表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

絶望のダイヤモンドダスト

レヴィの手から膨大な魔力が解き放たれる。指先から放たれた波動は、夜空の水分を凍らせ、無数の結晶となって辺りに散りばめられた。光を受けてダイヤモンドのように輝く粒子が、霧の中で瞬き、幻想的でありながらも凍りつく寒さを孕む光景となる。


「凍れ」

レヴィが指を鳴らすと、極寒の魔力の波が三人に襲いかかる。風は刺すように冷たく、肌を裂くような痛みと共に一瞬で身体の熱を奪い取った。ディアの小さな羽が氷結し、力なく震える。支えきれずに墜落し、冷たい石畳に叩きつけられる寸前、シオンが空中で素早く反応した。両手でディアを抱きとめ、優しく地面に降ろす。


「大丈夫、ディアちゃん!」


シオンの声に、ディアはまだ小さく震える。

冷気が体を包み込み、意識が朦朧とする中、ミオは必死に結界を強化する。寒さで顔を歪めながらも集中している。膨大な魔力の波に身体が震える中、ディアへの結界を強め、氷の刃から守ろうと全力を注ぐ。


しかし、ディアの笑顔は消えた。羽が凍り、身体が震える小さな姿に、強気な瞳に微かな悲しみが混ざる。


「ここまで差があるなんて……」

その言葉はかすかに、しかし胸に刺さる絶望を含んでいた。冷気と力の差の前に、ディアは泣きそうな顔でうずくまる。


シオンはディアの頭にそっと手を置き、優しく微笑む。

「ミオが守ってくれるから、少し休んでて。ディアちゃん。」


小さな体を抱きとめるように手を添え、魔力の流れを安定させながら、心を落ち着ける。ディアは弱々しく肩を震わせながらも、シオンの言葉にかすかな安心を覚える。


「どうするつもりなの……? あんなの、勝てっこない……」

ディアの呟きは氷の風にかき消されそうだった。だが、シオンの瞳は揺らぐことなく、夜空の光を背に力強く光る。


「もちろん勝つよ。」


その言葉と同時に、シオンは両手の魔力をさらに膨らませ、光の波を渦巻かせながら飛び立った。夜空を切り裂くように加速し、レヴィに向かって一直線に進む。


ミオに振り返り、優しく微笑む。

「ミオ。私のは解除していいから、ディアちゃんを全力で守ってあげて。」


ミオはすぐに頷く。

「もうやってます! だから、早く終わらせてくださいね。私が凍る前に」

そして、空元気な笑顔で答える。


シオンは微笑み返し、言葉を発さずにミオの元を離れる。氷の魔力が渦巻く戦場へ、無言で飛び込んでいくその背中は、夜空の光に包まれ、まるで守護天使のように輝いていた。


目の前に現れたのは、氷の魔女レヴィ。冷気が渦巻く中、彼女は高笑いし、薄氷の鎧を纏った姿で立ちはだかる。吐く息が白く凍り、周囲の空気が凍てつき、ダイヤモンドダストが幻想的な空間を演出する。


「あなたにこの国は渡さない。」

シオンは瞳を鋭く光らせ、両手から膨大な魔力を解き放つ。


「渡す? 壊すの間違いだろ?」


レヴィの冷笑に、氷の刃が宙を舞う。だが、シオンは全身に光の魔力をまとい、掌から放たれる光の槍が氷の刃を貫く。空中で光と氷が衝突し、閃光が街を照らす。

シオンは翼のように魔力を広げ、連続して光の槍を放つ。氷の魔法陣を分断し、凍結した地面の亀裂を跳ね飛ばす。光の軌跡は夜霧に反射し、街全体が白と青の光に染まる。


光と氷のぶつかり合いの中で、シオンの瞳は揺らがず、戦いの意志と決意に満ちていた。そして、見守るディアとミオの心もまた、希望と信頼で震えていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