第43話 瓜生正義
男は真面目で不器用な男だった。
進学校に進学し、大学も無事現役合格。しかし就職活動で躓いた。
4年の秋になんとか内定をもらい、社会人になったが会社員生活はものの見事に上手くいかなかった。
同期が次々成果を残す中営業成績を残せず、総務へ回された。
そこでも失敗続きで段々仕事を回されなくなり、陰口をたたかれながら毎日自分を殺し続けながら職場に居続けた。
給料は上がらず、職場では空気扱いされ、彼女もできず、気づけば30。
休職という名の退職勧奨を受けて自宅待機になった男は、何もする気になれず自分の人生を諦めようとしていた。
「お前、それでいいチャピか?」
そんな男の前にある日、邪神が現れた。
「お前に力を与えるチャピ。お前の望みを何でも叶える力チャピ。マジカル・ランドという世界に連れてってやるチャピ。そこで世界を手に入れる力を手に入れて、お前の好きにしてみせろチャピ」
邪神が、手のようなものを伸ばして契約を迫って来る。
男は、どうせ夢だと思いその手を取った。
それが、ウーリーンの誕生だった。
「いいチャピか? お前が直接マジカル・ランドを襲うんじゃなくて、魔王を作るチャピ。その魔王にマジカル・ランドを征服させるチャピ」
「どうしてですかあ?」
「マジカル・ランドにはマジカル・プリンセスっていう厄介な伝説の戦士がいるチャピ。そいつはとっても強くてチャッピーも千年前に痛い目に遭わされたチャピ。だから二重の策を準備しておくチャピ。魔王とその仲間をマジカル・プリンセスと戦わせて、マジカル・プリンセスが疲れた所でお前が出てマジカル・プリンセスを倒すチャピ」
「マジカル・プリンセスを手に入れればマジカル・ランドを本当の意味で手に入れられるって事ですかあ?」
「そうチャピ。マジカル・ランドの王様になれるチャピ。更にリアル・ワールドも好きにできる力が手に入れられるチャピ」
邪神に騙されてるとも知らず、男はその言葉を信じて魔王ジャ=アークを作った。
そしてその幹部達を作りマジカル・ランドを征服させた。
ところがマジカル・ランドを征服した途端邪神がその姿を消した。
そして、魔法少女の仲間として姿を現した。
「一体どういう事なんですかあ?」
男は混乱した。
分かっているのは虹のカケラというものを集め、マジカル・プリンセスを手に入れればこの世界を自分の王国にできるという事だった。
実際は虹のカケラなんてなく、マジカル・プリンセスを手に入れても何も変わらないのに。邪神のマジカル・プリンセスへの復讐に利用され、騙されているとも気づかず男は魔王の幹部達を魔法少女達と戦わせ続けた。
それが、ウーリーンこと瓜生正義がこの1年していた事だった。




