闇と薬
秘薬の調合が終わり、ひと段落したと思っていたのに、何やら天界が騒がしい。
...え?また騒動?ホントにやめてくれ。
何やら指示を出してこの場をまとめている人がいたので何があったのか聞くことにした。
「何か事故でも?」
「いや、どうやら闇の軍勢が現守護神が不在のうちに、光の国の支配を目論んだようです」
「なんですって..」
もう騒動の範疇で収まることではない。これは戦争だ。
私は、どうにかしてここから国を守る方法はないのだろうか?と考えてみるが、まったく思いつかない。
...この魂の状態で戦えるのは一時間しかない。その間で戦争を止められるわけがない。
私は自分の無力さを思い知った。いくら力が強くとも目の前にある大切な人たちを守れないことが悔しかった。
...どうしたら、国を守れる?どうしたら、大切な人たちが傷つかずに済む?
頭の中でぐるぐると考え続けた。でも、どうしても思いつかない。
サイドテーブルにはまだ未完熟の秘薬が置いてある。
秘薬は作った後に丸一日熟成させなければならない。
未完熟のままで飲むと、効果がうまく表れなかったり、おかしなアレルギー反応を引き起こすこともある。
私が神の秘薬を作った理由は、神の秘薬さえできてしまえば、すぐに現世に戻ることができる。
現世にさえ戻れれば、愛しい人たちに会ったりすることも、自分の好きな本を読んだりすることもできる。
逆に言えば、天界にいては何もできないということだ。
私はふと窓の外を見る。
そのとき天界の雲の隙間から見えたのは、
光の国に侵略してきた闇の軍勢たちの姿だった。
私はそれを見るなり、未完熟の秘薬を握って駆け出していた。




