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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

悪役令嬢に憧れる令嬢達

掲載日:2026/01/12



私の憧れは隣国のソルフェリノ帝国にいるマゼンダ・アゼリア公爵令嬢。

同じ公爵家なのに私より見た目も学力も武力も何もかもが優れていて心の底から尊敬する方なんです。

そんな私の憧れの公爵令嬢は卒業パーティーでソルフェリノ帝国の第一王子であるライト・ソルフェリノ様から婚約破棄とダスティー男爵令嬢をいじめたという冤罪をかけられて国外追放となるはずでした。


とは言ってもはずだった…というのはあくまでマゼンダ・アゼリア公爵令嬢の婚約者であるライト・ソルフェリノ王子を誑かした浮気相手のオペラ・ダスティー男爵令嬢の考えている話でマゼンダ様を悪女だと言うのはライト・ソルフェリノ様とオペラ・ダスティー様、ダスティー男爵くらいです。

アゼリア公爵令嬢と関わったことがある方なら(※ライト王子とオペラ男爵令嬢を除く)婚約者に幻滅しているにも関わらず国の為に婚約者の地位にいることも男爵令嬢いじめなんて体力も時間も無駄なことをする暇があるなら仕事や学業を終わらせてさっさと寝たいと考えているほど忙しい方ということも認識しています。

なんなら周囲は皆マゼンダ様の味方で浮気相手を作って裏切ったマゼンダ様を悪役にするほど時間に余裕があるならマゼンダ様に謝罪をして、寝る時間もないくらいにしっかり業務をして欲しいと苛立っていました。


あの二人にとってアゼリア公爵令嬢は二人の中を切り裂く悪女なのだろうけど悪役令嬢(仮)という立場はマゼンダ様にとって面倒ごとであって彼らに対して彼女はほぼ無関心でした。

それでもいつまでも放置は出来ない為、卒業パーティーでの王子達の計画がちょうどいいからこのタイミングで動いたようです。


そして三ヶ月前、マゼンダ様は王子達が行動に移す前に行動を開始したらしい。

何でも卒業パーティーで王子や公爵令嬢のそばにいつもいる影の証言や魔導具から冤罪である証拠の書類をバンバン王子の顔面に叩きつけた後、同じ書類をパーティー会場内外にばら撒き『既に婚約は先月解消済みですわ、元婚約者様。皆さん、詳しくは明日の新聞をご覧下さいませ。では私はそろそろ失礼しますわ。』と綺麗なカーテシーを披露して立ち去ったとのこと。

王子の代わりに王子の代理を行い、婚約者教育を終わらせ、生徒会にも入っていた彼女の忙しさは同級生の方々もよく知っていましたから誰も彼女を引き留めたり途中退出なんてするな!なんて言いませんでした。

むしろ彼女と王子を交互に見た周囲の人々はそんなことに彼女の時間を使わせるなよ…と眉間に皺を寄せたみたいです。

また、マゼンダ・アゼリア公爵令嬢が立ち去った後、浮気した上に王子の代わりに業務をこなしていた彼女を陥れようとする王子だけでなく彼女の評判を落とそうとした男爵令嬢にも周囲から冷たい目を向けられたのは当然のことだと思います。


ちなみに今は国外追放どころか名誉毀損として慰謝料を請求し、悠々自適に過ごしているようなので私は憧れの令嬢がゆっくり休めているようでホッとしました。


艶やかな金髪に赤い瞳が力強く、美人で自分の意見をしっかり持っている彼女は見た目も中身も私の理想の人。

それをベイカー様に熱く語った私は顔の熱が冷め切らないままベイカー様を見つめ首を傾げる。



「でも私、ベイカー・ペルシアン様と意見が合うとは思わなかったです。」


「そう?マゼンダ様の判断力と行動力はいつも凄いと思っていたんですよ。特に自分が浮気したくせにいきなり人に罪を押し付けようと計画した婚約者に対する容赦ない所!最高ですわ…!!私もあのような婚約解消をしたいものです。」


「…ブハッ!?」


「……こちらを使って頂戴。」


私の隣で婚約者であるロータス・ネール様が紅茶を吹き出して固まり、ベイカー・ペルシアン様の隣ではフクシア王国の王太子ブライト・フクシア様が涙目でベイカー様を見つめている。

何と返せば良いものか悩みながらひとまずロータス様にハンカチを手渡す。

ブライト・フクシア様は剣術に優れていてガタイが良い方で見た目が悪いわけじゃ無いし、評判も良いがベイカー・ペルシアン様のタイプではないということなのだろうか。

ちなみに幅広く学ばれていて将来は一人娘の私の元へ婿養子としてミレニアル公爵家に入るロータス・ネール様は儚げ系である。

もしかしてベイカー様はロータス様の様な方がタイプなのかしら?と思った私の思考は次の一言でストップした。


「私、小さくて可愛いハムスターみたいな貴女のような方が良かったわ。メルティ・ミレニアル公爵令嬢、私のモノにならない?」


にっこり微笑まれ、私は手を握られる。


「……え?」


「そもそもブライト様にはロータス様がお似合いだと思うのよ。力強い筋肉には儚い系!力という意味で権力や武力のあるブライト様を知力のあるロータス様に補って頂いたらこの国は安泰ですわ!ブライト様もロータス様も弟妹がいらっしゃいますから養子として受け入れれば完璧ではないですか!」


