平民の町にお忍びで行こう!大作戦 2
その女の子は、狐のようなフワフワの耳に、しなやかな猫のしっぽを持った獣人だった。
「何をしているんですの?」
私は変声魔法を使って、守護神とばれないようにしている。
...た、多分ばれてないはず。
貴族の男は、不機嫌そうな顔をした後、いくら変装をしているとはいえ、それなりに整った(モルフィーが言うには)私たちの顔を見て、不気味な笑みを浮かべた。
「なんだ、こいつよりもいい女が二人も釣れたじゃねえか、おい貴様ら、俺の愛妾になれ。これは侯爵家当主の命令だ」
...なんだこいつ。殺していいかな?
魔力は抑えているがモルフィーもだいぶ怒っている。
…私は短気なので、最初から脅しに入ります!!
変声魔法を解除し、内へ内へと押し込めていた魔力を解き放つ。
「ほう。妾にそのような口を利くとはいい度胸だな、侯爵家ごときが」
「ひっ!何者だ貴様!」
ほんのちょびっと魔力を出しただけでこんなにビビるとか、ただのチキンじゃん。
(陛下のちょびっとは、全然ちょびっとじゃないです。byモルフィー)
私は髪を金髪に戻し、眼も顔立ちも服装もすべて元に戻した。ただし周りにはしっかり結界を張っているので、通行人などには私たちの姿は見えていない。
「なぜあなた様がこんなところに...」
「罪は後でしっかり償ってもらおう。もちろん、先ほどの言葉も含めて、な?」
「それだけはご勘弁を!!陛下ぁぁぁぁぁ!」
...うるさ。猿かよ。
あまりにうるさいので、魔力で軽く首元を叩いてあげましょう。そうするとあら不思議、クソ野郎は気絶しました!こいつの処理は終わったので、獣人ちゃんの様子を見ましょう。
...え、待ってちょーかわいい。
恐らくこの子は、箔猫獣人だろう。
白い髪の毛に少しだけ金色の毛が混ざっているのが名前の由来とされている。この近くに集落はないので、どこかの奴隷商から逃げ延びてきたのだろう。
「た、助けていただきありがとうございました」
「いいのよ、ところで貴女、両親はいる?」
「いえ、私は貧民街の出なのでいません」
「じゃあ私の家においでなさいよ」
「へあ!?!?」
「陛下?????」
うん。まぁそうなるよね。ついでにモルフィーも「何言ってんだこの人」って顔してるし。
「…ゴホン、陛下、そろそろ帰らないと亭主がお怒りになられますよ」
「あ、アハハ...」
…やばい。乾いた笑いしか出ない。
獣人の子は少し考え込んだあと、ばっと顔を上げ、
「お、お言葉に甘えさせていただきます!」
と、答えてくれた。
「えぇ、我が家にいらっしゃい」
「陛下、急いで帰りましょう」
「そうね、空でも飛ぼうかしら」
「え!?」
その日、可愛いい子供の叫び声が空に響いたとさ。




