第二十八話『凍りついた世界』
力には、代償がある。
そしてその代償は――
時に、最も必要なものを奪う。
空気が止まる。
時間が――凍る。
風も。
波も。
すべてが静止した。
その中心に立つのは――
レオン。
黒いオーラ。
カイロスの力が完全に溢れていた。
『……いいな』
カイロスが低く笑う。
『この力』
レオンは前を見る。
そして――
爪で空間を切り裂く。
バキィン――!!
現実が裂ける。
黒い亀裂。
その向こう。
別の空間。
歪んだ世界。
影が渦巻く。
その中に――
二つの存在。
レニ。
そしてジラ。
だが――
違う。
目が黒い。
完全に。
ポセイドン。
リリス。
レオンが一歩踏み出す。
ナンドとララも続く。
三人は裂け目を越える。
異空間。
重い。
空気が違う。
レオンが言う。
「……逃がさない」
ポセイドンが笑う。
『遅い』
リリスが微笑む。
『ここは私たちの領域』
ララが構える。
「なら――奪い返すだけ」
レオンが剣を呼ぶ。
光。
聖剣。
だが――
触れた瞬間。
バチンッ!!
雷。
レオンの手が焼ける。
「っ……!!」
剣が消える。
沈黙。
光が現れる。
創造の長子。
『レオン』
静かに。
『今のお前は触れられない』
レオンが顔を上げる。
『カイロスの力が満ちている』
沈黙。
『その剣は“純粋な者”のためのもの』
カイロスが苛立つ。
『チッ……』
低く唸る。
『欲しかった力だ』
怒り。
『だが理解した』
静かに。
『私は持てない』
消える。
光も消える。
沈黙。
ララが前に出る。
「……関係ない」
剣がなくても。
「やるだけ」
ナンドが笑う。
「そういうことだな」
拳を鳴らす。
レオンが頷く。
「分担する」
短く。
「レニは俺だ」
ナンドが言う。
「影は任せろ」
ララが前に出る。
「ジラは私が」
戦闘開始。
ポセイドンが動く。
水が爆発する。
巨大な波。
レオンが突っ込む。
拳。
衝突。
ドォン!!
空間が揺れる。
ポセイドンが笑う。
『その程度か』
水の刃。
連撃。
レオンが回避。
カイロスの力で加速。
爪で受ける。
火花。
レオンが反撃。
雷を纏う拳。
直撃。
ポセイドンが吹き飛ぶ。
一方。
ララ。
ジラと対峙。
リリスが微笑む。
『愛は弱さよ』
ララが叫ぶ。
「違う!!」
光の盾。
突進。
リリスが影で回避。
背後に回る。
「遅いわ」
攻撃。
ララが防ぐ。
衝撃。
膝をつく。
だが――
立ち上がる。
「……ジラ」
涙。
「戻ってきて」
一瞬。
ジラの目が揺れる。
リリスが舌打ち。
『邪魔ね』
影が増える。
ナンド。
影に囲まれる。
無数。
だが笑う。
「ちょうどいい」
拳を握る。
雷。
爆発。
影が消える。
だが――増える。
「キリがねぇな!!」
突っ込む。
連撃。
破壊。
中央。
レオン vs ポセイドン。
激突。
連続攻撃。
水と雷。
空間が裂ける。
レオンが叫ぶ。
「返せ!!」
ポセイドンが笑う。
『もう遅い』
水が圧縮される。
巨大な槍。
発射。
レオンが受ける。
吹き飛ぶ。
地面を削る。
止まる。
血。
だが――立つ。
「……まだだ」
カイロスが笑う。
『いい』
『そのまま戦え』
その瞬間――
ララの声。
「レオン!!」
見る。
リリスがジラを完全に飲み込もうとしている。
ナンドも押され始める。
レオンが歯を食いしばる。
「……終わらせる」
力を解放。
オーラが爆発。
ポセイドンが目を細める。
『それでこそだ』
突撃。
衝突。
三方向からエネルギーがぶつかる。
光。
闇。
雷。
水。
すべてが混ざる。
そして――
限界。
バキィィィン!!!
空間が砕ける。
次元崩壊。
静寂。
世界が戻る。
現実。
だが――
すべてが止まっている。
水も。
風も。
時間も。
その中に。
五人が立っている。
呼吸だけが動いている。
ナンドが言う。
「……戻ったのか?」
ララが周囲を見る。
「でも……時間が止まってる」
レオンは前を見る。
ポセイドンとリリス。
まだそこにいる。
逃げていない。
戦いは――終わっていない。
第二十八話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は「力の代償」と「精神戦+肉体戦の融合」を描きました。
・聖剣が使えない制限
・カイロスとの共存
・仲間同士の戦い
そしてついに――
現実と精神世界が交差しました。
次回、救出か完全崩壊かが決まります。




