる。


まあしかしいくら美人と言ってもこの屋敷で働いている以上あの豚が手をつけていないはずがないのが悲しいところか。


「ニーにゃ、いたならいってくだしゃいよ」


舌足らずなのが恥ずかしいね。美人の前だと特に。


「勝手にいなくなったのはユーリ様でしょう?」


彼女はどこか楽しそうに答える。表情は変わらずの鉄仮面だが少し柔らかくなったような気がした。


ニーナのもとにとことこ歩み寄ると、そのまま俺は抱きかかえられてしまった。

男の夢の中へと誘われ、俺はもちろん抱きついた。

大きくなく小さくない程よい大きさの二つの希望は、俺の心のオアシスである。

うーんいつも弾力が素晴らしいです!


今日は俺の魔力属性もわかったし、明日からは魔法の特訓ができるな!

2歳児は暇な時間が多いが、「手のかからない子供」のジョブを持つ俺は結構自由に徘徊できるのだ。


そんなことを思っていたらニーナが踵を返す。書庫から出るつもりのようだ。


ん?あれは・・・。


俺の視線の先には一冊の本。本棚でも上の方にあって、今の俺の視界では確実に見えなかっただろうものが、抱き上げられることによって見えるようになったのだ。


「ニーにゃ、まって。あれとって、あれ」


肩ごしに指を指して意思表示。

「どれですか?」と聞いてくるニーナを誘導する。


「ユーリ様、この本は共通語じゃないですけど大丈夫なんですか?なんか変な魔力まで出してるんですけど・・・」


「いいからいいから」


渋るニーナを急かして目的の本を取ってもらった。


悪意の入れ子マリス・マトリョーシカ

著者 マリス・ニャルラトホテプ・鈴木


日本語――カタカナの読み仮名つき――でそう銘打たれた黒いハードカバーの分厚い書物を、再び床に下りて広げる。


注意!

この本は魔道書です。

僕が発見及び開発した色んな禁術(・・)が目白押しです。

主に混沌、時間、空間、創造の魔法が載ってるよ。破壊と無属性も少し。

練習には場所や時間帯も気をつけてね!

無闇に使ったら国を追われる可能性もあるから注意してね☆

ちなみに僕も国を追われたクチですテヘペロw


いきなりこれだよ鈴木さん。というか魔法関連の書物を書いてる奴は皆こんななのか?

ちなみにこの後、鈴木さんの自慢話が2ページほど綴られている。


いや小説とかかなと思ったんだよ。日本語懐かしかったし、忘れたくない気持ちもあったしさ。まさか異世界で見れるとか思わないじゃん?

ご都合主義万歳だぜ!


「これはオーガリーですね。ユーリ様はいったいどこでこんなマイナー言語覚えたのですか?」


ニーナが本を覗き込んで不思議そうにそう言った。

オーガリーってオーガ語ってことだろ。オーガってあの角生やした種族だよ。まんま日本の鬼のイメージなんだけどそういうことなのかな?実物を見たことはないから何とも言えないけど。


「さぁね~」


ニーナの疑問に答えられるわけもないので適当に流して(流せてない)読み進める。


目次と書かれたページに、ズラーっと魔法の名とそれが載っているページ数が書かれている。

今この状況で必要な魔法を探そう。


「あったあった」


目的の魔法を見つけてそのページをめくる。


『無限の深淵を覗く虚空』


――空間属性――

この魔法は様々なモノをしまって置ける亜空間を作り出す魔法です。

亜空間に入れられるものの大きさはあなたの魔力量次第!

容量?そんなのわかりません!

多分いくらでも入るから心配御無用☆彡なんでかな~?

食べ物入れても腐りません、でも生き物は年をとるよ、なんでかな~☆


つまり限界無しの倉庫みたいなもんだな。

ビンゴだ!

まあ『アイテムボックス』って読み仮名振ってあったからほぼ確信してたけどな!


そろそろニーナにまた連れて行かれそうなので本を閉じて、アイテムボックスの魔法を使ってみた。


結構簡単やねコレ。元の世界でのイメージがあるからなのかな?あの青狸的な何か。

魔道書がどプリと変な空間に引きずり込まれていった。

試しに一度出し入れして見て、うん、問題なし。


「ニーにゃごはん~」


俺は元気おっぱい、じゃなくていっぱいにおっぱ、じゃないニーナに飛びつく。

ニーナは俺を抱えたまま、出しっぱなしだった魔法入門書を少し眺めてから、閉じて本棚に戻し、そのまま書庫をあとにした。



――魔法の使い方


3.詠唱を覚えよう!