ニコニコ笑顔のベイカー様に釣られて頷きそうになったけど、頼りなくベイカーに握られていない方の手をロータス様に握られてしまえば頷けそうにもない。

幼少期から婚約して早10年、政略結婚で私達の間には恋愛感情はないけれど親愛度は高いのだ。


「ちなみにこの件、フクシア様は納得されてるんですか?」


「納得しているはずがないだろう!?7歳の頃、どの殿方がタイプですか?という質問から始まり、ずっとずっとベイカーしかいらんと言っておるのに他の奴を勧めて来るから困ってるんだ!!」


「……とのことですがベイカー様?」


涙目で訴えるフクシア様はまるで捨てるなと訴える子犬のよう。

ちょっとだけベイカー様がソワッとしたのですが…もしかしてちょっとSっ気とかあったりします?


「…その顔は良いのよねぇ……」


うっとり吐息を吐くベイカー様を見て疑っていたのが確信となる。

うーん…好みの人の泣き顔とか困り顔が好きなタイプだ、これ。

恐らく小動物みある方も好きなのだろう。


「ちなみにベイカー様、私にキスとかそれ以上のことは出来ますか?」


「ん?そうね…キスは出来るわ。それ以上となると…」


「ではそれが私ではなくフクシア様なら?」


「んー。似たような感じかしら。キスは出来るけどそれ以上は分からないわ。」


男性陣二人が真っ赤になっているが私は気にしないで話を続ける。


「でも私に対しては言葉を濁し、フクシア様に対しては分からないと答えるということは私よりフクシア様の方が良いんじゃないですか?」


「でも私、ブライト様は情けないのが似合うと思うのよ。それを考えると私じゃダメなの。」


「つまりベイカー様はフクシア様の情けない姿がみたい。ただそれだとベイカー様より他の…例えば私の婚約者の方が似合うと?」


「そうよ。私より同性の方がソレを引き出せますから。私は裏方でブライト様を支えれたらなと。」


探せば異性でも見つかりそうだけど、他の女性にフクシア様を渡したくないという想いが無意識のうちにあるのだろう。

その証拠に私の時とは違い、フクシア様とキスやそれ以上出来るか聞いた時からベイカー様の耳がほんのり赤い。

多分好きの種類がよく分かっていないのだろう。


「可愛いフクシア様が見たいならお話、書いてみませんか?私の婚約者をフクシア様に譲ることは出来ませんがお話の中でならフクシア様とくっつけても良いですよ。なんなら絵描きを呼んでフクシア様とロータス様に似せた挿絵を添えても良いかもしれませんね。」


「お話…書けるかしら?」


「フクシア様も協力してくださると思うので大丈夫ですよ。なんなら文脈とか表現方法とかはロータス様に聞いたら色々答えてくださると思います。」


「それなら…書いてみようかしら…!」


ギョッとしている男性陣にこのままフクシア様とロータス様、実際に二人が結婚するか話の中で恋人になるかの二択ですよ?と言ったら二人ともこの話に賛同してくれました。










2年後この時の会話がきっかけでベイカー様は本を出版、一部の方々から根強い人気を得て男性同士、女性同士の恋愛について周囲の偏見が多少緩和した気がします。

また、最初は渋々ベイカー様のネタ提供として又、婚約解消されない為に頑張っていたフクシア様とロータス様は次第に仲良くなり親友になったみたいです。



「それでベイカー様、最近はどうですか?」


「あ、あのね…先日ブライト様からだ、抱きしめられてち…ちゅーしたの。」


「わぁ…!おめでとうございます!!」


「お話の中だとブライト様はロータス様に翻弄されて真っ赤なのに、現実では私の方が真っ赤だったわ…」


「それはお話のフクシア様と現実のフクシア様は違いますからね…」


「……なんか、悔しいわ。それに誰かと既にち、ちゅーしたことあるんじゃないかって疑ってしまうのよ。」


「誰よりもそばにいたベイカー様ならフクシア様がベイカー様一筋だって分かっているでしょうに。」


「それは分かっているのよ。…でも最近、何だかお話の中でもロータス様に嫉妬する私がいるの。前はガンガンブライト様に男性を勧めていたのが嘘みたいに嫌でね…どうしましょう。」


「ちょうどロータス様とブライト様をイメージした恋愛小説が書き上がったんでしょ?次は架空の人で書いたらどうかしら?」


「そうね…それもありかも。何とか書き上げた小説は販売して次回作は全然違うものを書くわ!!」


椅子から立ち上がったベイカー様はまるで私の憧れであるマゼンダ公爵令嬢のように力強い瞳をキラキラさせていた。


「私、ベイカー様も憧れの人だわ!」


「なっ…!」


綺麗で発言力があって行動力のある彼女の手を取り微笑む。


「だからフクシア様と仲良く手を取り合って良い国にしてくださいね!」


「そ、そんなの、当たり前のことですわ!!」


「さすがベイカー様、頼りになります…!」



私は見た目は平凡だし、発言力や行動力もないけれどベイカー様達を褒めて動かすのなら得意かもしれない…と考えてしまった私は悪役令嬢の取り巻きとか向いているかもしれないなって思った。

勿論、なりたいのは断罪されない悪役令嬢だけどね。


ご覧頂きありがとうございました。

良ければ☆評価などよろしくお願いします。


追記

成人を迎えられた方、おめでとうございます。

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