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22 お買い物に失敗しました

読んで下さってありがとうございます。

初投稿の時には誰も読んでくれないかもと思っていたので感謝感激です。

1ヶ月連続投稿迄もう少し。読んで下さる方々のお陰で頑張れます。

これからもストレスフリーで楽しんで頂けることを第一に書き書きしていきます。

どうぞ見捨てずに読んであげて下さい。

翌日、船で朝食をとっていたら代官が挨拶に来た。

「シェル閣下にお会いできて光栄です。」

膝を突き、胸に拳を当てて軽く頭を下げる。

「うむ。」

俺は立ったまま拳を胸に当てる。

さっきビス・・、ビスなんちゃらに教えて貰ったばかり。

代官は伯爵、俺は公爵格なのでこうするらしい。

たぶんちゃんと出来た?

ビスなんちゃらを見ると頷いている。

代官は一緒のテーブルに着いて運ばれてきたお茶を飲んでいる。

俺は朝食の続き。

新鮮な貝やエビ。朝早くに岩場に行って採って来たらしい。

めっちゃ美味しい。


「シェル閣下が来て下さったので助かりました。あれほどの魔獣を1撃とは、さすがはSランク、恐れ入りました。」

「おい、シェルは堅苦しいのは苦手だ。普通に喋れ。」

ギルマスが助けてくれた。

「私もその方が有難い。正直王宮のパーティーが嫌だからこの地に逃げて来たようなものだからな。」

気さくなおっさんらしい。

「うん、助かる。」

「先日はスタンビートを制圧したんだって?」

「うん。」

「上位種だけでも4~500倒したと聞いたぞ。」

ギルマスは情報が速い。

「上位種だけで4~500か。凄いな。」

「雷竜もいたらしい。」

「雷竜は素早くて雷ブレスは避けるのは不可能だと聞いたぞ。」

「それを倒しちまうからSランクなんだろうな。」

「いくらSランクでも1ヶ月にドラゴン2体は無いぞ。」

「ああ、ギルドの記録にも無かった。」

2人で勝手に盛り上がってくれたので、俺は食事に集中出来た。


「シェルは旅の途中と聞いたが、次はどこに向かうんだ。」

「南東。」

南は海、南東に大陸が続いている。

「南に行くなら船も手配出来るぞ。」

「走る。訓練。」

「凄いな。これだけ強くてもまだ訓練か。」

「小さな事からコツコツと。お爺さんの言葉。」

「こいつは参った。」

代官のおっさんが自分の額を叩く。

「お前も釣りばっかりしていないで少しは訓練をしろ。」

「一緒に釣りをしているお前が言うな。」

2人は釣り仲間らしい。



「屋台は?」

「今朝出港した漁船が昼に帰って来るからイーカ焼きは夕方店を出すそうだ。オクト煮は煮込むのに時間が掛かるから明日の朝と言っていた。」

「嬉しい。」

「シェルを喜ばすのは大変だとアリタイのギルマスから聞いているから、こんなことで喜んで貰えるなら楽なものさ。」

「カリメア王国では褒賞探しで頭を抱えているらしいからな。」

「うちは指名依頼にしたから金で済んだが、あれだけのスタンビートを制圧して金だけではよその国に笑われるから大変だぞ。」

「そうなの?」

カリメアって、エルフの時もカリメア。スタンビートもカリメアなの?

「国のメンツっていう奴があるんだよ。指名依頼は報奨金が決まっているから、この国としては金で済む。スタンビートの場合、報奨金だけでは他国の誹りを受ける。」

「特に王立学院は王族の留学生も多くて、シェルが救った生徒の中にも他国の王族が大勢いたそうだからな。」

「流石は大陸1の大国と言われるような恩賞が必要なんだよ。」

港の代官とギルマスだけあって他国の事にも詳しいようだ。

「そうなの?」

欲しいものは何もないからめんどくさいだけなんだけど。

「俺は宿を提供したからギルマスとしてのメンツが立った。」

「Sランクをマストの上に泊まらせて自慢するな。」

「シェルの望み通りの宿を俺が手配したんだ。俺の手柄だ。寝心地はどうだった?」

「風が気持ちいい。今晩も。」

うん、本当に気持ちよく眠れた。

「おう、船主に出航を遅らせるように言っておく。」

「ありがと。」

「カリメア王国にもマストを贈ってやるか。」

「大国が宿の手配もせずに英雄をマストの上に泊まらせたとなれば非難轟々だな。」

2人が笑っている。



結局その日は2人に釣りを教えて貰う事になった。

初めての釣りは楽しかった。

夕食はイーカ焼き。

お金を渡そうとしたが断られてしまった。

お買い物は難しい。

お土産に欲しいと言ったら代官が有る分を全部焼かせて俺にくれた。

アイテムボックスは冷めないから当分焼き立てのイーカ焼きが食べられる。

朝食はオクト煮と屋台のスープ。これも代官が鍋ごと買ってくれた。

「ありがとう。」

お礼を言ったら、今度カリメア王国の奴が来たら自慢できると嬉しそうに笑っていた。

朝食を済ませて街を出る。

南東に向かって走る、飛ぶ、転移する。



”妖精が助けてって“

“大切な人が危ないって”

”助けてあげて“

妖精さん達から突然念話が来た。

“どこ”

”こっち“

妖精さん達が光の玉になって俺の前を飛んで行く。

探知魔法に沢山の人間が見えて来た。

妖精さんを追いかけると、大きな木の根元にある小さな洞。

そこに俺よりも少し大きい男の子がゼイゼイと息をしながら顔を顰めてしゃがんでいる。

服は破れ、あちこちに血が滲んでいる。

”クリーン“”ヒール“

うん、綺麗になった。

「な、何者だ。」

「助け?」

「助け? そうか、精霊の愛し子か。」

イトシゴ? オシゴトとは違うの?

判らん。

「水を持っていないか。」

走ったせいで喉が渇いているらしい。

水筒を渡した。


「この辺りにいる筈だ。」

「探せ、何としても探すんだ。」

「急げ、時間が無いぞ。」

周囲から殺気を振り撒く男達が迫って来た。

「ここに、いる。」

男の子に声を掛け、洞に結界を張って男達の上空に飛ぶ。

「いたぞ!」

「空だ。」

男達が槍を投げて来た。

麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺。

「空だ、弓を撃て。」

「急げ、奴らが戻って来るぞ。」

「殺せ、殺すんだ。」

「槍を投げろ。」

麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺。

「魔法だ、魔法を使ったぞ。」

「バカな。」

「殺せ、とにかく殺すんだ。」

麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺、麻痺。

襲って来た男達を全部倒して洞に戻る。

「倒した。安全。」

「お前強いな。」

「俺弱い。敵、弱すぎ。」

「あれで弱いのかよ。」

男の子がため息をついた。

「殿下~。」「殿下~。」「殿下~。」

大勢の声が聞こえて来た。

悪意は感じ無い。

「殿下?」

「俺の事だ、迎えが来たらしい。」

「うん、良かった。じゃあ。」

殿下や閣下に係わるといつもめんどくさい事になる。

俺は失敗から学べる子。

見なかったことにしよう。

空に飛び上がって旅を続けた。


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