家族
「懐かしい...」
彼女はとても悲しいようなさみしいようなオーラをまとっていた。
「でもなんで家族がいないんだろう」
「あなたのお葬式をやってるのよ」
「えっ...わがままで申し訳ないんですけれど、そっちに行きたいです」
「そういうと思ったからもう瞬間移動できるようにしてあるわ」
「流石守護神様」
「はいはい、お世辞は良いから行きますよ」
「本心で言ったんですけどー」
パチン。
指を鳴らし瞬間移動をする。そうすると葬式場に着く。
「こんな立派なところでやってるんですね」
「まあ、普通なんじゃないかしら」
「ふーん」
「さあ、家族にかけるお別れの言葉を考えておくのね」
「...」
私はこれ以上踏み込めなくなる、物理的にではなく、彼女やその家族の精神状態的にだ。
「いってらっしゃい」
「...はい」
―――――――――<ランプル視点>――――――――――――――――――
私は震える心を抑え込み、家族のいる場所へと歩みを進める。
そして、家族に話しかける。
「お母さん、お父さん、陸翔お兄ちゃん」
「る、り?」
お母さんは目を見開き、姿の変わってしまった私を凝視する。
「もし誰かが成りすましているならただじゃ置かないわよ」
...相変わらずお母さんは攻撃的だなぁ。
「姿は変わってしまったけれど、せっかく会えたから最後のメッセージを送ります」
「お母さん、お父さん、わがままだった私をここまで育ててくれてありがとう。
よく小さいころに駄々をこねた私をやさしくなだめてくれたよね。
猫をかばって車にひかれるっていうあっけない23年の人生の終わりではあったけれど、
今までありがとう。」
私は一度深呼吸をしてからもう一度言葉を発する。
「陸翔お兄ちゃん。私、昔はお兄ちゃんのこと嫌いだったの。意外じゃなかったとは思うけど、ちっちゃいころによくお兄ちゃんにものを取られてたから、そのせいだったのかもしれないね。でも、別の世界に来てから、たとえどんなに嫌いでもやっぱり、お兄ちゃんがいないと寂しかった。今こんな状態で言うのも申し訳ないけど、ごめんなさい。そして、ありがとう。」
ちらりと、陛下のほうを見ると、ジェスチャーで『もう時間がない』と言っている。多分嘘だ。
「もう時間がないみたい。これで本当にお別れ。またいつか、どこかで会えたら、
地球でやったように一緒に笑って、一緒にご飯を食べて、一緒に寝よう?
もし身分が違っても、きっと会えるよ。私たち家族なんだから。」
私の目からは、大粒の涙がこぼれていく。そして、私の体からは光の粒子が出で来る。
...あぁ。泣かないって決めてたのに。…..最後に一言言わなくちゃ。
「今までありがとう。そしてさようなら。大好きだったよ。お母さん、お父さん、陸翔おにいちゃん」
その言葉を最後に、私の体は光の粒子となった。
次に目を開いた時には満点の星々が輝く、宇宙にいた。




