記憶の聖霊 クリス視点
此方がやや劣勢の状態で、闇の女王との闘いは続いていた。
「くっ...」
「キャハハッ!」
ソレイユの顔でその声を出すのはやめてほしい。憎たらしくて体を突き刺したくなる。
だがあくまでも憑代にされているのだ。もし俺が体を突き刺したとして、闇の女王が抜けたら、ソレイユはその場で死んでしまう。
闇の女王であり、ソレイユの身体でもあるのだ。
「そろそろめんどくさくなってきたからぁ終わりにするわぁ」
そういうと闇の女王は、闇に染まったクリスタルランスを空に掲げ、ソレイユの莫大な魔力を利用して、魔力球を作り出した。
「この世ごとね!!!」
そういうと、闇の女王はクリスタルランスを降ろした。
そうするとゆっくり、魔力球は隕石のように落ちてくる。
...まずい...これじゃあ楽園が...
ギン!!!ガン!!!
その時だった。
魔力球を打ち消そうとする二つの力が現れた。
「父様、ここはお任せくださいませ!」
「父上は早く母上のもとへ!」
「だが...」
それではマティとフォトスが死んでしまうではないか、と言いかけたが、何とか抑えた。
なぜ抑えたのかは知らないが。
「私達は、母様からもらったお守りがあります!」
「これがあれば死を免れられますから!早く母上のもとへ!」
「...わかった」
息子たちの覚悟を無駄にするわけにはいかないと思い、俺は走り出した。
闇兵が襲い掛かってきて、まったく進めない。
俺がふと上空を見ると、
上空から魔力球が降ってきていて、俺の周りの闇兵を消し飛ばしたのだ。
「ほらほら養父様、愛する養母様のところに早く行ってらっしゃい」
「君は...」
養女のランプルといった子だっただろうか。
まさか彼女が来てくれるとは思っていなかった。
類稀なる魔法の才能を持ち、王族の養女として認められた子。
貴族の間では、『輝きの子』と呼ばれる。
「ほら早く!」
「わ、わかった」
彼女が作ってくれた俺が通れるぎりぎりの隙間を通って、俺は闇の女王のところへと一気に近づく。
まさかこんな時に自分の二つ名を信じたくなるなんて思ってもいなかった。
彼女の体が記憶を思い出せば、きっとソレイユも戻ってくるはずだ。
...待ってていてくれ、俺のソレイユ。
俺はそう心に誓いながら、優しいソレイユのもとへと向かった。




