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魔法少女、嫁になる。  作者: アブラゼミ


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第31話 魔法少女、魔法少女にぶつかる

「…あーあ、まだ放課後にならないのかしら」


ミソラの学校の校門横で、すみれは待っていた。

かれこれ待ち続けて1時間。

早退してすぐにここに来たのだが、ミソラの学校はすみれの学校より授業が1時間多かったらしく、すみれが来た時誰も下校していなかった。

それからずっと待ち続けてるのだが、チャイムが鳴ってからも中々生徒が出てこない。

随分のんびりしてるのねと思ってまた10分ほど待っていると、学ランとセーラー服の男女が自転車を押しながら出てきた。


「「…」」


普段見ないお嬢様学校の制服が珍しいのか、一瞬男女がすみれの方を見たが特にリアクションなく2人で話しながら通り過ぎていく。


「…青春ね」


おそらく付き合っているのだろう。雰囲気が物語っている。

その後は自転車に乗った生徒達が次々と出てくる。すみれの高校は電車通学の生徒が多いため、その光景にすみれは少し驚く。


「…すごい数ね。自転車業界って儲かるのかしら?」


祖父と父が仕事の話をしょっちゅうしてるせいか、ついそんな事を考えてしまう自分にすみれが苦笑する。


「…初めての時と逆ね」


ミソラと初めて会った時、ミソラが早苗といっしょにすみれの学校の前で待ち伏せしてたのを思い出す。

あの時は戸惑ったがミソラも不安だったのだろうか?

ミソラも知らない学校の前で待ち続けて不安に思ったりしたのだろうか?


「…ミソラはそんなタイプじゃないわね」


初対面なのに「魔法少女になってください!」とグイグイ来たミソラを思い出しすみれが苦笑する。

あれからもう半年以上。魔王の幹部達との戦いに巻き込まれ続けてきた。

そんな事を考えていると、見慣れた青髪の少女が下を向いてトボトボ歩いて出てきた。

紺色の生地に白のリボンのどこにでもありそうなセーラー服だ。前は膝上の短さだったスカート丈が膝下の長さになっているのは寒さのせいだろうか。それとも……クロカゲという恋人ができたからだろうか。


「捕まえたわよ」

「!? す、すみれさん!?」

「話があるの、ついてきなさい」


ミソラの手を引きながら、すみれがグイグイ歩く。


「ちょ、ちょっと!? すみれさん!」


戸惑うミソラの手を引いて、すみれは近くの小さな公園へと入る。

木とベンチとトイレしかない本当に小さな公園だ。通学路にぽつんとあって誰も使ってる気配がない。

すみれはベンチにミソラを座らせ、自分もその隣に座る。


「…一体何のご用ですか」

「決まってるでしょ、魔法少女の話よ」

「その話でしたら、もう…」

「おあいにく様だけど私も早苗も魔法少女をやめるつもりはないわよ」

「…分からず屋」

「分からず屋はどっちよ。こっちの気持ちも聞かずに勝手に決めないで」

「…どうしてですか」

「何?」

「前にあんな事があったじゃないですか。痛い思いをするだろうし怖い思いもするだろうし、死んじゃうかもしれないんですよ」


前に、ミズ・シズクティーヌに呪いの矢を受けた時の話だと気づきすみれが鼻をフンと鳴らす。


「大丈夫よ、あの時は痛くなかったし助かったし傷も何も残らなかったし」

「それはあの時たまたま上手くいっただけです!!!」


自分の太ももを拳で叩きながら、ミソラが声を上げる。


「あの時はたまたま、呪いの矢がそういうもので、チャッピーがミズ・シズクティーヌの動きを封じ込めて、早苗さんが新しい力に目覚めてたまたま上手くいっただけです! 奇跡は何度も起こらないから奇跡なんですよ!!!」

「そうね、でもやめないわよ。魔法少女」

「分からず屋です!」

「そうよ、私は分からず屋なの。だから諦めなさい」

「…」


すみれに何も言っても聞かないと察し、ミソラが立ち上がりその場を後にしようとする。


「ゴールキンは私が倒すわ」

「…ハイ?」


そんなミソラを、すみれの言葉が押し止める。


「ゴールキンは私が1人で倒すって言ってるの」

「な、何を言ってるんですか? そんなの…」

「今度の戦いは、私が1人でゴールキンと戦うから。アンタは指をくわえて見てなさい」

「そんなの無茶です!!!」

「アンタだって1人で戦おうとしてるじゃない。それと同じよ」

「メチャクチャです! 私には1人で戦うなって言ってたのに、自分は1人で戦うんですか!?」

「ええ、そうよ」

「メチャクチャです! ゴールキンと戦うのは私です!!!」

「いいえ私よ」

「私です!」

「私よ」

「私です!!!」

「お願い、ミソラ」


立ち上がったすみれが、深々と頭を下げるのを見てミソラが息を呑む。


「約束したの。ゴールキンは私が倒すって。それにアンタにも関係ある約束なのよ」

「約束、ですか…?」

「ええ、そうよ」

「…」


すみれのただならぬ様子に、意固地になり視野も狭くなっていたミソラもさすがに何かあると察する。

プライドの高いすみれが頭を下げるなんて、よっぽどの事だ。そこにミソラはすみれの覚悟を感じた。


「…分かりました」

「え?」

「今度のゴールキンとの戦いはすみれさんにお任せします。ただし危なくなったら私も加勢する。無茶な真似だけは絶対にしない。いいですね?」

「ええ、分かったわ」


すみれの言葉に、ミソラが微笑み小指をスッと出す。


「…何? その小指」

「い、いえ何でも…」


すみれに怪訝な目で見られ、ミソラが小指を引っ込める。

その代わり、今度は手を出した。


「…」


何を求められてるか察したすみれが、ミソラの出した手に自分の手を重ねガッチリ握り合う。

こうして魔法少女達は仲直りしたのだった。

…1人だけを、完全に蚊帳の外に残して。

次週は2話更新です。

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