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知ってた?魔王はキレると世界を壊したくなるんだよ


「モテモテなんだねルークは。」


私にはコスプレ車掌を寄越して自分はハーレム形成ですか。そうですか。



「ご冗談を。モテモテの人気者は魔王様ですよ」

「ん?」

「一途に愛される魔王様の魂の美しさに、皆さん憧れているのですよ!」


え?分かりにくい。私も一途に想われたいって気持ちでルークに憧れるんじゃないの?結局タマシイか、また。


「地界におりられてから魔王様が戻られるまでのお話を、皆さんお聞きになりたいのですよ」


「ふーん」


私の話をルークから聞くんだ…


「そのようにご自身の事に興味がなさそうな顔されてますが大変だったのですよ!」

「大変?」

「魔王様は以前の記憶がないと8神様に知られてしまいまして、皆さんが再度求婚する、と大騒ぎでやっと収まったばかりですのに…」


「ほ?…きゅうこんというと結婚してくださいの求婚?」

「そうです!直接会って預かられていたお力を返すと皆さん譲らなくて!ケダモノですよ本当に!!」

モモは顔を真っ赤にして必死に言い募る。

こんな子の口からケダモノなんて聞くとは。


モモの言う通り、私には魔王だった記憶がない。世界の成り立ちは理として魂に刻まれたが、それ以外は分からない。


「魔王様をおさえられる今の内に、自分のものにしようとしていたのです。8神様全員が。」

「え、意味わかんない」


なんて、嘘です。よーーく分かってる。この世界は魂至上主義だ。


どんなに見目が良くても性格が良くても、魂に輝きがなければ無価値。

そして私の魂の輝きは唯一無二と言われている。だからルークも私と一緒にいるのだろうけれど。



「魔王様を手に入れられれば次の異世界神になれますからね。必死ですよ、8神様たちは。」


…あれ?ここにめっちゃ黒いモモがいる。やはり純真な悪魔は存在しないのか



「…異世界神は8神の母親って聞いたけど」


この異世界、8神より上がいる。実は8神は兄弟で異世界神は母親。その母親が頂点だ。


「そうですよ。今はそれぞれに世界を与えて誰を後継者にするか見定めているところらしいですね」



(子供に世界与えて、とか悪趣味としか思えない。誰の嫁にもなりたくないし母親も関わりたくないタイプだわ)






*****



食事を終えて落ち着いた頃、次の目的地の信の神の世界に到着した。




結論から言うと、めちゃくちゃ焦った。信の世界、二度と来ない。




他の世界はスタンプが置かれているところは誰一人いなかった。見張りすらいなかった。

それは神同士で決めたルールなのだろうし、私も気楽でありがたかった。

ちょっとスタンプラリー楽しんでたし。



だけど信の世界は違った。


特急から降りてすぐ、ローブで顔を隠した者が5人待っていた。


何もされていなくても、顔を隠している時点でアウトだ。私は咄嗟に彼らに手をかざし結界で囲い込む(幸運なことに、忠の世界の神から返された力の中に強力な防御魔法があった)


「明らかに怪しすぎでしょ。もうちょっと考えなよ」


彼らを結界に閉じ込め身動きも封じる。そのままスタンプ台に向かうが、スタンプが置かれていなかった。



「そーいう手を使うのはナシだわ」


私はフゥと息を吐き

「ねぇ、この世界、今すぐ壊すよ?」



特定の者に向けて言ったわけではない。


誰も聞いてなくても良かった。


魔王の本能は壊す事を求めている。


もっと力を使え、と。魂の奥底から。



身体が熱をもって臨戦態勢に入ろうとしていた。


ーー待て待て待て待てーい!落ち着け、私!!


魔王の本能怖すぎるよー!


マジでヤバイ、どうしようどうしよう



「やばい壊しちゃうよーーーー」




半泣きで身体を震わせていると、「悪かった」とこちらも焦ったような男の声がした。



その後は私も身体の熱は引いて、スタンプもいつのまにか用意され、儀式はあっけなく終わらせる事ができた。



声を聞いたのはあの一言で、姿も見せなかったが、信の世界の神だろう。信の神、ダサい。全部がダサいわ。




・信の世界でスタンプ押す→ビビって承認

[信の世界]

・文明の発展を途中で止めている

・公開処刑が横行


〈縦ロールより強い警告文〉 呪術者が多く危険が伴う。行くべき世界ではない。魔の者が行けたなら嘆きの丘で青の玉を見つけて拾ってほしい。これは私と仲間からの願い




ーーむっちゃフラグくさい。

嘆きの丘とか名前からしてヤバイ匂いしかしないし、そんなとこ行かないよ?

それに知ってるからね。青の玉は精霊王の魂でしょ。そんな大事な事を黙ったままメモ書きで願う? だったら私もずっと知らないフリするね。



だから、ここへはもう来ない。






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