各種初歩魔法は○○ページから!


4.魔法を発動してみよう!

慣れるまで失敗を恐れずに☆

魔力の流れを感じよう!


5.陣の特性と組み方を覚えよう!

魔法陣のメリットとデメリットを把握して、自分の魔法に活かそう!


6.上級の応用も知っておこう!

詠唱破棄や無詠唱で発動できれば一躍有名人に!

もしできる人が周りにいたら見せてもらおう☆彡



この工程を俺が知るのは、大分、大分後のことになる。






さて、2歳児のメリットとして暇な時間が多いと、確かに俺はそう言ったが問題点もあるんだなこれが!

何って体力が全然無い。一応運動がてら歩き回ったりしてるけどすーぐ疲れる。

一瞬で眠くなるんだ。特に食後な。

消化ってのは実はエネルギーを結構使うらしくて、飯食った後はどんどん眠くなる。

困った体だな。


まあ寝てから目を覚ましたことがバレなければ誰もいない部屋でのフリーダムだから気にしないけどな。

今まではそのフリーダムタイムも暇なだけだったが、今日からは違う!

魔法がある!魔道書もある!時間もある!

復讐の為の準備ができるというものです。


さてでは早速、アイテムボックスから魔道書マリス・マトリョーシカを取り出して目次を開く。


最悪目的の魔法が無ければ創造で作れそうな気はしているのだが、一通りこの魔道書の中の魔法を覚えてからでも遅くは無いだろう。


と、やはりあった。


『森羅万象の叡智』


ああこれだけだと何かわからないよな。

読み仮名は『アナライズ』だ。解析魔法だな。

情報の重要さを知っているからこその、素晴らしい選択だと言える。


なになに・・・?


――混沌属性――

この魔法は様々な物、生物を解析、分析し、情報を得ることができる魔法だよ。

なんで混沌属性かっていうと、混沌属性を持ってないと使えなかったからだね。ただ魔法の分類的には無属性魔法になる気がするよ☆

視界に完全に収まってる対象なら普通に発動すればその情報を得ることができるけど、あまり大きいものだと直接触らないと不発になっちゃうから気をつけてね!


ふむ、これはいいな。

早速試してみよう。

しかしその辺の物で試しても面白くない。

・・・そうだ!


「ニーにゃ!きてー」


「何でしょうか?」


恐ろしい速さで音もなくドアを開けてニーナが入ってきた。

若干引いた。


「そこにたってー」


ニーナは何も言わず指示に従ってくれる。時折怒ってないか心配になるが多分大丈夫だろう。


ニーナの全身が視界に入るようにしてから、『アナライズ』と念じるもちろん厨二の名前じゃなくて解析で念じたよ。


すると頭にこんな情報が入ってきた。


名:ニーナ・チェルニー

種族:黒兎人 仕事:ユーリのメイド

年齢:23 身長:165 体重:Error

BWH:83 56 85

最大魔力:5631

魔力属性:霧、闇

状態:健康(認識阻害)

適性:隠密、幻術、暗殺

補足:[絶対忠誠・ユーリ]、[幻霧の黒兎]、[脱兎]、[心の仮面]、[処女]


絶対忠誠ヒャッホウ!処女ヒャッホウ!!

となったのは言うまでもない。


何が起きてるのか全く分かっていないニーナを置いといて、自分自身もアナライズ!


名前:ユーリ

種族:人間? 仕事:ニーナの主

年齢:2 身長:92 体重:13

サイズ:鳥の糞

最大魔力:1048575

魔力属性:混沌、空間、時間、創造、破壊

状態:健康

適性:覇王、魔王、創造主、破壊神、何でも屋

補足:[冷徹で冷酷]、[残虐非道]、[強姦魔]、[麻薬王]、[奴隷商の鑑]、[爆弾魔]、[現代知識]、[チートソウル]、[童貞]、[ドS]、[天使で悪魔]、[復讐の鬼]etc...


さっきまでの気分が一気に地に落ちた。

『解析』・・・こんな魔法が欲しかったorz



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