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31 全く判りません

砦とそう変わらない小さな城。

王都の大門で手紙を見せるとすぐに案内された。

って、ここは城の中じゃない。

城の横にある競技場?

「よくぞ参られた。俺が獣王のウルーフだ。」

何で鎧を着て剣を持っているんだ?

戦争の最中?

「シェルです。」

少し離れて俺の周りを取り囲んでいる獅子人、竜人、虎人、熊人、牛人も皆鎧を着けて武器を持っている。

って、みんなでかい。

揃いも揃って2m超えって何なんだ?

競技場の観覧席には獣人が次々と押し寄せている。

俺、さっき着いたばっかりだよ。

誰に聞いたの?


「早速だがシェル殿に1手ご指導願いたい。」

「はあ?」

考える間もなく獣王が俺に剣を放り投げた。

受け取ってみると刃を潰した訓練用の剣、ってもう切り掛かって来た。

どうなってるの?

ヒョイ、ヒョイ。

とりあえず避ける。

「流石はシェル殿見事である。これはどうじゃ。

ヒョイ、ヒョイ。

「治癒魔導師も控えておる。遠慮なく攻撃して良いぞ。」

そうなの?

流石に獣王だけあって剣速も速いしフェイントも多彩。

アリタイの騎士団長と好い勝負?

縮地とバリアの方向転換を組み合わせて剣を振り抜いた。

カ~ン!

いい音がした。

うん、初見だとこのフェイントは避けにくいよね。

「次は私のお相手を。」

周りで見ていた獅子人が走り寄って来る。

誰も飛んで行った獣王を気にしていないってどうなのよ。

治癒魔導師らしいおっさんが走って行ったからいいの?

俺の返事を待たずに獅子人が切り掛かって来る。

ヒョイ、ヒョイ。

剣速がめっちゃ早い。

速いけど、それって思い切り振り回しているだけ。

獅子人の大剣を避けて剣を振り抜く。

カーン!

「次は私のお相手を。」

獣王以外はどでかい武器を力任せに振り回すだけだった。

お前ら全員脳筋か?



「流石に見事な剣捌きである。」

回復した獣王や獣人達はみんな笑顔。

獣人達はテーブルの肉を取っては大きな口で嚙みちぎりながら笑顔で模擬戦の話をしている。

「人族にこれ程の剣士がおるとは思わなかった。」

いやいや俺は剣士じゃないから。

「これ程の強者なら俺も安心だ。娘のツガイと認めよう。」

ツガイってなんだ?

「トーラ、この男がそなたのツガイじゃ。可愛がって貰えよ。」

って、虎人の女の子。

獣王は狼人、どうなっているの。

「トーラは私と獣王の血を引いているので、とっても強いし頭が良い、その上可愛い。非の打ちどころの無い獣人国1の娘です。可愛がってあげて下さいね、ムコドノ。」

虎人のおばさんが笑顔で話しかけて来た。

ムコドノって何?

「祝いじゃ、祝いじゃ。」

「「「おおっ!」」」

訳の分からないうちに宴会が始まった。

良く判らないが、トーラは俺のオヨメサンと言うものになるらしい。

獣人国で時間を取られたのでグラーフに貰った休暇が終わってしまった。

トーラを連れてアリタイの屋敷に転移、2人でも楽に転移出来る事が判った。



俺は精霊水をジョボジョボしながら美容クリームを捏ね捏ね。

夕食はトーラと一緒。

一日何をしたかを教えてくれる。

今日は陛下のおっさんと話をしたらしい。

昨日は宰相のおっさん。トーラはおっさん好き?


明日から後期の授業が始まるのでトーラと一緒にカリメアの屋敷に転移した。

今日はアップルパイの日。

陛下のおっさんと宰相のおっさんも来た。

トーラと何やら話し込んでいるが、俺はそれどころでは無い。

久しぶりのアップルパイに舌鼓。

うん、美味しい。

季節的にアップルパイはあと1回位。

ゆっくりと堪能した。

トーラがおっさん達の相手をしてくれるので楽で良い。

朝は一緒に訓練。

訓練では身体強化を使わないのでトーラは俺よりも走るのが速い。

剣の相手をしてもめっちゃ力があるので受け止めるのが辛い。

良い訓練相手が出来た。



週明け1時間目はHR

「シェルは試験が無いからいいわね。」

うん、俺もそう思う。

みんなが試験で苦労している間、俺は一杯訓練が出来た。

「休みの間は訓練?」

「南の国・に、行った。」

「南の国?」

「獣人国。」

「大陸の一番南じゃない。そんな遠くまで行ってきたんだ。」

獣人国が大陸の一番南の国らしい。

「どうだった?」

「デカい?」

「デカいって何が?」

「竜人、虎人、獅子人? 熊・人。2m。」

「猫人族や兎人族は小さいわよ。」

「俺より大きかった。」

「まあシェルより小さいのは子供だけよね。」

ぐぬぬ。

HRは学年末に行われる宿泊冒険者研修の説明。

2年前にスタンビートが起こったのはこの宿泊研修の最中だったらしい。

担任が俺の話をしたので恥ずかしかった。



2時間目は現代語。

おっさんやおばさんは話しにくいが、同年代のトーラと話をするようになって自分でも上手くなってきたと思う。

先生にもずいぶん上手くなったと褒められた。

昼食後は図書館。

獣王に子供を作れと言われたので生産魔法を調べた。

子供を作らない魔法はあったが、子供を作る魔法は見つからなかった。

屋敷に帰るとトーラが待っている。

1緒に夕食を食べながら1日の事をお話。

トーラは陛下のおっさん達とお話をしていたらしい。

俺が子供を作る魔法が見つからないと言ったら、それは任せてと言われた。

トーラは子供を作る魔法を使えるらしいので任せることにした。



2日目は礼儀作法の授業だけ。

執事長のおっさんに教えて貰っているので少しはましになった筈なのに何度も怒られた。

なんでみんなは普通に出来るのかが不思議。

図書館で宿泊研修の対策を考えながら時間を潰して昼食。

午後はギルドに行った。

「獣王の娘を嫁にするらしいな。」

「うん。」

「大陸中が大騒ぎだ。」

「ん?」

「どの国もシェルを欲しがっている。」

「ん?」

「シェルの嫁が獣王の娘では自分の国の冒険者とは言い難い。」

「そうなの?」

「だからアリタイ国も大分前からシェルの嫁候補を用意していた。」

嫁って話し相手で子供を共同作業で作るってトーラに聞いた。

話し相手が増えれば話すのが上手くなる?

「カリメア国も同じことを考えていた。」

「そうなの?」

「だが、アリタイ国4日、カリメア国3日なのに獣王の娘がずっと一緒では獣王国の娘婿というイメージが強すぎる。」

理解が追いつかない。

「そこにスンラフ国が割り込んで来た。」

益々判らなくなってくる。

「トーラがアリタイ国に住んで、スンラフ国の嫁候補がカメリア国に住めば嫁が2対2でバランスが取れる。アリタイ国も4日なのでシェルの母国としてのメンツが立つ。スンラフ国の王妃はカリメア国王の妹なのでカリメア国がこれに乗った。」

何を言っているのかもはや全く理解出来ない。

諦めて薬草採りに行った。


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