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暗空の首狩り公  作者: バルト
主人公編 帝国の首狩り公
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第四話 『インサニティ』

「AIの赤子って………どんな感じなんだ?」


俺はそうおっちゃんに聞いてみた。実際全く分からんしな。


「そうだね、この機体は技術部の全てをつぎ込んだ物でね。OSも生半可なものどころか、最新鋭の物でも補助すら出来ないほどになっちゃったんだ!」


てへぺろっ!と言う感じで言っているが内容はだいぶやべぇしおっちゃんがやっても可愛くもなんともないから止めてくれ。というか、


「なんだよ最新鋭のOSが補助も出来ないって」


そう言うと、おっちゃんは平然と


「それくらい操作が難しいんだよ。だから、最初から頭の良いAIを乗せるのは止めたんだ」


と答えた。意味が分からんが?


「まぁ要するに、まだなにも知らないけれど才能が有り余っていて、知識の吸収速度が恐ろしく早い子供って感じかな。で、ここからが本題でね」

「うーん?よく分からんが……本題?」

「うん。このOSに使っているAIは学習型でね、君の機動を体感して、それに応じて補助を行うんだ。でもある程度学習するまで全然補助が効かないから、素で普通に操縦したり、戦闘機動を取れるパイロットじゃないと使えないんだよね」

「欠陥品じゃねぇか!」

「いやいや、だから君ならこの子を使いこなせると思ってね。ま、百聞は一見に如かずだ、とりあえずテストフライトしてみたらどうかな?」

「ハァ………わかったよ、とりあえず飛んでみる。飛行出来るんだろ?」

「もちろん許可は取ってある。安心して行っておいで!」


じゃあ、乗ってみるかね……。


------------------------


よし、念のため軽装甲の耐Gスーツを着て、と。起動するか!


《ATAREX-000-GCインサニティ、起動》


かなり機械的な、人によっては恐ろしく感じるような重低音な音声が起動を知らせる。


《登場者、【レイジ・スカウト】登録完了》

《以後、パイロットを【レイジ】と呼称します》


よくしゃべる赤子だ。まぁこんな感じで会話できるんだろうな。


「システムオールグリーン、武装は………いらんな。行けるぞおっちゃん!」

『了解。カタパルトの使用許可も取ってあるから、そっちに移動するように』


今はちゃんと将官してんな………。この状態の時はカッコいいよなぁ………本人に言うと怒られるが。


「カタパルト固定、エンジン出力安定。問題なし」

『前方の安全確認よし、あと武装は今着けるから一応持っていくように。最新式、というか試作の新型エネルギーブレードとこれまた試作のプラズマ収束ランチャーだ』

「いや待ておっちゃん!帝国はプラズマ技術は推進力として以外にはそこまで発展させられていないはずだぞ!?いつの間にそんなもん作れたんだ!?」

『大丈夫だよ。試験は済ませてあるから、暴発はしないから』


…………安心出来ねー。まぁしょうがない、持っていこう。


『全項目問題なし、カタパルト起動!射出まで10、9、8………』


カウントダウンも始まった、バイザーは下ろしておこう………。


『4、3、2、1』


そして、フットペダルを踏み込む!


『0、射出!』


ヴォン!という低い音と共に、俺は帝都上空に飛び上がった。って、よく考えたら今日って帝都で軍事パレードがある日じゃなかったか?……………ついでに新兵器のお披露目、しかもパイロットに確認無しかよ。まぁ、あの人達ならやりかねんな………。


『出撃確認、じゃあモニターに表示される順路に沿って飛んでみてくれ』

「了解」

『っと、忘れるところだった。君は今コールサインが無い状態なんだ。そして、そういう機体を与えられた、と言うことは君のための隊が出来るんだろう。名乗りたいコールサインはあるかい、【首狩り公】?』


コールサインか………。


「どんな名前でも良いのか?」

『帝国の威信を落とすような物じゃなければね』

「そうか。なら……………やっぱり、あれしか無いな」

『あれって?』

「おっちゃんもよく知ってる、もう無くなっちまったあの隊さ」

『まさか………』


ストームブリンガーは、失われてしまった。なら。


「自惚れだとしても、俺がストームブリンガーを引き継ぐ。俺のコールサインは、【ストームブリンガー】だ」


おっちゃんは少し沈黙した後、


『…………………【ストームブリンガー】か。わかったよ、それで登録しておく。君は帝国の剣なんだ、遠い昔の地球にあった神話の剣の名を名乗ってもなんの問題もないだろう』


と答えた。俺は、隊長達の生きた証を、後世まで残す。そのためにこの名前を使う。だから、この名前を全ての国に轟かせて見せる!


「おっちゃん」

『ん?どうしたんだい?』


ほとんどのテストはもう終了した。機動性、加速速度、そして反応速度。訓練で調べられることでは、全て俺の期待を越えていた。


「この機体なら、………【ディストーション】を落とせると思うか?」

『………………………………』


帰ってきたのは長い沈黙だった。だから俺はがっかりした。だが、それは思い違いだったらしい。


『あれは、我々に屈辱を与えた』


ポツポツと、おっちゃんは言葉をこぼし始めた。


『我々の自信作だった、ストームブリンガー隊の機体を、あっという間に破壊したんだ』


おっちゃんにとっても、あれは憎いらしい。


『だから、レイジ君。君に、その機体を託す。僕は、その子と君なら、あれを墜とせると信じている』

「………ああ」

『だから、頼むよ。あの巨大戦艦を。帝国が開発すら出来ていない次元潜航艦を墜としてくれ!』

「鹵獲してきてやるさ。任せろ」


俺は、固く誓った。






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