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魔法少女、嫁になる。  作者: アブラゼミ


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41/50

第41話 最終決戦④

ウスグラーイ領の領主クロカゲは闇魔法使いである。

影の魔法使いではなく、闇魔法使いである。

本人も知らないが、闇魔法使いである。


闇魔法使い。それは1つの時代に1人しか現れない希少な魔法使い。

太古の昔、邪神に操られマジカル・ワールドの半分を闇に呑み込んだ存在。

その存在は話題にする事すら禁忌とされ、歴史の闇に葬り去られた魔法使い。

けれどもその力は覚醒しない限り大した事はない。

歴代の闇魔法使いは平凡な魔法使いとして生涯を終えていた。

クロカゲは非凡な魔力と才能を有しているが、特別大した存在というほどではない。

ウーリーンがマジカル・ワールドの住民と生物を石に変えた時、彼も石に変わるはずだった。




「こいつは石にしない方が面白そうチャピ」




けれども邪神の気まぐれにより、クロカゲは石になることをまぬがれた。

そこから先の話はこれまでの物語の通りである。

大した魔法使いでないクロカゲが強さを手に入れていたのはある理由があった。


年に一度、彼は王の余興である御前試合に出なければならなかった。

各領から1人ずつ、腕自慢を選出して行われる御前試合のトーナメント。

ウスグラーイ領にまともな人材なんていないため領主であるクロカゲ自ら出る他なかった。

そして彼は、初めて出た御前試合でコテンパンに負けた。

各領土の腕自慢の魔法使いを相手に戦わないといけない御前試合は若干15歳で領主にさせられたクロカゲにとって荷が重すぎた。

けれども彼はめげなかった。

それから毎日稽古を重ね、魔法と体術を組み合わせた戦い方に活路を見いだした。

その戦いぶりは「魔法使いらしくない」「邪道」と言われたが彼は強くなった。

2年目は1回戦突破。

3年目は3回戦突破。

4年目は決勝トーナメント進出、ベスト4と確実に強くなっていた。

強くなればなるほど、勝ち上がれば勝ち上がるほどやっかみと中傷と批判の声が大きくなったが彼は気にしなかった。

ただやっぱり自分はヒーローには向いていないなと思った。


子どもの頃、彼はヒーローの物語が好きだった。

皆に愛され、皆に応援されるヒーローになりたかった。

だから自分がヒーローになれない分、自分が書く物語の魔法少女達に気持ちをぶつけた。

彼女たちをヒーローにする事で、気持ちを発散していたのだった。

魔王ジャ=アークが現れ魔王の幹部なんて悪役になり、

目の前に自分が書いた物語に登場するような魔法少女達が現れた時は内心驚いた。

そして彼女たちと期せずして繋がり、仲間のように振る舞っている内に彼の心の内に変化が生まれた。

―――――自分もヒーローになれるんじゃないかという気持ちの変化が。




*************************************




「うっ…」


意識を取り戻した時、クロカゲが感じたのは全身を貫く痛みだった。

視界はにじみ、世界も歪んでいる。

しかしクロカゲは地面を握りしめ再び意識を失う事を拒絶する。


「どう、なった…?」


曖昧な視界でクロカゲが、辺りを見回す。

そこにいたのは、

変身が解け地面にうつ伏せに倒れているミソラだった。


「ミソ、ラ…」


守れなかった。

自分が、守らないといけなかったのに。

彼女が王女である事、そしてそれを隠されていた事は彼にとってはどうでもよかった。

いや、それを知り余計に守らなければならないと思った。

守らなければ、ならなかったのに…


「…俺、は…」


自分の無力さに打ちひしがれるクロカゲ。

その目の前でウーリーンがミソラに近づこうとしていた。


「やめ、ろ…」


ウーリーンがミソラに何するかは分からない。

ただそれがロクでもない事だという事は分かった。

力が、力が欲しい。

動かない体をなんとか動かそうとしながらクロカゲはそう強く願った。

そんな彼の胸の内に、闇の力が目覚めた。


