5話 復活のオドーレス もう一度踊れ!
一方そのころ
「いらっしゃいませー
ただいま唐揚げくん一個増量ぜひいかがですかー」
オドーレスはコンビニの店長になっていた
死んでいなかったのである
白銀の狐達が住まう白狐の里
かつては平穏な地で知られていたが、いまや反乱により包囲されていた。
前方には豊かな森があり、その先には断崖絶壁の海が佇む。後方には岩山が連なる
その変わらぬ景色のなか、空気だけが張り詰めていた。
「わらわ達は降るしかあるまいのか」
朱色の着物が本殿の闇に飲まれ、普段の妖艶な雰囲気からは、想像がつかないほど弱って見えた。
九つの尾は垂れていき、紫の瞳は床に伏せられたまま微かに揺れていた。
彼女はこの里の長であったが山奥の神社まで追い詰められ精神が疲弊していた。
五千年の歴史ある里を陥落させてしまった重圧は、その身を静かに深海の底へと沈めていく
妖狐である白焔の策略と、堅固な地形により不落と思われていたが………民の心は話術で奪われ、会議を開けども降伏一色
一矢報いるために戦おうにも、民が巻き添えになるため身動きも取れない
………わらわはいかにすればよかったのであろうか?
思い返すこと半年前
反乱の指導者が訪れた日も、本殿で会議が開かれていた。
「このまま冬となれば飢死する者が出よう、何か案がある者はいないか?」
見渡せば誰もが痩せ細り、頬の骨が見え、食に困窮していることは容易に想像がつく