第10話 魔王の幹部、目玉焼きを焼く。
「ありえません! 目玉焼きにはお醤油一択です!」
「そっちこそありえないわよ。目玉焼きは塩こしょうでしょ」
いつものように下らない事で言い争い始めたミソラとすみれを、クロカゲと早苗がちらっと見た後ため息を吐く。
「お醤油ったらお醤油です! 黄身を崩してお醤油を垂らして食べるのが1番なんです!」
「塩こしょうったら塩こしょうよ。塩こしょうでピリッと食べるのが1番よ」
「塩こしょうなんてご飯に合わないじゃないですか! 目玉焼きをご飯の上に乗せてお醤油をかけてご飯に垂れた黄身とお醤油を一緒に食べるが最高なんです!」
「お醤油なんてパンに合わないじゃない。塩こしょうをかけて目玉焼きを食べた後にトーストを食べるのが最高なのよ」
「…すみれさん、朝はパン派なんですか?」
「…ミソラは朝はご飯派なの?」
「当然です! 朝はご飯です!」
「朝はパンよ!」
「ご飯!」
「パン!」
「「…」」
言い争いに新たな火種を加え始めたミソラとすみれを横目に、クロカゲは書類仕事、早苗は宿題を黙々とこなす。
ここは、マジカル・ワールドのウスグラーイ領ウスグラーイ城、クロカゲの執務室。
最近は魔法少女達が入り浸っている場所だ。
「…朝はご飯かパンかはひとまず置いておきましょう。それより目玉焼きに何をかけるかです」
「…ええ、そうね」
「どうでしょう。ここは1つお互いの目玉焼きをそれぞれ試してみるというのは」
「ええ、どっちがおいしいか試してみましょう」
「はい! ではクロカゲさん! 目玉焼き2つお願いします!」
「何でだよ」
いきなり巻き込まれたクロカゲがツッコミを入れる。
しかし結局断りきれず、クロカゲはキッチンで目玉焼きを2つ作るのだった。
………
……
…
「…塩こしょうもアリですね!」
「お醤油って意外と合うのね」
塩こしょうをかけた目玉焼きと醤油をかけた目玉焼きを食べながら、ミソラとすみれが声を上げる。
「「…」」
この2人の言い争いはいつもこんな感じで終わるのだ。最終的にどっちもありという決着で終わり仲直りする2人をクロカゲと早苗が疲れた目で見る。
仲がいいのか悪いのか分からない2人はそんな視線に気づかずやいのやいのと今度は目玉焼きの焼き具合で話をしている。
「クロカゲさんと早苗ちゃんは目玉焼きに何をかけるんですか?」
ミソラが妙な気を利かせてクロカゲと早苗にも話を振る。
「俺は醤油派だが」
「やっぱりお醤油派に戻ります!」
「いや、戻るも何もどっちもありでいいだろ」
これ以上話をこじらせたくなくて、クロカゲがミソラをなだめにかかる。
「早苗は? 目玉焼きに何をかけるの?」
そんなクロカゲとミソラを見てフンと鼻を鳴らしたすみれが、早苗に問いかける。
「わ、私は……、目玉焼きにはソース派なんだけど…」
「「…」」
新たな派閥、ソース派の登場にミソラとすみれが静かにいきり立つ。
クロカゲは、ひそかにため息を吐いた。
目玉焼きの黄身、いつ崩す?
ミソラ 最初
すみれ 最後
早苗 気分次第
クロカゲ 一口で食べるから崩さない