「これ、は…?」


自分の中で湧き上がり、あふれ出さんとする謎の力。

これを開放すればどうなるか。


「ああ…、そうか…」


クロカゲは、自分の運命を悟った。


「俺は、ここで死ぬのか」


以前ドロローンは、死ぬのならリアル・ワールドで死にたいと言っていた。

クロカゲは驚いた。なぜなら自分もそう思っていたから。

死に場所を選べるのであれば、明るい日差しが降り注ぐリアル・ワールドの豊かな自然の中で死にたい。

マジカル・ワールドのウスグラーイ領では見られなかった景色。その中で死にたいと思っていたから。

けれども今自分がいるのは、その景色とは真逆の荒れ果てたマジカル・ランドの世界。


「…っ!」


クロカゲは、自分の中で湧き上がる闇の力を迷わず手に取った。


「ミソラを救えるなら、何でもいい」


何でもいい。

例え自分が、死んでしまうとしても。




*************************************




ズズン、と大きな音を立てて大地が揺れる。


『ウオオオオオオオオオン!』


大地を揺るがす低い咆哮を上げて、闇の巨人が振り回した腕がウーリーンへと襲い掛かる。


「何ですかっ!!?」


その巨体からは信じられないほどの速さの薙ぎ払いが直撃し、ウーリーンの身体が吹っ飛ばされる。


「………やはりあなたは始末しておくべきでしたねえ! クロカゲさん!」


吹っ飛ばされながらもウーリーンが、禍々しい黒と赤の螺旋の光線を放つ。

並の人間が食らえば身体が消し飛ぶ一撃。

しかし闇の巨人は片手でそれを払いのける。


「倒れなさいっ!」


ウーリーンが黒と赤の光線の槍を闇の巨人に突き刺す。

けれども闇の巨人は一向に意に介さずウーリーンに向けて右の拳を振り下ろす。


「ぬううううっ!!!」


魔法少女達を倒した力で、ウーリーンが懸命に抵抗しようとする。

しかしむなしくウーリーンは、闇の巨人の拳に地面に叩きつけられる。


「…こんなデタラメが、許されてたまりますかっ!!!」


圧倒的な力を持つ闇の巨人に、ウーリーンが自分の事を棚に上げて恨み節を述べながら反撃しようとする。

しかしその前に、

闇の巨人が口から破壊光線を放った。


「うぐうううううっ!?」


強力な破壊光線を真正面から食らい、ウーリーンが再度地べたに叩きつけられる。


『ウオオオオオオオオオン!』


ズウン、ズウンと音を立てて近づいてくる闇の巨人。

ウーリーンは最初にクロカゲと戦った時のことを思い出していた。




マジカル・ランドでなぜか石になっていない存在を消すため魔王ジャ=アークとその幹部達を連れて向かったウスグラーイ領。

石になっていない割に弱かった男を追い詰めた途端現れたのが闇の巨人だった。

闇の巨人に魔王の幹部達と、ジャ=アークを倒されかけウーリーンは自分の力を解放した。

苦戦はしたが、ジャ=アーク達との戦いで消耗していたおかげかウーリーンは闇の巨人に辛勝した。

闇の巨人の姿が消えた後、現れたのが気を失っていたクロカゲだった。


「…この力、利用できませんかねえ」


邪神に従いジャ=アークを使ってマジカル・ランドを征服したものの、マジカル・プリンセスとかいう伝説の戦士と戦うには手駒が多い方がいい。

それにあの邪神は何だか信用ならない。いつの間にかどこかに消えていなくなっていたし。

そう思いウーリーンは、クロカゲを仲間に引き入れる事を決めた。

クロカゲが頭を打ったかなにかして、戦いの記憶を失っていたのも都合がよかった。

けれどもクロカゲは役立たずだった。

魔法少女達との戦いでもあの力を使わず、いつも負けて逃げ帰った。

ジャ=アークにけしかけさせて「本気を出せ」とせっついたがクロカゲはあの闇の巨人の力を使わなかった。


「…どうやら、使わないんじゃなくて使えないみたいですねえ」


闇の巨人の力はクロカゲの意志で使いこなせるものではなく、追い詰められた時に偶然発揮された力だと悟ったウーリーンは、クロカゲに見切りをつけた。

消してしまってもよかったが、魔法少女を捕らえるなどの成果も残していたため生かしておいた。マジカル・ランド唯一の生き残りでもあるため、何かの役に立つかもしれないと思っていた。





