人形の従者
色々濃いです。
そして、若干百合っぽいような気が・・・。
むしろ、ペルソナのアイギスみたいな感じかな。
気をつけてごらんください。
「おはようございます、ルシンディエタ様」
私の一日は彼の人に声をかけてから始まる。
「・・・おはよう、シェリー」
うっすらと微笑む御方がいた。
ルシンディエタ様・・・もといルシンダ様は神官服の下に着る肩が出るデザインの薄手の白のワンピースを着て待っていた。
まず銀糸と金糸でシンプルながら上品な刺繍が施された白の神官服を着せる。
ゆったりとしたそれは足首までの長さで、下に着ている白のワンピースは見えない。
腰にベルト代りの教会を象徴する刺繍が施された青のサッシュを巻きつける。
それに加えて、ショールの様にひらりとした肩布を肩から羽織ってもらう。
銀の御髪を丁寧に櫛で梳かした後、王家の印が押された金の簪で御髪を結いあげ、
最後に白のヴェールを顔を隠すために頭から被せた。
陛下がルシンダ様にヴェールを人目に付く所で外してはいけないとおっしゃった意味が分かる。
この方は、―――――――綺麗すぎるのだ。
そもそも、ルシンダ様の父君であるライグーン皇太子殿下に
容姿が女性男性の違いがあるけれど瓜二つなのだ。
ライグーン殿下は天の御使いでさえも堕天させるとまで謳われた美貌(男性に美貌というのは私の知識では可笑しい事とインプットされているけど)を持っていた。
それに、ルシンダ様は瓜二つ。
むしろ、女性の柔らかな美しさもそれに加わって美貌の破壊力が恐ろしい事になっている。
誰でも一目見たら、一瞬で固まる。
短い人で3日、長い人はへたをすれば一生、その美貌に呆けることになる。
もっと重症だと女性に恋を出来なくなる。
歩く人破壊兵器のような美貌、なのだそうだ。
この人は私にとってのいちばんのひとで、容姿は美しいと思うけれど、私はそうは思わない。
この人は心の美しさが一番素敵なのに。
くやしい。
私の体が、男性のモデルで無い事も。
人の体で無い事も。
この人を見かけだけで判断する有象無象も。
「シェリー?・・・シエラフィーア?」
「ルシンダ様?」
伏し目がちな、美しい灰色の瞳が不思議そうに私を見上げてくる。
「大丈夫?・・・まさか、魔核の調子が悪いの?」
そっと白い細い指が私の胸に当てられる。
その柔らかさにどきりとした。
この人は、優しすぎる。
人でもエルフでも、獣族でも魔族でもましてや生き物ですらない機械にすら、清い手を伸ばす。
機械の人形である私には、涙も、涙線ですら、ない。
けれど、泣くという機能があったならば、きっと私はこの方に絶対に泣かされている。
いじめられるわけでも苛まれているわけでもなく、優しさによって。
涙を流す羽目になっている。
この人は優しすぎる。
また、変わりようのない事実を再確認する。
「――――大丈夫です、ルシンダ様。さぁ、信者の皆さまがお待ちです。参りましょう」
「・・・うん」
「御手を、ルシンダ様。・・・私は、貴女様をお守りします」
「・・・そうだね。それが君の職務だ。けど、君は君の思うがままに生きていいんだよ」
最後の言葉は聞こえなかったふりをした。
なぜならば、私は貴女様だけをお守りすると決めたのですから。
優しすぎる貴女様を、清い貴女様を、儚い貴女様を守ると、貴女様に誓いをたてました。
初めて出会ったその日から、私は貴女様だけの人形です。
そう、私はルシンダ様によって修理された、古代の戦闘特化型魔導人形の唯一の存在。
私を直し、傍に置いた貴女様。
貴女様だけをお守りし、貴女様の為に生き、貴女様の為に死ぬのが私の意味。
ですから、そのような事をおっしゃらないでください。
私の意義を、否定しないでください。
私の聖女様。
(貴女様は私を泥から掬いあげた救い人で、私にとっての太陽で、私にとってのカミサマで、私にとっての世界で、私の全てなのです)
百合表記をするべきなんでしょうか。
個人的には行きすぎた個人崇拝(依存気味)なんですが。
そして、出てきたキャラは古代の魔導人形です。
回路として組み込まれた、属性魔法を使います。
次回あたりで詳しい説明を入れたいです。