23 呪いの針
探知魔法に妙な反応。
海に突き出した岬の上に着地して探知魔法の精度を上げる。
少し先の海底に大きな素材反応?
海に潜った。
かなり深い。
海底にそびえたつ岩山の麓でミスリルの反応を見つけた。
真っ暗な海の底で泥を掘る。
ミスリルの剣が埋まっていた。
探知魔法を使って精査すると近くに船の残骸。
完全に泥に埋まっている。
素材を目指して泥を掘る。
船の側面?
レーザーで焼き切って船の中に入る。
お魚さんが泳いでいる。
奥に大きな魔力反応。
真っ暗なので探知魔法と魔眼が頼り。
暗闇の中で魔獣の急所が光った。
“光弾““光弾““光弾“
反応が消える。
近寄って見る。
市場で見せて貰ったオクトのめっちゃでかいやつ。
大量のオクト煮が作れる?
俺は料理が出来ない。
ぐぬぬ。
死体をアイテムボックスに放り込んだ。
周囲の部屋で色々な素材を見つけた。
かなり古い船のようで、殆ど崩れかかっている。
残っているのは錆びない金属や宝石位。
グラーフが喜ぶかもしれないのでアイテムボックスに放り込んだ。
船を出て周囲を探知すると、あちこちに船が沈んでいる。
船のお墓?
一旦岬に戻って木の上で寝た。
2日目には竜の牙と鱗を発見。
3日目にはアダマンタイトのインゴットを見つけた。
6日目には竜魔鉄のインゴット。
10日間で42隻の船を見つけた。
海底から海面すれすれまで突き出た岩山に船底を擦って沈んだ船らしい。
グラーフが喜びそうな物が沢山見つかったので、帰ったらお土産として渡せばゆっくりさせて貰えそうな気がする。
少し寄り道をしたが旅を続けた。
大きな街が見えて来た。
よし、お買い物だ。
折角お買い物を覚えたのに、港町では1度しかお買い物が出来なかった。
大きな門の前に並んでいる馬車や人の後ろに並んだ。
1度目は混んでいる門に並ぶと怒られない。
俺は経験から学べる子。
順番が来てギルドカードを見せたら、大勢の兵に囲まれた。
悪意は感じられない。
「シェル様をお探ししておりました。どうか王城へお越しください。」
偉そうな鎧を着た騎士のおっちゃん迄頭を下げるので馬車に乗った。
「無理にお越し頂いて申し訳ない。また、先日は王子を助けて頂き感謝する。本日急ぎお呼びしたのは瘴気に侵されて寝たきりになっていた妃の容態が悪化した。貴殿は瘴気を取り除くことが出来ると伺っておる。妃を診て頂けないだろうか。」
瘴気を取り除く?
俺ってそんなことが出来るの?
知らなかった。
陛下のおっさんにおばさんの部屋に連れて行かれた。
精密鑑定でおばさんを診る。
あれ?
これって闇魔法?
「おでこ触る。」
「お願いいたします。」
おでこに当てられていた布が取り除かれる。
手を当てる。
魔力をおばさんの体に送り込む。
間違いない。
「闇魔法。カリメア、魔導師。」
「なんだと。」
「魔封じの首輪、同じ魔導士。」
「解除できるか?」
「時間かかる。いい?」
「勿論だ。終わるまでは邪魔はさせぬ。」
「やる。手を出して。」
「片手で宜しいでしょうか。」
侍女らしいお姉さんに聞かれた。
「うん。」
侍女さんが布団を少しめくっておばさんの手を布団から出す。
おばさんの手を握って魔力を送り込み、慎重に瘴気の元を探る。
あの魔導師は変なトラップを仕掛けるのが好きだから慎重に慎重に探る。
疲れた。水筒を出して水を飲む。
少しだけ休憩してもう一度瘴気の元を探る。慎重に、慎重に、見つけた。
前期古代文字を使った術式に見覚えがある、やはりあの魔術師だ。
下手に触れば何か起きるように仕掛けている可能性がある。
心臓の裏側だけに厄介だ。
休憩することにした。
「心臓、裏側。瘴気の魔法陣。休憩してから。」
侍女さんがお茶を淹れてくれた。クッキーが美味しい。
作業再開。
術式を解読しながら慎重に書き換えて行く。
術式の複雑さに嫌な執念を感じる。慎重に、丁寧に無効化していく。
出来た。再確認して安全を確かめる。
引き寄せ魔法を使って慎重に取り出した。
おばさんの容態を再確認。
問題ない。念のためにヒールを掛けた。
「出来た。」
取り出したミスリルの針金をテーブルに置く。
陛下と横にいた魔導士のおっさんが覗き込んでいる。
「呪いの針で御座います。」
魔導師のおっさんが鑑定してくれた。
「シェル殿感謝する。妃の容態は持ち直すのだろうか。」
「食べる、寝る。3日で歩ける?」
「感謝する。部屋を用意する、休むが良い。」
「いらん。」
「何故じゃ。」
客間の外に見える大きな木を見る。
「大きな木、あそこで寝る。」
「その前にお食事を。」
執事っぽいおっさんが声を掛けて来た。
「いらん。」
アイテムボックスにはイーカ焼きとオクト煮がある。
知り合いなら分けてあげるけど、見ず知らずのおっさん達には上げないよ。
大きく開いた窓から飛び出して木の枝に降りた。
3階の客間の窓にはおっさん達がひしめき合って俺を見ている。
取られないように背を向けてイーカ焼きを頬張った。
夜明けと共に中庭を走る。王城の中なので変な所に行くと怒られる。
ランニングが終わると剣の素振りに魔力操作。いつもの練習メニュー。
「朝食の用意が出来ております。」
一通り終わって干し肉を食べようとしたら声を掛けられた。
「ここで食べる。」
以前王宮で食事した時は大勢人がいて全然食べた気がしなかった。
俺は経験から学ぶ賢い子だ。
侍女さん達が中庭にテーブルを置いて料理を運んできてくれた。
何で陛下のおっさんが来るんだ?
妖精王子の兄ちゃんや王女の嬢ちゃん、宰相のおっさんも付いてきた。
少し離れた所には大勢の護衛たち。
「はぁ。」
溜息しか出ない。
人に見られながらの食事は苦手。
食事を終えておばさんの様子を見に行った。
精査してみるが異常は無い。
「大丈夫。食べたい物、食べる。」
「そうか、それを聞いて安心した。」
「うん。帰る。」
「待て、褒美を与えねばならん。」
「いらん。」
「それではこちらが困る。余に出来る事なら何でもする、欲しい物を申せ。」
断ると却ってめんどくさそう。
欲しいもの、欲しい物。
「・・・・、屋台の場所?」
「屋台? どういうことだ?」
陛下のおっさんが宰相のおっさんに聞いている。
「シェル殿が屋台を開くのか?」
「買い物。」
「屋台が沢山ある場所にお連れすれば宜しいのでしょうか。」
「うん。」