「…その結果が、これですか…!」


身体のあちこちがヒビ割れ崩れかけ、自分が勝てない事を悟りながらも黒と赤の禍々しい光弾を放つウーリーンが嘆きの声を上げる。

山ひとつ消し飛ばせるはずの光弾、しかし闇の巨人は直撃しても一向に意に介さずこちらに近づいてくる。

振り下ろされる闇の巨人の拳。それを見ながらウーリーンは思った。




―――――ああ、やはりあの時消しておけばよかったと




*************************************




『グオオオオオオオオ!!!』


抵抗できなくなったウーリーンに、咆哮を上げながら拳を叩き落とし続ける闇の巨人を見ながら、魔法少女達は呆然としていた。


「あれ、何なのよ…」

「クロカゲさんです! アレはクロカゲさんに違いありません!」

「そ、それはそうだろうけど…」


戸惑い、困惑する魔法少女達。

その前にチャッピーが焦った様子で飛び出す。


「マズいチャピ! クロカゲの奴、闇魔法使いだったんだチャピ!」

「「闇魔法使い?」」

「そ、それって何なの?」

「千年前にマジカル・ランドの半分を闇に呑み込んだ悪い魔法使いチャピ! このままだとこの世界が滅ぼされるチャピ!」


チャッピーの言葉に、目を見開き驚く3人。

その中でミソラが、いち早く我に返りチャッピーに詰め寄った。


「チャッピー! どうすればいいんですか!? クロカゲさんを止めるには、どうすればいいんですか!!?」

「殺すチャピ! 殺すしかないチャピ!」

「そんな!?」


チャッピーの言葉に、絶望の表情を浮かべるミソラ。

そんなミソラにチャッピーは言い募る。


「止めないとこの世界がメチャクチャになるチャピ! 止めなくてもいつか力尽きてクロカゲは死ぬチャピ! ミソラ! マジカル・プリンセスの力でやっつけるチャピ! ミソラに殺されるならクロカゲもきっと本望チャピ!」

「そんな、そんなの…」

「早くするチャピ! 世界が壊されてもいいチャピか!」


顔を青ざめさせたミソラに、チャッピーがマジカル・プリンセスに変身しクロカゲを殺すよう迫る。


「待ちなさい」


そんなチャッピーの襟首を掴み、すみれが険しい表情で口を開く。


「ねえチャッピー? なんでアンタそんな事知ってるの?」

「な、何をチャピ…?」

「どうして千年前にこの世界を滅ぼしかけたのが闇魔法使いだって知ってるの?」

「そ、それは……チャッピーが不思議な精霊だからチャピ!」

「なんでもかんでもそれでごまかせると思ってんじゃないわよ! アンタねえ……色々怪しいと思ってたのよ。クロカゲを殺さないといけないっていうのも、デタラメなんじゃない?」

「ミ、ミソラちゃん。私もそう思うの。クロカゲさんを助ける方法が、きっとあると思う…」


すみれと早苗の言葉に、頭が真っ白になりかけていたミソラが落ち着きを取り戻す。

冷静になれ。

ミソラが深呼吸をして、心を、気持ちを、頭の中を整える。


「皆さん、力を貸して下さい!」


ミソラが、早苗とすみれに懇願する。


「こんな事を言える立場じゃないのは分かってます。ですが、力を貸して下さい! クロカゲさんを助けるために、力を!」

「「…」」

「謝れと言うならいくらでも謝ります! 王女である事を黙っていてスミマセン! 私にできる事ならなんでもします! 一生許していただかなくても構いません! ですが! 私に力を貸して下さい!」

