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敵襲

そして、レインが戻ってきて口にした言葉は、


「黒獣が大量に迫ってきてる」



「嘘...」


黒獣というのは、闇によって作り出された魔獣であり、私でも30体相手にするのが限界だ。


「何体ぐらいかしら」


「ざっと120体」


「...」


その数字を聞いて私は言葉を失ってしまった。


...一体来ただけでも大人の狐竜が3匹犠牲になったていうのに?


「その黒獣たちは、きっと私が目当てよ。だから、私が移動したら軍隊も動くかもしれない」


「だめだ。あいつらは光に飢えている。一つの大きな光よりも、小さくても大量の光を狙いに来る」


...じゃあどうしたら...


「正面突破...?」


私がそう呟いたら、レインは


「それしかねえよ。みんな!!黒獣の襲来だ!!!もしかしたら里が滅びるかもしれない!!

子供たちを陛下の城へと避難させるんだ!!今回は大群で来ている!もしかしたら妖霊山が持たないかもしれない!早く!!」



「お母さん!やだ!」


「ごめんなさい、お母さんは行かなくちゃいけないの」


「お母さん!やだぁぁぁ!」


狐竜の子供が泣き叫びながら両親を呼ぶ姿は、昔の私と重なった。


...ごめんなさい。私がもっと強くて、この軍を一網打尽にできるぐらいの力があったら、あなたたちにこんな思いはさせず済んだのに。


「...行ってくるわ」


「...気をつけろよ」


私は地面を蹴って飛び立った。


上空に上がった私は、回復薬を片手に呪文を唱える。


光の(プラカーシ・)(ノーヴェル)


唱えた瞬間回復薬を飲み、地上の様子を見る。


いくら魔力は無限とはいえ、大量消費はきついのだ。


...意外と効いてるかも?


と思ったのもつかの間、新しく黒獣が生産されて行っている。


...全部の黒獣を消し飛ばさなきゃいけないのか。


かといって魔力球を使うわけにはいかない。彼らの里どころか、妖霊山自体が吹き飛ぶ。



...このままじゃ彼らに何も恩返ししないまま里は滅びちゃう...どうすればいい?


私の目からは涙が溢れ、それが頬を伝って落ちた。


その落ちた水が黒獣の中に落ち、黒獣の体を溶かしたのだ。


その瞬間、私ははっとした。


...そうだ、聖水を使えばいいんだ。


水の聖霊の力を借りれば、聖水など無限に生産できる。


「水の聖霊よ!我に力を与えたまえ!」


その言葉を発せば、私の周りには階級関係なく聖霊たちが現れる。


バヴィタラ―(聖水召喚)!」


私の足元にとても大きな水球が出現し、その水球は黒獣たちに向かって落ちてゆく。


「ギャァァァァァァァ!!!」


地上で黒獣たちの断末魔が響く。


....この声、どこかで....


私がそう思った瞬間、まるで思い出すなというように頭痛がした。


...黒獣たちは殲滅したから、里に戻らなくちゃ。


満月が満ちる夜空のもと、里に戻っている私はまだ知らなかっただろう。





満月の日に、母様が死んでからいいことなんてほとんど起きていないということを。



次回は、残酷グロデスクな表現がありますのでご注意ください。

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