21剥き目
やぁやぁ我こそはユーリなり!
なんでこんなノリかって?
俺テンション高いんだ今。
昨日大人の階段を段飛ばしで駆け上がったってのがひとつ。
そしてミーナへのお手つきが許されるどころか推奨されたのがもうひとつ。
なんかほんとに発情期あるんだって。
この世界の男はすごい恵まれてるよね。
童貞なんて15歳になる頃にはみんな捨ててるんだってよ。
獣人の発情期は種族間でも個人間でも差があるそうで、酷い人は期間中毎日昼夜問わずなんてこともあるらしい。
どれくらい我慢できるかも人それぞれだそうだけど、流石にあまりに溜め込み過ぎると、どんなブ男の一物でも猫じゃらし並みに飛びついたりするそうな。
恐ろしや発情期。
そんなわけで、変な男に捕まるくらいなら俺が定期的に発散させた方がいいんだと。
なんか人間の俺としては複雑な気持ちになったけど、お許しが出たんならなんの憂いもなくヤれるな!
今日はこのテンションに任せて美味しいレストランでディナーの予定だ。
貴族御用達みたいな高級感あるとこを予約してある。
今はその為のドレスを買いに来てるのだが・・・・女性というのはいつの世もどの世も変わらないものだね。
長いなぁ・・・。
ちょっと黄昏てしまう程には長いなぁ・・・。
この店に入ったのは昼頃だったのに、もう大分日が傾いてきた気がする。
ちなみに昼食はまだだ。
テンション高いのに腹は自動的に減るから、いやにカオスな気持ちで3人の買い物が終わるのを待つ。
3人がただはしゃいで買い物してるだけなら連れ戻そうとも思うんだけどな。
所々で俺のためとか、俺の好みとか言いながら選んでるのを見ると、何も言えなくなるよね。
嗚呼腹減った・・・。
「すみませんでした、ユーリ様」
ニーナと三毛猫親子が買い物を終えたのはそれから更に小一時間経ってからだった。
流石に空腹が限界を迎え、3人を呼び止めてやんわりと早く決めて欲しい旨を伝えた。
今ニーナが3人を代表して頭を下げているわけだ。
「いいよ、気にしてないから。それよりほんとにお腹空いたからなんか食べよ」
「はい、承知しました」
まあ少しだけ気まずそうだけど、服も気に入ったものが買えたようでほくほく顔の3人。
見てるこっちも気分がいいね!
そういえばどんな服買ったんだろ?
ちゃんと今日行く場所の事は言ってあるから、ずれた服は買ってないだろうけど、やっぱ気になるなぁ。
「どんな服買ったの?」
「内緒です」
「秘密」
「・・・そういうことみたいです」
即答したのはニーナとミーナ。
答えようとして2人に乗っかったラナさん。
ちくしょう・・・楽しみに取っておけということか、仕方ない。
我慢しよう。
「わかったよぅ」
だけど少しすねておく。
うん、ミーナに撫でられたのでよしにしておこう。
「夕食までそんな時間が余ってるわけでもないなぁ。何かつまめるくらいのもので何かない?」
「それでしたらヴァーストなどいかがでしょう?」
ヴァーストは所謂ソーセージ。
この時代でもなかなか美味しく食べれる一品だが、前世の記憶から持ってきたカレーソースをかけるともっと美味しい。
カレーソースって言ってもケチャップにカレー粉ぶっこんだだけだけどさ。
「カリーソース」
ミーナの要翻訳な希望。
特性ソースをご所望だそうだ。
「じゃあ買って部屋で食べるか」
コクリと頷くミーナの頭を撫でると、目を細めて気持ちよさそうにする。
ミーナは耳の周りを触られるのが好きらしい。
獣人て種族は、まあ当たり前かもしれないが耳にも毛が生えている。
しかも部類としては頭髪と同じものだそうで、耳の毛はあまり伸びないんだとか。
DNAの不思議である。
ラナさんとミーナなんかは、三毛猫な分左右の耳の色が違ったりと面白い生え方をしていて更に不思議だ。
「ヴァーストならギルド前で開いてる屋台が当たりですよ」
こういうところですっと主の欲しい意見を言ってくるラナさんはすっかりメイド上級者だなぁ。
いつの間にかメイド服がしっくりくるようになってるし、最近はニーナよりもメイドとしては"らしい"かもしれない。
