華麗な逃走劇
「きゃうっ!きゃう!」
廊下に狐の声が響く。
...放せ!放して!
私はクリスにつかまっているのだが、クリスの捕まえている手の力が強すぎる!
...こうなったら!
「キャウゥゥゥゥゥン....!」
魔力を込めた遠吠えを放つ。
そうしますと、私の体がふわりと舞いあ...がらない!?
「すでに、魔法不可結界張ってあるから、無駄な抵抗はおよし?」
クリスが笑顔で言う。だがその眼は絶対笑っていない。
...うわぁぁぁぁぁぁぁ!このままじゃお仕置き受けなきゃいけないじゃん!
ぐぬぬぬ。と思いながら、私の中に一つの言葉がよぎる。
...最終手段だっ!
私は頑張って手を伸ばして、結界に触れる。
...ジャブ・アキ―ス!
バキッ!バリバリバリ!
「なっ!?」
ジャブ・アキ―スは、結界を壊したり魔力球を消したりすることができる魔法で、魔法不可結界の中でも発動できる。
だが、デメリットを上げるとしたら、2~3分は魔法が使えなくなることや、その対象の魔法に触れてなくちゃいけないことだろうか。
...今のうちだっ!
私はクリスにもう一度結界を張られないように素早く逃げた。
「こらっ!待て!」
しばらくクリスと逃走劇を繰り広げていた。がもうそれも終わりだ。
クリスが追いかけようとしてくるが、もう遅い。
...もう目的地の窓辺に着いちゃったもんね。
私はそこから飛び降りて逃げようとたくらんでいる。
「まさか、そこから飛び降りて逃げるつもりか!?」
「正解ー」
クリスが私を捕まえようとするが、その時すでに私の体は空中にあった。
すぐに浮遊魔法を展開し、私はふわふわと空を飛び始める。
そして、このスピードでは追い付かれてしまうので、
「風の聖霊よ」
そう呼びかけると、
ヒュォォォォ
不思議な風が私の周りに渦巻き、スピードを上げてくれる。
後ろを振り返ってもなにも見えない。
私はそのまま、入ったら二度と出られないと言われる、
『妖霊山』
に向かった。




