俺と彼女
本日の空は清々しいほどの青に染まり、暖房をつける必要がないくらい暖かな春らしい天気だ。
たまの休日、ドライブを楽しむのにもってこいのぽかぽか陽気以上に頭がぽかぽかしてる奴が一人。
「久しぶりのドッライブ~♪そうの運転デッド・オア・アライヴ~♪」
センスがないうえに失礼極まりない歌をご機嫌で口ずさむのは、俺の10歳年下の彼女、遠藤真奈。
彼女は19歳には見えないくらい幼い顔立ちをしており、さらに小柄なことから中学生に間違われることもしばしば。
社会人29歳の俺と見た目中学三年生の彼女…
他人から見たら犯罪に見えるかもしれないがそんなつもりはない。
まあ、友人達には犯罪者呼ばわりされるが…。
「…そう!そうってば!ねえ聞いてる~?」
「…ん?…あぁ、聞いてるって~。…で何だ?」
「もうっ!全っ然聞いてないじゃん!せっかく私がそうの為に丹精こめて作ったのに~」
眉間にしわを寄せて柔らかい頬をむうっと膨らます真奈。
こういう表情も可愛くてついつい意地悪をしたくなる俺。
「そうかそうか。…今日は本当に天気がいいなぁ。」
「そうっ!聞く気ないでしょ!もう~聞いてよ~」
(お、出たな。真奈の困り顔。)
さっきまでの怒ったような表情から一変して困ったように眉を下げる真奈。
この今にも泣き出しそうな表情が俺の一番のツボなのだが…
あまりやりすぎると真奈の機嫌を損ねかねないので注意だ。
「そうのばかぁ~はげぇ~三十路~」
「…俺は賢いしハゲてない。それとカウントダウンは始まってるがまだ三十路じゃないっ!
それで?何を作ったの?」
「うん!あのね歌作ったの!そうが運転で疲れないように!」
(…歌?おい、それってさっきのナンセンスなやつか?)
「…おぉ、そうか。聞くのはまたの機会に「今から歌うね!さんはいっ!
そうの運転技術は無免の賜物~♪
隣に乗せるはいたいけな少女~♪
ロリコン~結婚~新婚旅行~♪」
「…」
俺はこのあとデコピンを五発お見舞いした。