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縦ロールはやはり残念な子


『そろそろ着く』

「やっとかーー」


そこまで長旅ではなかったはずだが、長く感じた。風景のせいで。


車窓から見える風景は延々と海。

青い穏やかな海ならまだ許せるが、ずっと時化だった。


特急だから誰も乗らないと思って手を抜いたに違いない。

銀河鉄道だったらきっと途中下車のオプションとかあっただろうに…



『着く前にこれを渡しておく』

ルークが手渡してきたものは、しおりと大きく平仮名で書かれた手作りでA4サイズの冊子。


「…まさかこれ書いたのルー…」

『阿呆、仁の精霊だ』

「じんのせいれいって何」

『仁義の仁と書く。ああ、お前は縦ロールと呼んでた』

「蛇神様のところのヒトエちゃんだよね。仁の精霊って呼ばれてるの?」


『…異世界は8神が統べる世界で、その中の1つが仁の世界だ。そこから来たから仁の精霊と呼ばれる」


「ふーん…なんか異世界、面倒くさそう」


『わざわざ覚えなくていい』


「覚えなくていいの?」

『あとで嫌でも覚える』

「そうなの?」


『仁の精霊はお前が異世界を観光したいだろうと予想してしおりを渡して来た』


「さすが縦ロール。分かってるね」


私はウキウキして手にしたしおりを開いてみると、全てひらがなで書かれている。

字を覚えたての幼稚園児のような…


「ほんと意外性ありすぎるわ、縦ロールは」


『見た目は子供の落書きだが、中身はちゃんと書いてあるから参考にするといい』


「うん…えっとー ーぎのせかいはよしおのうまれたせいなるばしょであり……」

『そこ以外はまともだ』




*****


ルークと和気あいあいとしてたら風景が駅のホームにかわった。


「着いたぞ」


あいかわらず日本の駅のコンセプトなのか、ただの国内旅行をしている気分。


ーーなんて呑気な気分は特急を降りるまでだった。




特急から足を踏み出してすぐ、床に横一列に額ずく存在が目に入った。

(なんで土下座?)


私がマゴマゴしていると、ルークはキャリーケースを2つ抱えて出てきた。

『お前、荷物を忘れるなよ。』

「ルーク…なんか降りたら土下座してるんだけど何」

『阿呆が普通に考えて魔王が来たからだろうが』


「えーーーまだ普通の人間なのにっ」




ルークが特急を降りると、特急はあとかたもなく消えた。


すると、額ずいている中で1人だけ顔を上げた。

初の異世界人との対面!!ってテンション上がったけど、またしても馴染みのある日本人顔で大人っぽいお姉さんだ。




「はじめまして、魔王様。わたくしは礼の国で

通訳をしております、田辺祐美と申します。これから魔王様は理の陣に入っていただきます。よろしいですか?」



お?たなべゆみさんは日本人だな、多分。ことわりのじんって何だ?断り?なんか断られるの?着いたばっかなのに?



『何を考えてるか丸わかりだが違う。陣に入ればこちらの言葉や文化、8神のことも全て分かるようになる』


「ほんとに?異世界は便利だね。いいよ、陣にはいる。」


言うが早く、田辺さんの横の人が立ち上がり、何やらブツブツ呟くと、地面から青い光が浮かび上がる。



これは!!みんなの憧れ、魔法陣だ!


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