「「…」」

「クロカゲさんを、助けて…!」


涙で顔をグシャグシャにしなながら、ミソラが2人に懇願する。


「…バカね。謝る必要なんてないわよ。さっさと顔を上げなさい、ミソラ」

「うん。クロカゲさんを助けないとね」

「すみれさん…、早苗さん…」

「「だって私達、友達でしょ?」」


すみれと早苗が、ミソラに向けて微笑みかける。


「友達を助けるのに理由なんていらないわよ。まあクロカゲは友達じゃないけどね」

「またそんな事言って。素直じゃないんだから。さあミソラちゃん、行こう!」

「…はい!」


顔を袖で拭い、ミソラがキッと顔を上げる。


「やりましょう! 私達でクロカゲさんを助けましょう!」

「ええ、あのバカの目を覚まさせてあげるわ」

「うん!」


3人の魔法少女が手を重ね、闇の巨人を見る。

それが、本当の最後の戦いの――――――――――――――――――





*************************************





「嫌よ」


すみれの一言に、ミソラの思考が一気に現実の世界へと引き戻される。


「す、すみれさん…。どうして…」

「どうしても何もないわよ。私は手を貸さないわ」

「…」


すみれの言葉に、ミソラは頭を巡らせる。


「…すみれさんは、私がマジカル・ランドの王女だって事に気づいてたんですね」

「ええ、そうよ」

「ええっ!?」


ミソラの言葉に、すみれは頷き早苗が驚く。

お互いに目を逸らさず見つめ合うミソラとすみれ。

ミソラがフッと息を吐き、すみれに尋ねた。


「…いつから気づいていたんですか」

「ほぼ最初からよ」

「えっ…」

「ミソラ、アンタ言ったわよね。自分の両親は政治家をしてるって」

「は、はい…」

「私達の世界じゃね。親の仕事は『政治家』じゃなくて『議員』とか『代議士』って言うのよ」

「…」

「『政治家』って言う人もいるかもしれないけどあまり一般的じゃないわ。少なくとも日本じゃね」

「…」

「それに『市ノ瀬』なんて議員、どこにもいなかったわ」

「…」

「地方議員じゃなくて国会議員かと思ったけど、やっぱりいなかったわ。それがアンタを怪しいと思った一点。それから細かい事が色々積み重なって、アンタの正体がマジカル・プリンセスじゃないかって思ったわけ」

「こ、細かい事?」

「そうねえ……例えば、目玉焼きよ」

「え?」


早苗の疑問に、すみれが意外な理由を上げる。


「前に目玉焼きの食べ方で言い争いになった時に、クロカゲに目玉焼きを作らせたでしょ? その時思ったの。料理したがりのミソラが、どうして目玉焼きを作らないのかって。作らないんじゃなくて、作れなかったんでしょ?」

「………はい」

「え、えええっ!? め、目玉焼きだよ! 卵割って焼くだけだよ!?」

「ええそうね。でもミソラは作れないのよ。作った事がないから。それまで料理をした事なかった、王女様ですものね」

「「…」」

「強引な考え方かもしれないけど、他にも家を見せてくれない事とか、妙に子どもの頃の話をしない所とか、そういう小さな事が積み重なってアンタの正体がマジカル・ランドの王女様じゃないかって思ったわけ」

「「…」」

「ミソラ、アンタはよくやったわ。ウソを吐くのが苦手だから、ウソを吐かずに済むよう立ち回った。時にはバカのフリをして、上手くごまかした。ボロが出ないようにリアル・ワールドの風習も勉強したんでしょ? 通っていた学校でクラスメート達を観察しながらこっちの人間っぽく振る舞えるように頑張ったのかしら?」

「…はい」


すみれの指摘に、ミソラが力なく答える。

全部当たりだ。

ミソラは自分がマジカル・ランドの人間だと悟られないように、上手く立ち回った。

上手く立ち回っていたつもり、だった。

けれどもボロが出ていたのだ。勘の鋭い人間なら、気づくくらいに。


「クロカゲは知っていたのかしら? アンタが王女様だったって事」

「…いいえ、知りませんでした。話してませんでしたから。気づいてもなかったと思います」

「そうね。クロカゲは距離が近すぎたのよ。アンタを疑うなんて考え、これっぽっちも抱かなかったでしょうし」

「…」

「ねえ、ミソラ」


上唇を舌で濡らし、ミソラの罪悪感を刺激するようにすみれが言葉を選びながら口を開く。


「アンタの事情は分かるし悪気はなかったんでしょうけど、私達を騙していて楽しかった? それとも苦しかった? クロカゲに好意があるのは本当? 本当は利用しようと思って近づいたんじゃなかったの?」

