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暗空の首狩り公  作者: バルト
主人公編 帝国の首狩り公
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第八話 追撃戦

気が向いたので更新………(次がいつかはわかりません)

『全機、敵艦隊の内部に入り込んだ後は隊列を崩し、可能な限り敵を叩け!』

「こっちもだ。さっきので慣れただろ?俺は一旦お前らから離れる。好きなだけスコアを稼げ。墜とされるなよ」


 俺はそう言って、インサニティの進路を敵艦隊下方の小惑星帯に向けた。


『おいレイジ!?どこに行く!!』

「なに、敵をボコボコにするためのちょっとした仕込みさ。そのためにこんな本気で偽装してるんだぜ?」

『あっ、おい!』


 リューズが驚いていたが知らん知らん。通信をカットして、センサーの類いもパッシブのみ、ステルスモードに入った。


《レイジ、光学迷彩も正常に起動。今の状態の我々を見つけることが出来る敵はほとんどいないでしょう》

「絶対じゃ無いんだな?」

《この世に絶対はありません。どれほど厳重にシールドされた情報や、凄まじいステルス性能を持った物体であっても何かのアクシデントで漏れだしたり発見されたりします》


 うーん。まぁそんなヤバそうな敵艦はいなかったし、ここではバレねぇだろ。よし、小惑星帯に侵入したな。


「こっからは小惑星に隠れながら敵艦隊の前方に回り込むぞ。ジャンプゲートの真下当たりまで行けると最高だな」


 ん?悪巧みか、って?まぁ向こうからしたら悪夢になるだろうな。なんせ………


《レイジ、敵に違和感を覚えた者がいたようです。敵艦隊中央の戦艦からレーダーを照射されています。まだ発見されていませんが、小惑星の影に隠れた方が良いかと》

「マジかよ、船乗りの勘は相変わらずだな………」


 何で本気でステルスしてるアールディルテの、適当かも知れないとはいえ存在を疑えるんだよ。そんな化物いたら俺らが接近出来ねぇだろ。


《レーダー照射停止。ですが警戒を》

「へいへい………バレたらもう隠れる意味が無くなるからな」


 俺達の、いや俺の目的は他の奴らが敵艦隊の注意を引いてるうちに敵が最も気の緩むであろうジャンプゲートの近くで待ち伏せすることだ。流石に追撃を受けながら前方の俺からの攻撃にも完璧に対応してくる、なんてのは無いと思いたいが………念のためあの戦艦は真っ先に潰しておきたいな。どう見ても旗艦だしな。


《敵艦隊を追い抜きました。後は発見されないように注意しつつジャンプゲートに接近するだけです》


 よし、これで敵の前には行けるな。ジャンプゲートまで行ければ、少なくとも敵の撤退は防げる。ゲートはそこまで頑丈じゃない。事前チャージ式だったプラズマランチャーを使えば破壊出来るだろ。チャージしといて良かったぜ。すぐに撃てるし、対消滅エンジンとはいえ燃料は使うからな。あんまり浪費するのは避けたい。


《ジャンプゲートに接近。レイジ、集中してください》

「おっとすまん。ここからが一番きついからな」


 レーダーでガチガチに固められたジャンプゲートは、敵を発見するとこれまたガチガチに固めた対空砲やレーザータレット、しまいには対艦ミサイルまで使って攻撃してくる。そんな所に見つからないように接近するんだから大変じゃあ済まない。


《敵のレーザー探知圏をスターマップに表示。赤い部分に入らないようにしてください》

「ステルスモードでもやっぱりバレんのか?」

《いえ、ほとんどバレないでしょう》

「バレないんかい!?じゃあ普通に行っても良いんじゃねぇの?」

《発見されるリスクはありますので。回避した方がずっと安全です》


いやそうだろうけどなぁ……?まぁインサニティがそういってるんだ、やるしか無いな。


「やっぱりアホみたいな警備体制だな……。これは潜り抜けるのが大変だぞ」

《ですがレーダーの方向転換はかなりゆっくりです。動くときはこちらで分かるので警告します》

「なら安心………か?まぁ行こう、間に合わなくなる」


 そうして俺は慎重にインサニティのサブスラスターを吹かして移動を開始する。もちろんメインスラスターの方が早いし、操作も楽だ。

 だが、流石にメインスラスターを吹かしたらステルスの意味が無くなるからな、しょうがない。


《レイジ、レーダーの探知範囲が移動を開始。気を付けてください》

「へいへい……」


 長くかかりそうだな、こりゃ。



☆☆☆☆



《レーダー網を抜けました。お疲れ様です》

「やっとか。ホッとしたよ」


 結果として、とりあえず敵艦隊が到達するかなり前にゲートまでたどり着くことが出来た。味方のジャミングのお陰で敵のゲート指令部と旗艦は通信が出来ていない。ささっと潰してしまおう。


