18剥き目
「どうした?」
俺が規格外なのはわかってるけど、ニーナまで固まるのは久しぶりだ。
鉄仮面ニーナが口を開けてるのもまた珍しい。
「ユーリ様、何ともありませんか?」
「何がだ?」
「いえ、隷属の首輪をいとも簡単に外されてましたので」
何か問題なのか?はっ!まさか勝手に外したらまずかったり?
「無理矢理外しちゃダメだった?」
「そうではなくて、無理矢理外せることが可笑しいのです。いや、ユーリ様は元からおかしいのですが、ここまでとは思いませんでした」
うーん、まあ外したというより壊したの方が近いしな。
それほど大変でもなかったけど、どうやら常識外れだったみたいだな。
人外認定されてしまった。
「まいいよ。そっちの人達も外しちゃう?」
エルフの人と人間の人にも聞いてみる。
外しちゃまずいことはないだろうよ。
「あの、できることなら外してもらいたいのですが、その、大丈夫でしょうか?」
「大丈夫?って何が?」
エルフの人がすごい恐る恐る聞いてきたんだけど、いったい何の話でしょう?
「そちらの2人の首輪を外す時に物凄い魔力を消費してたので、えと、魔力の残りはあるのでしょうか・・・?」
8歳の子供にこんな丁寧に控えめにする必用は無いと思うけどなぁ。
でも好印象ですよ!どうでもいいけど。
それに・・・
「大丈夫だ。あと1000人は余裕!」
ぶっちゃけ5000人くらいでも多分余裕だけどな。
「1000人ですか・・・もうなんだかよくわからないです。あ、でもよろしくお願いします」
「はいはい~。でもよくわかったな?なるべく漏れないようにしたつもりだったんだけど」
うん、普通魔法使ったら魔力の反応でわかっちゃうのよ。
慣れてくると相手の位置とかが結構わかる。
で、俺はその魔力がなるべくバレにくい様に魔法を使ってるんだけど、魔力の消費量までわかっちゃうのは困るなー。
「私エルフなので、そういうのには敏感なんです」
「あーなるほど」
種族補正ぱねーな。
エルフかー。耳がとんがってるね。よく言うエルフ耳ってやつ。
そして美人!だが齢300超え!
なんつー遅咲き種族か!
それでこの状況でも割と落ち着いてるのかもしれない。
「はいっと、終わったよ」
「ありがとうございます。やっぱりすごい魔力量でした」
エルフさんと人間さんは首輪が外れてかなり安心したようだ。
まああんなもんつけてたら不安にもなるわな。
俺が人外で良かったよ、ホント。
エルフさんと人間さんの首輪も外し終わって、もう一度獣人親子に向き直る。
しかし何度見ても親子というのは信じられないな。
お母さん見た目若すぎだ。でも歳は40超えてるっていう・・・。
人は見かけによらないな、うん。
獣人も長命種だからかもしれん。てかそうだろう。
「改めて、この度は有難うございました。ほら、ミーもお礼言いなさい」
お母さんの後ろに隠れている子はミーというのか。もしくはミーなんとかの略なのかもな。
親子揃ってかわいい系美人で、なんと三毛猫だ!
基本白髪ベースに黒と黄土色のメッシュが入った感じ。斬新やな。
瞳は琥珀色で綺麗だ。ふつくしい。
陽の光の下ならまるで黄金のように輝くに違いない。
俺はそんなミーちゃんが出てきやすいようにエンジェルフェイスでニッコリ微笑んであげた。
もちろん下心はあるけど何か?
「・・・ぁりがと」
・・・あ、ありのまま今見たことを話すぜ!
『恋に落とす勢いで微笑みかけたら、いつの間にか俺が落とされていた』
な、何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった・・・。
もじもじ少女にあんな破壊力があったとは・・・。
催眠術だとか惚れ薬だとかそんなちゃちなもんじゃあ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・。
焦っちゃ駄目だ。落ち着いて、笑顔を絶やさずにいこう。
「どういたしまして。それで、これから2人はどうするんだ?何かあてはあるのか?」
「いいえ、帰る場所もないので、まずは稼ぎ口を探そうと思います」
「そうかそうか・・・」
これはチャンスじゃなかろうか。
どこかで稼ぎ口を見つけた場合、確実に会う数は減る。
しかも女手一つとなるとちょっといかがわしいゲフンゲフンな仕事場の確率が高い気もする。
なら俺が雇っちゃえばいいじゃん!
