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魔法少女、嫁になる。  作者: アブラゼミ


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22/50

第22話 伝説の戦士、ゴールキン!

むかしむかしマジカル・ワールドに、

とってもじゃあくな邪神がいました。

邪神はある魔法使いをあやつり、

せかいのはんぶんをせいふくさせました。

けれどもそこにみんなのヒーロー、

ゴールキンがあらわれ魔法使いと邪神をやっつけました。

邪神はふういんされ、

邪神にあやつられていた魔法使いもしょうきをとりもどしました。

ゴールキンはおうさまにたくさんほうびをもらいました。

めでたしめでたし。




*************************************




「…っていうのがこの世界に伝わってる伝説の戦士ゴールキンの話だ」

「ほぼ情報ないじゃない」

「何も分かりませんね!」

「ア、アハハ…」


ウスグラーイ領ウスグラーイ城に集められた魔法少女達が、クロカゲのした昔話にそれぞれリアクションを返す。

それを見て何を思ったのか重々しくうなづいたクロカゲが、とっておきの情報を話す。


「まあ子ども向けの話だからな。ただ分かってる事もあるぞ」

「な、何ですか?」

「ゴールキンはな、魔法が使えないんだ」

「「「…」」」


「うん? 俺何かおかしな事言ったか?」

「魔法が使えないから何だって言うのよ。そんなの当たり前じゃない?」

「いや、マジカル・ワールドの住人は皆魔法を使えるから魔法が使えないというのは珍しいんだ」

「そ、そうなんですか?」

「ああ。まあ今のゴールキンは人間じゃなくて作られた存在らしいが、それでも魔法は使えないはずだ」

「魔法が使えないのは分かったけど、なんでそんなのが伝説の戦士なの?」

「ゴールキンはな、身体がとても丈夫なんだ」

「「「…」」」


「うん? 俺何かおかしな事言ったか?」

「身体がとても丈夫だから何なのよ」

「どんな攻撃も通じないって事だよ。伝説じゃ三日三晩邪神に操られた魔法使いの攻撃を食らい続けても倒れなかったらしい」

「それって……す、すごいんですか?」

「すごいだろ。だってこの世界の半分を征服した魔法使いの攻撃だぞ。それを三日三晩くらい続けても倒れなかったんだからすごいだろ。俺もゴールキンと戦った時攻撃を浴びせ続けたけど倒せなかったはずだからな。あんまり覚えてないけど」

「あんまり覚えてないんですか!?」

「相変わらず頼りない情報ね…」

「でも一つだけ言える事がある」

「な、何ですか?」

「君達の必殺技でもゴールキンは倒せない」

「「「…」」」


「スカーレットの強化された新技でも倒せないはずだ。悪い事は言わない、ゴールキンと戦うのはよせ」

「イヤよ」

「…」

「伝説の戦士ゴールキンだか何だか知らないけど敵前逃亡なんてまっぴら御免よ。プライドが許さないわ」

「すみれさんの言うとおりです! 私達はマジカル・ワールドを取り戻すために戦っているのですから!」

「…」

「ま、まあ危なくなったら私が2人を説得しますから…」

「…お前さんだけが頼りだな。ハア、この脳筋コンビは…」




*************************************




「サイクロンラーッシュ!!! ハアアアアアア!!!!!」

「ぬうううううううう!!!!!」

「ハアアアアアア!!!!!  ………ハア、ハア」

「どうした? もう終わりか? ぬん!」

「きゃあ!?」

「ウィンディ!?」

「スカーレット・アロー! フェニックス!!!」

「ぬう!」

「か、片手で弾いた!?」

「ぬん!」

「え? キャアアアアア!!?」

「よくもウィンディとスカーレットを! シューティング・スター!」

「弱い」

「かはっ」



ゴールキンの膝蹴りがシャイニングの腹にめり込む。

地面に倒れる魔法少女達3人。

その3人を見下ろしながらゴールキンが腕を組んで仁王立つ。


「こんなものか、魔法少女達よ。ジュモクン達を倒したというから期待したが期待外れだったようだな」

「まだ、まだです…!」

「ムウ?」

「私達は、絶対に負けません…! ジャ=アークを倒し、マジカル・ワールドを取り戻すのです…!」

「ウィンディの言うとおりよ…! 私達は、絶対に諦めないんだから…!」

「フム…」

「ふ、2人とも! ここは引いて立て直しを…!」

「今日の所は、このくらいにしておいてやろう」

「「「え?」」」

「元々今日は小手調べのつもりだったからな。1週間猶予をやろう。それまでに自分を見つめ直し強くなるがよい、魔法少女達よ」

「ま、待って下さい! あなたは一体…」

「我が名はゴールキン! 強さを求め、強き相手を求める漢よ!」


金色の身体に身につけた赤いマントをバサアっ!と翻し、ゴールキンが姿を消す。


「な、何だか知らないけど助かったの…?」

「助かったと言うより…、変な人でしたね…」

「でも強さは本物だったわ…。本当に強かったわね…」


まったくと言っていいほど歯が立たなかったゴールキンの強さを思い出し、魔法少女達3人が下を向く。


「あんな強い相手と……1週間後にまた戦わないといけないの?」

「大丈夫です! 私達ならどうにかできます!」

「…待ちなさい、ミソラ」


いつものように前向きな脳筋発言をするミソラに、珍しくすみれが反対意見を示す。


「あの相手は今まで通りじゃどうにもならない相手だわ。強さの次元が別次元よ」

「…確かに、強い相手です。でも私達ならどうにか…!」

「無理よ、あの強さは別次元…」

「別次元でもどうにかしないといけないんです!!!」

「ミ、ミソラちゃん…?」


突然大きな声で叫んだミソラに、早苗とすみれが戸惑う。

ミソラの様子が、おかしい。

いつも快活なミソラには似合わない焦りと、苛立ちが言葉にほとばしっていた。


「どうにかしないといけないんです! でないと、私は………!」

「ミソラちゃん…」


拳を握ってうつむき、黙りこんでしまったミソラに何と声をかけていいか分からず早苗がオロオロする。


「…」


すみれはすみれでミソラの様子に動揺し、けれどもその動揺を表に出さないように腕組みをしてツンと佇むだけで何も声をかけない。


「…スミマセン、私は帰ります。また明日、お話しましょう」


下を向いて表情を見せないまま2人にそう言い、ミソラが踵を返してその場を後にする。

後を追いかけようとした早苗を、すみれが肩に手を置き首を振って押しとどめる。

ミソラは直情型ではあるが反省もできる子だ。それにクロカゲがフォローしてくれるだろう。


「それより、1週間後にアレと戦わないといけない方が問題だけれどね…」


初めての負け。それも完敗にすみれが唇を噛む。

伝説の戦士ゴールキンは、それほどに強い存在だった。

ゴールキン

年齢:???歳

身長:192cm

体重:105kg

特技:生け花

趣味:トレーニング

好きな食べ物:低カロリー高タンパクな食べ物

苦手な食べ物:高カロリー低タンパクな食べ物

最近の悩み:クロカゲがいつの間にかおしゃれになっていて戸惑う

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