「そ、そんな事…!」

「私達を騙している内に、自分の心も騙せるようになったんじゃない? これは仕方ない、自分の正体を隠すためには仕方ない事なんだって。そうやってウソを吐く事に、慣れていってしまってたんじゃない?」

「…」


すみれの言葉に思い当たるところがあり、ミソラが手を力なく下ろす。

そんなミソラに追い打ちをかけるように、すみれが言葉を続ける。


「クロカゲがマジカル・ランドの人間だって知った時、使えるって思ったんじゃない? 元がマジカル・ランドの人間なら、ジャ=アークへの忠誠心は低いはず、マジカル・ランドを取り戻す戦いに協力してくれるはずだって」

「…」


100%そうじゃないと言えない気持ちを突かれ、ミソラが何の言葉も返せず下を向く。

その気持ちがないとはいえない。あの時そういう気持ちがなかったといえば、ウソになってしまう。


「王女様だって事を抜きにしても、アンタはモテそうだものね。リアル・ワールドの学校でもモテてたんじゃない? だから自分の容姿を利用すれば、クロカゲも落とせると思った。好意があるフリをして…」

「…いいえ、それは違います」


けれども続く言葉は、キッパリと否定した。


「私はクロカゲさんの事が好きです。この気持ちに、ウソはありません」


ウソを吐くのが苦手な少女は堂々と、顔を上げ自分の胸に手を当てまっすぐに言い放つ。


「…確かに、私はこれまで皆さんにウソを吐き続けてきました。クロカゲさんや皆さんを利用しようという気持ちがなかったと言えば、ウソになってしまいます。けれどもクロカゲさんを好きだという気持ちに、ウソはありません」

「…」

「謝れというのなら何度でも謝ります。私にできる事なら何でもします。ですからお願いです。クロカゲさんを助けるために、力を貸して下さい!!!」


ミソラが懇願し深々と頭を下げる。

そんなミソラを見ながら、すみれがひとつ、小さく息を吐く。


「…何でもって、言ったわね」

「…はい」

「なら私と………友達になりなさい」

「え」


すみれの一言に、ミソラが顔を上げる。

そこには顔を真っ赤にして、自分と目を合わせないすみれがいた。


「私と、本当の友達になりなさい! 隠し事なしの、本当の友達に!!!」

「そ、そんな事でいいんですか?」

「いいの! だってアンタと早苗は……私にできた初めての友達なんだから」


これまですみれは、自分の素直になれない性格が災いして友達が作れなかった。

だから魔法少女になって知り合ったミソラと早苗の存在が、初めての友達だった。


「…もう、すみれちゃんは本当に素直じゃないなあ」


ミソラとすみれのやりとりを見ていた早苗が、苦笑交じりに2人の間に割って入る。

そして2人の手を取って、にこやかに微笑んだ。


「ですよね、ツンデレです!」

「そうそう、ツンデレツンデレ」

「だ、誰がツンデレよ!」


世界が滅びようとしてるのに、大きな声を上げて笑い合う3人。

それが、仲直りの合図だった。




「…行こう、クロカゲさんを助けよう」

「ハイ! 私達なら何だってできます!」

「そうね、今までの相手に比べればあんなバカ、どうって事無いわよ」

「またそんな事言って」




手をつないだまま3人が、闇の巨人を、クロカゲを見つめる。

魔法少女達の、本当の最後の戦いが、始まろうとしているのであった。

ミソラが親の職業を政治家と言い出した理由


「チャッピー! 親の仕事をなんて言えばいいでしょう! 『王様です』なんて言えません!」

「『政治家』でいいんじゃないチャピ?」

「なるほど!」

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