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果て

里は、ほぼ全滅と言っていいほどの状況だった。


「うそ....でしょ?」


私はショックが大きすぎて、現実を受け入れられなくなっていた。


阿鼻叫喚状態の里は、もう里ではなくなっていた。


あちこちに狐竜たちの血肉が飛び散っている。


中には皮を引き裂かれ内臓が見えている者もいた。


...そういえば、レインはどこ?


「レイン!レイン!」


私はレインを呼ぶが、返事がない。


...まさか....


その時、森の奥にある草むらがガサッと音を立てて揺れるのが見えた。


「レイン!?」


そこに向かい、あったのは




黒獣に痛めつけられ、ほぼ瀕死状態となったレインだった。


「い...い..や」


黒獣がレインを食おうと迫る。


「いやぁぁぁぁぁ!!レイン!!」


その悲しいような悔しいようなよくわからない感情はすべて魔力と化し、そして聖水となった。


その聖水は、黒獣のみを消し、レインの傷を癒した。


私はすぐにレインに駆け寄ると、癒し魔法をかけ始める。


「う、うぅ」


「レインしっかりして!」


「ソレ...イユ?」


この時の私は気が付いていなかったが、この一回だけ、レインは私のことを「ソレイユ」と呼んだ。


「も、もう大丈夫」


「ほんとに?」


「ほんと」


「...そう」


そういうと、レインは立ち上がり里のほうを向く。


「っ....こうなることは覚悟していたが.....実際になるとここまでつらいものなんだな」


「でも、全員まだ息があるから、何とかなるかもしれない」


「やってみよう」



私は手に魔力をため、魔力球を作り、それを限界まで凝縮して空に投げる。



「光の祝福を」


光の祝福には、どんなケガも直し魔力も回復してくれる、すごい祝福である。


だが、間に合わなかった者ももちろんいた。


...犠牲者、6匹。


もう二度と戻ることのない命が安らかに天に帰ることを願い、私は小高い崖に上る。


そして狐の姿に戻り、息を吹き返した狐竜たちと共に、


「きゃぅぅぅぅぅぅぅぅ......!」


魔力を込めた遠吠えをした。


...どうかこの声がもう二度と戻らぬ彼らに届きますように。


私は少し曇ったような気持ちのまま、宿に帰るのだった。



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