表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女、嫁になる。  作者: アブラゼミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/50

第23話 魔法少女、英語の授業を受ける

始業5分前のチャイムが鳴り、すみれが窓の外を眺めながら目を細める。

昨日はよく眠れなかった。

ゴールキンの強さ、まったく通じなかった攻撃、戦いが終わった後のミソラの様子が変だった事。


「一体、どうしたっていうのよ…。まあ、想像はつくけど…」


おそらく気づいてしまったのだろう。これまでずっと目を逸らしてきた事が、現実味を帯びてきた事に。


「…」


それはつまり、すみれにも同じ事が言える訳で…


「(…って何考えてるのよ私は!)」

「きりーつ」


浮かんできた考えを頭を振って打ち消し、学級委員の号令に従ってすみれが起立する。


「気をつけ、礼」

「Good morning,everyone!」

「「「「「Good mornin.Mr.Ito」」」」」


帰国子女やインターナショナルスクール出身者、英会話教室に通っている生徒が多いせいか発音がネイティブだ。すみれは声を小さくしてうつむく。


「今日は皆さんに新しいALTの先生を紹介します。1ヶ月だけこのクラスを担当する事になりました。Goldwin先生です」

「Hi evertone! I’m Patric Goldwin! Good to see you!」


パリッとしたスーツを着こなした、いかにも自信満々で明るそうな金髪の白人男性登場にクラスの熱気が少し上がる。


「(ゴールウィン? ……まさかね)」


昨日戦った相手と名前が似てるが、いくらなんでもそんなわけないだろうと思いすみれは眉をひそめる。


「ゴールウィン先生は外資系のコンサルティング会社にお勤めでね。特別に今月だけALTを担当していただけることになったんだ」


会社勤めしてる魔王の幹部なんているはずないし、クロカゲがゴールキンは魔法が使えないと言っていたことを思い出したすみれが、自分の思い過ごしだと結論付ける。


「(いけないわね…。授業に集中しましょう)」


すみれは、顔を上げて授業に専念することにした。




*************************************




バイト先のあるショッピングモールを、すみれがブラブラ歩く。

バイト終わりで時間も遅く褒められたことではないが、まっすぐ家に帰る気にならなかったし気晴らしがしたかった。

何の気なしに目が留まったクレーンゲームをやってみようかと思ったが、どうせ取れないだろうし欲しくもないので無駄だと思いやるのをやめる。


「(ケチくさい話ね…)」


自分でお金を稼ぐようになってから、つい使いすぎてしまったことがありその反省から財布の紐が固くなった。

しかしバイトを始めて学んだことなんて何もない。

お金の大切さなんて分からないし、仕事もマニュアル通りにこなすだけ。たまに面倒なお客さんがいるがそこは社員に任せて自分はさっさと引っ込む。まあそんな客あまりいないのだけど。

すみれの人生は退屈であふれており、自分の人生はこのままズルズルいくんだろうなと思っていた。…魔法少女になるまでは。


「(魔法少女にならなきゃ、こんな思いしなかったのにね…)」


そんな事を考えながら歩くすみれと、見覚えのある人物、いや今日会った人物と目が合った。


「Hi!」


すみれに気づいたゴールウィンが、手を上げながら近づいてくる。


「授業でお会いしましたね。ええと…」

「西園寺です。西園寺すみれと申します。ゴールウィン先生」

「すみれさんですね! 覚えました!」


ニコニコとすみれの手を握ってくるゴールウィン。いきなり下の名前呼びされても嫌悪感は感じない。


「(日本人にはない気安さよね。それより…)」


すみれは気になった事をゴールウィンに尋ねる。


「ゴールウィン先生、日本語お上手ですね」

「ワタシのgrandma…祖母が日本人でしてね。家では英語と日本語両方で会話していたんですよ」


なるほど、どおりで流ちょうな日本語なわけだ。

感心してるすみれに、ゴールウィンが少し怖い顔をして詰め寄る。


「それよりすみれさん? いけませんね。高校生がこんな時間にこんなところをうろうろしてるなんて」

「あ…。バイト先がここにありまして…。ついさっきバイトが終わったところで…」

「Oh! それはそれは! お疲れ様です!」

「は、はい…」


いきなり握手され、ブンブンと手を振られすみれが身を縮こまらせる。


「何のアルバイトをされているのですか?」

「えっと…ハンバーガーショップで注文とレジの仕事を…」

「それは大変ですね! ワタシも学生時代やってたので分かります!」

「そうなんですか?」

「ハイ! すぐにキッチンに回されました!」

「…」

「おっといけません。買い物があるんでした。すみれさんも早く帰るんですよ」

「は、はい…」

「Bye!」


終始高いテンションで、ブンブン手を振りながら去って行くゴールウィンに手を振り替えしながら、すみれがあっけにとられる。


「なんていうか…。変な人ね…」


あの空気の読めなさはミソラに通じるものがある。

気がつけばペースに巻き込まれ、一方的に振り回されて終わる。この1年近くで慣れたとは言えやっぱり疲れる。


「ハア、早く帰ってお風呂入って寝よ…」


すみれは、足早にショッピングモールを出て駅へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