第25話 魔法少女、また仲間割れをする
「サイクロンラーッシュ!!! ハアアアアアア!!!!!」
「ぬう! ぬうううううううう、ぬん!!!」
「きゃあ!?」
「スカーレット・ウィップ!!!」
「ぬう!? …ちょこざいな!」
「えっ!? キャアアアア!?」
炎のムチを腕に巻き付けられたゴールキンが、そのムチを振り回してマジカル・スカーレットを投げ飛ばす。
「小手先で倒そうなど生ぬるいわ! そのようなもので倒せるほどワタシは甘く…」
「余所見してんじゃないわよ! ハッ!」
「ぬうっ!?」
「ヤッ! ハッ! タアっ! トウっ! ヤアっ!」
シャイニングの攻撃が、立て続けにゴールキンにヒットする。
ゴールキンは変わらず仁王立ちでシャイニングの攻撃を受け止め続けている。
「シューティング・スター!!! ヤアアアアアア!!!!!」
「ぬうううううう!!!!!」
シャイニングの必殺技、光の速さでの体当たりシューティング・スターを受けゴールキンが50mほど後ずさりする。
後ずさりしたが…
「よい攻撃だ。…ぬん!!!」
「キャーーーー!?」
「シャイニング!」
裏拳で弾き飛ばされたシャイニングを、ウィンディとスカーレットが2人がかりで何とか受け止める。
「くっ、まだ、まだ…」
「今日はこの辺りにしておいてやろう」
「………はっ?」
「また1週間猶予をやろう。それまでに自分を見つめ直し強くなるがよい、魔法少女達よ」
「ま、待って下さい! あなたは一体…!?」
「我が名はゴールキン! 強さを求め、強き相手を求める漢よ!」
金色の身体に身につけた赤いマントをバサアっ!と翻し、ゴールキンが姿を消す。
「ま、また行っちゃった…」
「何が目的なんでしょう? あの人…」
「……決まってるでしょう。『強い相手と戦う事』よ」
あっけに取られる早苗とミソラと対照的に、息を切らしながらすみれが、確信を持って言う。
「言ってるでしょう? 『強さを求め、強き相手を求める』って、アイツは強い相手を求めてるのよ」
「…つまり、私達が強くなるのを待ってるって事?」
「ええそうよ。それよりミソラ? さっきの戦いは何なの?」
「何なの、って…」
「早苗は新しい技で何とか工夫しようとしてたけど、アンタ前と一緒だったじゃない。この1週間何してたの?」
「何してたって…。鍛錬を…」
「どうせパンチとキックの練習を倍にしたとかでしょ? そんなんでゴールキンに敵うわけないでしょ」
「そ、そんな事すみれさんに言われたくありません!」
「私は考えて自分を鍛えてきたわ」
「…」
「どれだけ一生懸命頑張っても、頭を使わない練習は非効率的だわ。努力は報われるっていうけど、どれだけ頑張ってもそんなんじゃ無駄な努力よ」
「す、すみれちゃん…。そんな言い方…」
「もういいです!」
早苗がすみれをいさめようとする前に、ミソラが大きな声を上げる。
「分かりました! これからは私1人で戦います! お2人の手は借りません!」
それだけ言い残し、ミソラが踵を返しその場を後にする。
「ミ、ミソラちゃん待って!? …すみれちゃん! どうしてあんな事言うの!?」
「早苗、アンタ気づいてないの?」
「えっ…?」
「…気づいてないならいい。これはミソラから話してくれないといけない問題だから」
「何? 何の話? …っていうか、あの言い方はないよ。すみれちゃん」
「…そうね。何とも思ってない相手なら、もっと上手い言い方できるんでしょうけどね」
「…」
「…さっきは助けてくれてありがとね。私ももう帰るわ」
「…それを最初にミソラちゃんに言ってあげるべきだったよ、すみれちゃん」
「分かった。次からはそうするわ」
素直じゃないすみれに、早苗は苦笑を浮かべる。
苦笑を浮かべるも……これから1週間で修復できるとは思えない絆のヒビがミソラとすみれの間にできてしまった事に、内心頭を悩ませるのだった。
一方その頃チャッピーは、自分だけ安全な所から戦いを眺めていた。




