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セトウチに灯る光  作者: Leon Black Angel


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第41話:精神の共鳴――深淵より出ずる悔恨の叫び

ララの黄金の光が、ポセイドンとリリスが支配する二つの精神世界を強引に連結させました。肉体的な激闘の裏側で、魂を削り合う「精神の聖戦」が幕を開けます。レニが抱くクリザード人への憎悪と自責、そしてジラが抱える相棒ラガールを失った絶望。神々の冷酷な意志を跳ね除け、ララは友の魂を光の元へと連れ戻すことができるのでしょうか。

瀬戸内の空が聖剣と双刃の衝突で割れる中、ララの意識は肉体を離れ、漆黒の精神深淵へとダイブしていた。

彼女の眼前に広がるのは、物質界の物理法則が一切通用しない、感情と記憶が濁流となって渦巻くカオスな空間だ。

「……ここが、二人の心の内側……なんて冷たくて、重苦しい場所なの」

ララは黄金のエネルギーを全身に纏い、闇を切り裂きながら進む。彼女の手からは、レオンの聖剣の輝きを中継するかのように光の糸が伸び、レニ(ポセイドン)とジラ(リリス)の精神を一本の線で繋ぎ止めていた。

「無駄なことを、小娘が」

冷徹な声が響く。水の檻の中から、巨大な三叉槍を構えた海神ポセイドンの精神体が姿を現した。

「この男の魂は、すでに憎悪という名の塩水に浸り、腐食している。我ら神の意志を受け入れたのは、彼自身の絶望だ」

同時に、影の迷宮からリリスの妖艶な、しかし毒々しい声が重なる。

「そうよ、ララ。この娘、ジラの心を見てごらんなさい。そこにあるのは、自分一人が生き残ってしまったという救いようのない空虚だけ。影を埋める光など、ここには存在しないわ」

精神世界において、ポセイドンとリリスの圧力は現実世界の数倍に跳ね上がる。ララは膝をつきそうになりながらも、必死に叫んだ。

「違う! 二人はそんなに弱くない! 私たちが信じたレニとジラを、返してもらうわ!」

ララは精神連結を加速させ、レニとジラの記憶の断片を強制的に融合させた。

瞬間、ララの視界にレニの記憶が流れ込んでくる。

それは、クリザード人によって故郷が、民が、愛する者たちが焼き尽くされた日の地獄絵図だった。燃え盛る黒い炎の中で、レニは無力に叫んでいた。その憎悪は、彼にポセイドンの力を受け入れさせるのに十分すぎるほど純粋だった。

「……殺す。僕からすべてを奪ったクリザードの連中を、一人残らずこの手で……!」

さらに、レニの心にはもう一つの闇が渦巻いていた。自らの暴走によって、何十億もの無実の命を奪いかけたという耐え難い罪悪感だ。

「僕のせいだ……。僕が憎しみに呑まれたせいで、世界が沈みかけた。こんな僕に、生きる資格なんてない……!」

ララはその悲鳴を受け止めながら、今度はジラの深淵へと手を伸ばした。

そこにあったのは、かつての相棒・ラガールとの記憶。共に戦い、共に笑い、そして……彼を守れなかったあの日。

「ラガール……どうして私は生きているの? あなたを捨てて、私だけが影の中で息をしている。守れなかった。一番大切な人を……私は一人の戦士としても、失格なのよ……!」

二人の絶望が波となり、ララの精神を飲み込もうとする。

ポセイドンとリリスは、その隙を逃さず、ララの光の結界を侵食し始めた。

「理解したか。彼らは自ら望んで沈んでいるのだ。他者の光など、今の彼らには毒でしかない」

「いいえ……それは違う!」

ララは涙を拭い、黄金の翼を精神世界で大きく広げた。彼女の周囲に、二人の幸せだった頃の記憶、レオンやナンドと交わした言葉、共に戦い抜いた絆の風景を具現化させる。

「レニ! 過去は変えられないかもしれない。でも、あなたは一人でその罪を背負う必要なんてないの! 私たちがいる……レオンがいる、ナンドがいる! 奪われたものを数えるんじゃなくて、今、あなたの隣で笑っている私たちを見て!」

彼女の声が、レニの精神の核に触れる。

「ジラも聞いて! ラガールは、あなたに絶望してほしくて命を懸けたんじゃないはずよ。あなたが生きていること、それ自体が彼の生きた証なの! 守れなかった自分を責めるのはもうやめて。これから、もっと多くの人を守るために……立ち上がって!」

ララの純粋な意志が、精神世界に黄金の大爆発を引き起こした。

ポセイドンの水の檻に亀裂が入り、リリスの影の迷宮が光に焼かれて後退していく。

「ぐっ……おのれ、人間の分際で……神の支配を揺るがすというのか!」

ポセイドンが激昂し、精神体でありながらも三叉槍をララへと突き出す。

だが、その瞬間。

精神世界の底で眠っていた、レニとジラの「本来の瞳」が、わずかに光を取り戻した。

「……ララ……?」

「みんな……そこに……いるの……?」

二人の意識が、神々の支配に抗い、水面へと浮上しようと足掻き始める。

精神世界全体が激しく揺れ、現実世界にいる二人の肉体からも、ポセイドンとリリスの気配が薄れ始めた。

「今だわ! 二人とも、手を伸ばして!」

ララが叫び、黄金の鎖を二人の魂へと伸ばす。

しかし、神々もタダでは引き下がらない。ポセイドンは瀬戸内の全海水を逆流させ、精神連結を力ずくで断ち切ろうと最後の猛威を振るう。

その凄まじい衝撃は、現実世界で戦うレオンとクラトスにも伝わった。

「……フン、内側で何かが起きているようだな」

クラトスは、レオンの聖剣を双刃で受け止めながら、不敵に笑った。

「だが、それがどうした? 器が壊れれば、神の意志はまた別の場所へ移るだけだ。それよりレオン……貴様のその『聖剣』、そろそろ限界のようだな」

クラトスの全身から、神をも屠る紅い闘気が噴出する。

「これより先は、小細工など通用せぬ領域だ。貴様の信じる『神の意志』と、私の『神への呪い』……どちらが本物か、その身で確かめるがいい!」

レオンは聖剣を握り直し、足元の激流を蹴り飛ばして跳躍した。

「ああ、受けて立つよ、クラトス! ララたちが頑張ってるんだ……僕がここで、あんたを止める!」

精神世界の激突と、現実世界の頂上決戦。

瀬戸内の命運は、ついに最終局面に突入する。

第41話をお読みいただき、ありがとうございます!

ララの決死の説得により、レニとジラの魂がついに目覚め始めました。二人が抱えてきた憎悪と悲しみは想像以上に深いものでしたが、ララの「絆」を信じる心が、神々の支配に風穴を開けました。

しかし、神々の抵抗も凄まじく、精神世界は崩壊の危機に瀕しています。

そして、地上ではレオンとクラトスのガチンコ勝負が再燃。

クラトスの放つ紅い闘気、そしてレオンが振るう聖剣の真価。

次回の決戦から、目が離せません!

この物語を応援してくださる方は、ぜひ【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークをお願いします。執筆の大きなモチベーションになります!

次回、第42話「限界突破――聖剣と魔神の双刃」。

お楽しみに!

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