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闇のかけら...?

私とフォレストは、モニーさんが言っていた『闇のかけら』らしきものを回収するため、空を飛んで『へイネスの森』という場所に向かっていた。


「フォレスト、見えてきたわよ」


「ホントだ―」


眼中にうっそうとした木々が連なる森が見えてきた。


そしてへイネスの森に近づくにつれ、闇の属性を感じるようになってきた。


「闇の属性が強くなってきたね」


フォレストが真剣な顔で言う。


フォレストは特殊体質で、シャイニー家の中でも一際闇に敏感だ。探知レーダーのように私は使わせて(パシリにさせて)もらっている。


「ソレイユ、あれじゃない?」


フォレストが指をさしたところを見てみると、確かにそこには闇のかけらのような黒い結晶があった。


…少し魔物がいるね。闇には魔物を引きつける特性でもあるのかな?今度あの人たち(月の一族)にでも調べてもらおう。


「フォレスト、殲滅の用意は―」


「久しぶりに暴れられる!!ひゃっほーい!!」


その楽しげな声の直後に、地面が割れる。


こうなってしまったらもうダメだ。このハイテンションフォレストは止まらない。オーバーキルしすぎて魔物が可哀想になるぐらいにはボコボコにしてくる。


このままだと闇のかけらが危ないし、最悪の場合ヘイネスの森の生態系を崩しかねないので、制止に入る。


「フォレスト、止まりなさい」


私がそう発すれば、ピタリと動きが止まる。


「なんでよ〜」


「闇のかけらもろとも壊しそうだったから」


「ちゃんと気を付けてるって〜」


そんなフォレストに呆れを表しつつ、かけらを回収するため亜空間収納から闇を通さない分厚い布を取り出そうとした時、ゴゴゴゴゴ、と大きな地鳴りがした。


硬い岩が大量に割られるような音と共に姿を現したなら、姿を顕にしたのは―


「グルァォォォォン!!」


―土石竜、すなわち地下深くに住むドラゴンである。


…フォレストの攻撃に引き寄せられたか、はたまた闇のかけらの仕業か。


本来ならば生態系のためにも、殺さず地下に帰すことが最善策なのだが、今はそんなことをしている場合ではない。


土石竜による地割れで闇のかけらが行方不明になってもらっては困る。


「現れてもらったとこ悪いけど、今は君に構っている暇は無いんだ」


私は闇のかけらから目を離さないようにと竜に背を向ける。勿論竜がその隙を狙わない訳もなく、巨大な爪で私を切り裂こうと大きく振りかぶる。


光の裂け目(ファリグマ)


一瞬現れる白と紺色の光に、竜は悲鳴をあげる間も無く地面に倒れる。


「さっすがソレイユ!私が手を出すまでもなかったね!」


「元から手を出すつもりなんてないでしょう?土石竜が出てきた瞬間憐れんだ目で見てたじゃない」


「そんなことないよ〜」


気を取り直して布を取り出し、闇のかけらを布越しにつかんで少し観察する。


…黒曜石みたいな見た目だね。こうしてみると案外綺麗……ん?なんか光って…?


ドカアアアアアアアアアン!!



「うひゃっっ!?!?」


「?!?!?!?!?」



なんとなく爆発する気はしていたが、素っ頓狂な声が出てしまった。


...誰も見てないよね。うん。私が今まで培ってきたお淑やかな守護神のイメージが崩れてしまうところだった。危ない危ない。


フォレストはまだ目を白黒させている。


「はぁ~ びっくりした。フォレスト、大丈夫?」


「う、うん大丈夫」


流石にあのフォレスト(肝が据わってる人)でもびっくりしたようだ。


また爆発しないよな…、とちょっとビビりながらも闇のかけらの回収に成功し、私たちは帰路に着いた。


「あの爆発で寿命縮んだかも」


まだ若干心臓がどきどきしているらしいフォレストが少し笑いながら言う。


「シャイニー家一族は不老だから関係ないでしょ」


私がそういうと、フォレストは不満げな顔をする。


「ノリ悪いよ、ソレイユ」


「ごめんって」


その後、フォレストが下町に用があると言うので、用が終わるまで空中で待ち、戻ってきたフォレストと2人でわが家へと帰った。


城に帰ってきた後、持ち帰った闇のかけらを一応鑑定してみた。


鑑定結果


『闇のかけら(威圧用)』


・闇の属性を含んだ魔石


・光を持つものが近づくと爆発する。



...え?それだけ?


闇の属性があるというだけでも十分危険だが、まさか威圧するだけのものだとは思わなかった。


だが、魔物を引き寄せるなどの項目がない為、闇と言う属性に何かしらの原因があるのかもしれない。


「はあ...疲れた」


今日だけでもかなり疲れた。


...今日はよく眠れるといいな。


私はそのまま眠気の海に身を任せた。






ソレイユが寝ようとしたときには、フォレストは爆睡していたそうです。(執事情報)

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