『ん? ………!?レーダーに感あり!機数1、直上!』

『なんだと!?レーダー網はどうした!』

『観測していません!高性能のステルス機と思われます!』

『クソッ!全対空砲起動、撃てるものは撃て!!』

『イエッサー!』

「いや、撃たせんが」

『はっ……?なっ』


 悠長に会話している間に、もう接近は終わっていた。最新式のエネルギーブレードが振り下ろされ、指令部は一撃で壊滅した。


『指令部との有線通信途絶!』

『なんだと!?』


 このような指令部の喪失を驚く通信があちこちで飛び交っている。


「そんなことに驚いている暇があるなら、さっさと迎撃体勢を整えれば良いのにな。まぁこっちとしては楽だが」

《そうですね。相変わらずバーディアの軍人は末端は判断力が無いようです》

「教育をあまり受けてないらしいからな、しゃーないだろ」


 と、また対空砲を1基破壊し、高速対艦砲に向かいながら会話をしていた。


『わ、我々が最後の1基のようです!』

『くっ……降伏だ!降伏する!!』

「なら脱出挺で外に出ろ。どのみちそのゲートは破壊するんだ、放棄しないと吹き飛ぶ羽目になるぞ?」


 最後の高出力対艦砲塔は降伏、戦闘員は脱出したため、レイジはゲートを破壊するべくインサニティにプラズマランチャーを構えさせた。しかし、


《レイジ。敵艦隊の重要な艦がフォトンドライブでこちらに向かって来ています。残りは足止めを行っているようです》

「ふん?まああいつらがやりそうな事だな」


 ちなみに、足止めの艦隊には旗艦も残っており、なかなかに手強いらしい。つまり……


《お察しの通り、連邦の要人達が乗っているようです。墜とせば連邦に大きなダメージを与えることが可能かと》


 連邦の要人とは、連邦議会の議員達だ。つまり、彼らの死は連邦政府に混乱を与える事になる。


「なら、逃がすわけにはいかないな。全部墜とそう」


 そして、連邦の要人達は基本的に艦の見た目にこだわるため、性能や船員のスキルはお粗末なことが多い。つまり………


『や、やめろ!来るな、来るなぁぁぁ!?』

『私は連邦議会の1等議員だぞ!や、やめ……ギャァァァァ!!』

『こ、こんな、こんななにもない所で私が、嫌だぁぁぁぁ!』


 このようにロクな抵抗もできず、レイジとインサニティによってどんどん轟沈させられていくという地獄のような光景が起きるのだ。全部で21隻、それも全て巡洋艦以上の大きさの艦にも関わらず、インサニティには一発の対空砲弾も当たっておらず、向こうはもう7隻しか残っていない。


「やっぱり弱すぎるな。話にならん」

《AIによるロックオン機能が使えませんからね。そろそろ砲撃手の育成を始めても良いと思うのですがね》


 地獄を作り出している一人と一機は呑気なものである。なんせ砲撃が明後日の方向に飛んでいくのだ、暇でしかない。そしてついに……


『や、やめっ』

「しらん」


 ブレードにブリッジを両断され、さらにジェネレーターにも大きな損害を負った最後の戦艦も爆沈、要人の艦隊は、大量のスペースデブリを残して全滅した。


「こんなにスペースデブリを残してくれるなんて、要人サマサマだな」

《素材だけは1級品どころか、特級品ですからね。たくさんの資源が採れそうです》


 死亡した敵国の人々の断末魔や命乞いをすっかり忘れ、スペースデブリから回収できる資源に思いを馳せていたが……前線から通信があった。


『おい!単騎突撃しやがったバカども!敵艦隊がケツを捲って逃げ出しやがった!駆逐艦隊は弾薬切れだ、ちょうど良いからお前らで始末しろ!指令部、アウト!』

「はっ!?」


 とても一方的な通信だった。


「…………ふざけんなぁぁ!?」





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