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第6話 魔法少女、デートをする

「今度こそ絶対倒してやるからなー! 覚えてろー! ドロン!」


魔法少女達との戦いに敗れたドロローンが、捨て台詞を吐き地面に潜り退散していく。


「あらあら、また負けちゃったわねドロローン」

「今回はいい作戦だったのに、魔法少女達の対応が早かったですねー」

「ああ、連携が取れるようになってきてる」


魔法少女達の戦いを見ていたミズ・シズクティーヌ、ウーリーン、クロカゲがそれぞれ戦いの感想を漏らす。

つい最近までバラバラに戦っていた魔法少女達が連携して戦えるようになった事に、クロカゲはご満悦だ。ダメ出しを延々と行ってきた甲斐があった。


「クロカゲさん、感心してる場合じゃないですよ。ジャ=アーク様のために何か策を考えて下さい」

「ああ、今度までに考えておく」

「あらクロカゲ、帰るの?」

「ああ、ちょっと用事があってな」

「そう、じゃあまたね」


ウーリーンとミズ・シズクティーヌをあしらい魔王の城を跡にするクロカゲ。

その足取りは普段より軽い。

なぜなら明日……ミソラと初デートするからだ。




*************************************




「クロカゲさん! お待たせしました!!!」

「待ってない、今来たところだ」


約束の時間に少し遅れてやってきたミソラを、待ち合わせ場所に30分前から来ていたクロカゲが迎える。


「スミマセン…、どの服にしようか迷っちゃって…」

「大丈夫だ。それよりこれ」

「? なんですかこの帽子?」

「今日は日差しが強いから用意しといたんだ。よかったらかぶってくれ」

「はー! 可愛いです! ありがとうございます!」


クロカゲの用意した麦わら帽子のデザインを気に入ったミソラが、帽子をかぶりながらポーズを取り礼を言う。

今日のミソラは水色のノースリーブのワンピースに白い靴と彼女が持ってる中で唯一のオシャレな服だ。普段はジャージとか制服が多い。

一方クロカゲは……色落ちした黒い長袖シャツに黒の長ズボンでいつもと同じ服だ。


「どこに行く?」

「まずは服屋さんに行きましょう!」


『一緒に行きたい所がある』とクロカゲをデートに誘ったミソラが、クロカゲと腕を組み歩き出す。


「…ねえすみれちゃん、やっぱりやめようよ。覗き見なんて趣味悪いよ」

「…いいから行くわよ。私はまだあの男のことを信用してないんだから」


そんな2人の後を、マジカル・スカーレットこと赤城早苗とマジカル・シャイニングこと西園寺すみれの2人がつけていた。




*************************************




「クロカゲさんクロカゲさん! これなんてどうでしょう! 試着して下さい!」

「も、もう勘弁してくれ…。服っていうから君の服だと思っていたのに俺の服なのかよ…」

「前々から思っていたのです! クロカゲさんはもっとオシャレな服が似合うと! あ! これもいいですね! こっちも試着して下さい!」

「勘弁してくれ…」

………

……

「あらあらまあまあ、カットしがいのある人が来たわね。本日はどうなさいますか?」

「バサーッと切っちゃって下さい! こう、カッコイイ感じになるようにバサーッと!」

「ミソラ、美容師さんが困ってるだろ…。ていうか髪なら自分で切るから…」

「ダメです! ちゃんと美容師さんに切ってもらって下さい! シローさん! この鬱陶しい髪をバサーっと切っちゃってください!」

「かしこま!」

「勘弁してくれ…」

………

……

「これが…、俺…?」

「ムフー! 私の目に狂いはありませんでした! 髪を切れば中々だと思っていたのです! まあ髪を切る前のクロカゲさんも私の好みでしたが!」

「ミソラちゃんの言うとおり見違えたわね…。ねえ彼氏さん、写真撮っていいかしら? お店の宣材に使いたいの!」

「勘弁してくれ…」

………

……

「クロカゲさん。はい、あーん♡」

「い、いやミソラ、自分で食べるから…」

「あーん♡」

「い、いやあの…」

「あーん!」

「勘弁してくれ…」

………

……

「すっかり、遅くなっちゃいましたね」

「ああ、今日は疲れ……楽しかったな」

「はい! 初デート、楽しかったです!」


クロカゲの腕に両手で抱きついてるミソラが、朝から変わらない元気な様子で答える。

一方クロカゲは、あちこち振り回されてお疲れ気味だ。


「もう暗いし家まで送っていくよ」

「…え? いえいえいえ!? わ、私の家は遠いですから!」

「遠いならなおさらだよ危ないし送っていく」

「だ、だだだ大丈夫です! それよりホラ! クロカゲさん、あそこに寄っていきませんか!」

「あそこって?」

「あそこです!」


ミソラが指さした建物を、クロカゲが見る。

そこには『休憩・宿泊』の看板が…


「…な、ななな何を言ってるんだ君は!? そんなのダメに決まってるだろ!」

「そんなことおっしゃらずに! 私とクロカゲさんの仲じゃないですか!」

「ダ、ダメったらダメだ!!!」

「と、とうとう尻尾を表したわねこの変態!」

「えっ?」

「えっ? すみれさん?」


近くの植え込みからガサっと姿を現したすみれに、クロカゲとミソラが驚く。


「ミソラをあそこに連れ込んで何する気なのよ! やっぱりそういう事が目当てだったのね!」

「そういう事ってどういう事だよ…」

「お、おおおお乙女の口から何言わせようとしてんのよこの変態!!!」

「すみれさん! 今いい所だったんだから邪魔しないでください! もう少しでクロカゲさんを落とせる所なんです!」

「落とせてねえよ!?」

「…ねえすみれちゃん、私もう帰ってもいいかな…」

「お前もいたのかよ!?」

「…はい、すみれちゃんに無理矢理付き合わされて…」

「お前さん、苦労してるんだな…」


キャンキャン言い争うミソラとすみれ、それに振り回されるクロカゲと早苗。

これからの未来を暗示させられる初デートの終わりに、クロカゲと早苗は揃ってため息を吐いたのだった。

魔王の幹部 ドロローン

身長:220cm

体重:130kg

特技:地行術

趣味:泥遊び

好きな食べ物:泥団子

嫌いな食べ物:水っぽい泥団子

最近の悩み:魔法少女達が何故か自分をいつも準備万端で待ち受けている

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