昨日のこともあるからそれは尚更だな。
だからって俺が気にすることも無いんだけどな。
「じゃ、そこに行こうか」
賑わう人混みの間をスルスルと抜けていく俺達は真上から見るとさぞ異常に写ることだろう。
流れに逆らいつつも流れを止めない動き。
戦闘訓練でいつの間にかみんな身についた動作だが、一番下手いのは俺だったり。
理由は多分空間把握能力の差だと思っている。
獣人の彼女達は耳とか鼻とか俺よりも大分いいからね。
その2つは少し身体強化しないと生身じゃ追いつけない。
反射神経もすごいしね。
どれぐらいすごいのかというと、チートパワーの俺が身体強化使わないと、ラナさんにすら剣を当てれないくらいすごい。
ニーナはどちらかというと音依存で反応してるけど、それでも速い。
時々俺のチートは魔力だけなんじゃないか?って思いそうになるよ。
実際身体能力はチートと言っていいくらいに高いんだけどなぁ・・・。
周りのスペック高いと変な勘違い起こすね。
「あそこです」
ラナさんが言ったそこは、ギルド前の広場でかなり目立っていた。
美味しそうな匂いを辺りに撒き散らし、仕事から帰ってきた冒険者達の足を半強制的に引き止める。
屋台にもかかわらず、短いながら行列も出来ており、立食席は全て埋まっている。
というか屋台なのに立食席まであるのも珍しいんだけどな。
「随分人気なんだな」
「最近話題のお店でして、クチコミで評判が広まったようです」
「冒険者イチオシだそうですよ」
「ユーリ、はやく」
ミーナに急かされて俺達も列に並ぶ。
客回しは予想以上に速く、すぐに俺達の番になった。
「へいらっしゃい!」
威勢のいいおっさんとその妻であろうおばさんが手際よく仕事をこなしている。
「ヴァースト4人分お願いします」
「あいよ、今焼くからちょっと待ってな」
どうやらストックのちょうど入れ替わり時だったみたいだ。
空きっ腹を抱えながら、食欲を引きずり出すような匂いの中待っていると、列の後ろが騒がしくなった。
「おせーぞオラァ!」
「いつまで待たせんじゃゴルァ!」
後ろを見ると冒険者なのか盗賊なのかわからんような2人組がギャーギャー騒いでいる。
やーねーと他人事でボケっと見ていたら、2人組が標的を列の先頭である俺にしたのがわかった。
見た目ガキだし御し易いと思ったのかもしれない。
「おらガキ、ちょい俺ら前に入れろや?」
疑問形の成を借りた命令形という高度な言葉を喋るとは侮りがたし!
解析してみたところ、まあ中堅の下層くらいだな。
弱くはないんだろうけどさー、恥ずかしくはないのか?
大の大人が11のガキ捕まえて割り込みさせろとはこれいかに。
「嫌です」
こういう輩にはハッキリと言ってやらないといけない。
何故なら理解力があまり無いからだ。
偏見と言われようと俺はそう信じている。
遠まわしに言ったところで、「ああん?てめぇもう一度言ってみろ」と来るに決まっている。
だったら最初から彼らにもわかるように言ってあげれば話も早くて済むのだ!
「てめぇ今なんつった?」
どうやら俺の努力は無駄だったようである。
これ以上どう簡潔に述べよというのか。
「嫌だと言いました。順番を譲る理由がありません」
「ユーリ様、私達は構いませんよ?」
後ろからニーナがこっそり耳打ちしてくるが、俺はこいつらに順番を譲る気はさらさら無い。
なぜって俺は腹が減っているのだ!
もう何時間も空腹を耐えて、ようやっとこの欲望を満たすことができるという時に、どうしてまた我慢しなければならないのか。
まあ確かに、普段の俺なら面倒を避けて順番を譲ったかもしれない。
でも今は別。
絶対に譲らん!
「っち、うすぎたねぇ獣人なんか連れやがって」
ああ、それにもう一つ、さっき解析で見た[種族主義者]の文字。
こんな奴らには暫く断食してもらおうか。
長らくお待たせしてしまったかもしれません
お久しぶりです
スランプにド嵌りしてますw
リアルに忙殺されかけたと思ったらスランプorz
カリーヴルスト美味しいですよ




