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魔法少女、嫁になる。  作者: アブラゼミ


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24/50

第24話 魔法少女、魔王の幹部に話をする

「…まさかお前さんが一番に来るとはな」

「ミソラは? 来てないの?」

「ああ、帰ってない」

「…」


『来ていない』でなく『帰ってない』という辺りに、ミソラがここに住み着いている事を察し、すみれが眉をひそめる。

ここはウスグラーイ領ウスグラーイ城。

ひそかに魔王の幹部から魔法少女の味方に寝返っているクロカゲが住む場所である。


「で? 俺に話って何だ?」

「分かってるんでしょ、ゴールキンをどうやって倒すかって話よ」

「…正直に言っていいか」

「どうぞ」

「無理だと思う」

「…」


自分でもそう思っていたけれど冷静な第三者の目から見てもそうだという事を思い知らされ、すみれが唇を噛む。


「…そう、やっぱりそうよね」

「ああ、実力の差が違いすぎる。これまでみたいに新しい力に目覚めても、ゴールキンには通じないだろう」

「…」


これまでは窮地に陥る度に都合良く新しい力に目覚めて魔王の幹部を撃退してきたが、あのゴールキンには通用しないだろう。

そのくらい、あのゴールキンは強かった。


「…ただ、猶予はあると思う」

「猶予?」

「ゴールキンはお前達魔法少女を強くするために戦っていると聞いた。強く育てるために戦うと」

「強く育てる? 何のために?」

「『最高の戦いをしたいから』だそうだ」

「…」

「最高の戦いをした上でお前さん達魔法少女を倒す。そういう約束をジャ=アークと交わしているそうだ」

「何よそれ…」

「ゴールキンは飢えているんだ。強い相手との戦いに」

「…」

「『自分を倒せるかもしれないくらい強い相手と戦いたい』。鍛錬から戻ってきた時に俺にもそう言って戦いを求めてきたからな。断ったが」

「アンタ別に強くないじゃない」

「まあな」

「…」


魔法少女1人1人よりは強いが、魔王の幹部の中では一番弱いクロカゲにゴールキンが戦いを求めたという事に、すみれが疑問を覚える。

覚えるが……考えても仕方なさそうなので後回しにする。


「それじゃあゴールキンは私達が強くなるまで待ってくれるって訳?」

「ああ、ただ君達が成長しなかったら見切りをつけて倒しにかかるかもしれないがな」

「要するに、強くなるしかないって事ね」


結局の所それしかないという結論に至り、すみれが決意を新たにする。


「…なあ、なんでそんなに頑張るんだ?」

「え?」

「この戦いはマジカル・ワールドの問題だろ? なんでそこまで頑張れるんだ?」

「決まってるでしょ。早く終わらせたいからよ」


長い髪をかき上げながら、すみれが鬱陶しそうにクロカゲの問いに答える。


「魔法少女なんて、来年までやってらんないわよ。進路とか色々考えないといけないし…。ミソラと早苗の2人は来年3年生なのよ? 付き合わせてられないわ」

「ならもうやめても…」

「バカなの? ジャ=アークはリアル・ワールドの侵略も目論んでるんでしょ? あっちの世界もこの世界みたいにされるなんて冗談じゃないわ」

「…」

「どっちみちアンタ1人でどうこうできる問題じゃないでしょ? 巻き込んでしまって申し訳ないとか考えなくていいから、どうすればジャ=アーク達を倒せるか考えなさい」


自分の迷いと悩みをすみれに見透かされていた事に、クロカゲは表には出さないが内心驚く。


「…ゴールキンには、遠距離攻撃より近接戦闘の方が有効だと思う」

「どうして?」

「この前の戦い、スカーレットの攻撃は片手であしらわれていた。けれどもウィンディとシャイニングの攻撃は効いていたと思う」

「効いていた? あれで?」

「効いていたというより、ゴールキンは近接戦闘の攻撃から逃げないからな。攻撃を受けた上で反撃する。チャンスがあるとしたらそこだと思う」

「…言われてみれば、そうね」


ゴールキンは接近戦の攻撃から逃げない。

防御もせず攻撃を受け止める。必ず受け止めてから反撃してくる。


「どんなに丈夫な身体をしているとはいえダメージが全くないなんてないと思う。それと多分、ゴールキンは強い相手の攻撃を受けた上で勝つ事を美学としてるんだ。つけいる隙があるとすればそこだ」

「プロレスラーみたいな戦い方ね。で? どうすればいいの?」

「…近道はないが、すぐに改善できる所はあると思う。お前さんの攻撃だ」

「私の?」

「お前さん、格闘技の心得があるだろう?」

「ええ、空手をやっていたわ」


すみれは小学生の頃、護身術も兼ねて6年間空手の道場に通わされていた。

さらに魔法少女になってから、最近型の練習や蹴りの練習を再開していたのだった。


「カラテが何かは知らないが……攻撃する時に『ヤアアア!』とか『ハアアア!』とか言ってたか?」

「………言ってないと思うわ」

「そこなんだよ。精々『ヤッ!』とか『ハッ!』だろ?」

「…そうだと思うけど、それがどうしたの?」

「要するに『ヤアアア!』とか『ハアアア!』は無駄が多いんだ」

「無駄が多い?」

「『ヤアアア!』とか『ハアアア!』って言うのに力を使っていて、キックやパンチに使うべき力を無駄にしてしまってるんだ」

「言われてみれば……それもそうね」


クロカゲの言葉に、すみれが納得する。

確かに声に出している分、力を無駄にしていたかもしれない。


「『ヤッ!』とか『ハッ!』の方が上手く力を出せるはずだ。それだけでも少し違うと思う」

「そうね。これからはそうしてみるわ。………ミソラには言わないの?」

「ミソラは少し特殊なんだ。ミソラの場合『ヤアアア!』とか『ハアアア!』の方が力が出る」

「…」


クロカゲの発言に、かなり前からミソラにその話をして戦い方のアドバイスをしていた事を察し、すみれが渋い表情になる。

それはつまり、戦い方以外の話もしてた訳で…


「ちょうどいいわ。実践したいから組み手に付き合いなさい」

「俺が?」

「他に誰がいるのよ」

「…まあ、構わんが」


部屋を出て城の中にある道場に向かおうとするクロカゲにすみれが無言でついていく。

この後めちゃくちゃ鍛錬した。

子どもの頃の習い事


ミソラ ???

すみれ ピアノ・バレエ・空手

早苗 金管バンド

クロカゲ なし

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