そう、これは人助けだ!
決して俺がロリコンなわけではない!Yesロリータ!Noタッチ!
あれ?でも俺ガキだから別に関係なくね?まいいか。
「ニーナ」
「はい、なんでしょう?」
「蓄えはどれくらいある?」
「そうですね・・・人を数人雇っても、定期的に仕事をこなせば充分な給金を与えるくらいの余裕はありますよ」
くっ、このエスパー兎め。またしても俺の心を!
まあありがたいですね、ホント。
「よし!ではこの2人を雇うぞ。いいな?2人とも」
「え?はい、え?」
思わずお母さんの方が頷いてしまったが、娘は理解が追いつかないままキョトンとしている。
「では一度リップジックに戻りましょうか。宿で今後のことについて話しましょう」
「いや、あの、え?娘はまだ8歳ですけど、いいんですか?」
「構わん!カワイイこそ正義!」
さあここで押し切ってうやむやにして誤魔化して契約してしまえばこっちのもんよ!
押し売りは大得意だぜ!主に前世の影響で。
「え、じゃあ、えと、ラナといいます。ミーナ共々、不束者ですがよろしくお願いします」
なんか40歳超えてるのに可愛く見えてくるなぁ、この人も。
やっぱ親子だな。老けとかシワとか全くの無縁だな。
そして名前今聞いたよ。ラナさんにミーナちゃんね。
でもここまで言っといて、ラナさんにはあまり食指が動かないんだ。
前世じゃネトリなんてやりまくってたけどさ、良心の呵責なのかわかんないけど、気分がノってこない。
まあ俺にはニーナミーナがいるからいいさ。
「はいはいよろしく~」
「よろしくお願いします」
ニーナは相変わらず完璧な所作で礼をするね。
誰に対してもしっかりとした対応をするのは素晴らしいな。尊敬に値する。
何はともあれ、一旦リップジックに戻って・・・宿取らないとね。
何か忘れちゃってたけど、エルフさんはそのまま森へ帰って行きました。
野生動物みたいな言い方しちゃったけど、別にそういうわけではなくて、単に人の多い場所はあまり好きじゃないそうで、衣食住は全て森の中なら問題ないらしい。
なんというハイスペック。
人間さんは一緒に来たけど、リップジック着いたらすぐに深々とお辞儀して「ありがとう」連呼して帰っていった。
まさかのリップジッカー(リップジック在住ってこと)だった。
というわけで今4人でリップジックの宿にいますねん。
現在はニーナがラナさんと今後のことについて話し合っていて、俺は究極萌生物のミーナちゃんとコンタクトを取っていた。
2人の仕事は多分家事の手伝いになるだろう。
ニーナが一通り完璧にこなすが、当分はそれの修行になるだろうな。
ニーナはそういうところ妥協しないし。
もちろんミーナちゃんも働かないとダメですよ?
働かざる者食うべからずってね。
決してミーナちゃんのメイド服が見たいわけではないんですよ?
ええ、違うんです。
「うーん、やっぱ風呂に入ったほうが良さそうだな。ニーナ」
「はい?」
「一旦切り上げて、風呂に入れてあげよう」
「まだ仮契約の段階ですが、いいのですか?」
『孤独空間』に入れていいのか?ってことね。
もちろんいいさ。いずれ必ず俺のものになるからね。
既に俺の中では本契約済みなのだよ。
「構わん。さあ行くぞ」
決してミーナちゃんと一緒に入りたいわけじゃないのだよ。
ああ、そうなのだよ。
「ユーリ様、流石にそれはどうかと思いますよ?」
またしてもエスパーか?!
ええい!ここは開き直ってしまえ!
「ニーナも一緒に入るか?」
「そうですね、どうせなら4人で入りましょう。充分な広さはありますし」
「足りなくても広げればいいしな」
まさかの許可。割とすんなり出ましたね。
ふぅ・・・内心アセアセだったぜ。
ニーナは俺がエロエロなのは知ってるんだが、こういうのは意外と緩いな。
処女のくせに。
俺にだけかもしれないけど。
だとしたら物凄くありがたい。
しかし・・・俺の2インチマグナムはいっこうに装填が終わらないな。
あと何年かかるのか、それを待つのもまた一興か。
・・・世知辛い。
これで8歳は終わりです。
次は11歳かな?
"普通の"エルフはヒロインで出ないかもしれません。
他のネタが意外と多くてどれ出そうか迷ってますw