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満を持して女雛


艶やかな声の主を見て驚いた。



ここにきて女雛!!それも迫力の等身大。


多分じゃなくてもお内裏様とチビひな軍団繋がりだと思う。



『何しに来た』

ルークにしては珍しく声色が硬い



「うちの子たちが粗相をしたって聞いたからお詫びに来ただけよ。あいかわらずすぐ噛み付いて成長しないわね」


「い、いらっしゃいませ」

とりあえず笑顔向けとこう。




「初めまして。わたくしは蛇の者です。

ヒトエとヨシオ達がご迷惑をおかけしました」

女雛は優雅な仕草で頭を下げる。



蛇の者って蛇神様…かなぁ

わざわざ聞かなくてもヒトエは縦ロールでヨシオはお内裏様だろう。名前が付きそうなのあの二人くらいだし。




「迷惑なんてとんでもないです。私の方が迷惑をかけましたから。あと、兄を預かっていただいてこちらこそすみませんっ」

私はあたふたと返事を返す。


「おや、何も聞かなくても分かったのかい?小さいのにお利口さんだね。甘いものは好きかい?」


蛇神さま(これは私が勝手に呼んでるだけ)は、後ろに従えていた男(これも等身大の衛士、涼しげなイケメン)に手のひらを向けると、男は何やら和紙に包まれたものを手に置いた



「こんぺいとうだよ。店番が疲れた時にお食べ」


え?もしかして子供だと思われてる?


「あの、一応わたしはもうすぐ成人なので子供ではないのですが…」

「ああ、これは失礼しました。わたくしほど長生きをすると、小さきものはつい子供扱いしてしまう。」


反省してるのかしてないのか微妙なコメントだが、ここは私が目をつむろう。




「この男の一途さは嫌いじゃないが、あいかわらず女心がちっとも分かってない。魔王さんもそう思わないかい?」


魔王さんって私の事だろうなー

やだなー返事したくないなー


「人の心は難しいですね〜 あっ!女心と言えば、縦ロー…ヒトエさんだけ格好が違ったのは何故ですか?」

必殺、適当に返事して話を逸らす作戦だ!



「やっぱり気づいたかい?ここだけの話、ヒトエはヨシオにほの字なんだよ」

え?表現は古いけどほの字って惚れてるってことだよね?縦ロールがお内裏様に惚れてるの?


「逆、ではなくて?」

私の返答に蛇神様はニンマリと笑みを浮かべる。

「と、思うだろう?ヒトエのほうがベタ惚れさ。」

「えー!でもヒトエさん、お内裏…ヨシオさんの事いじめまくってましたよ!」

本当にボコボコにされていた。あそこに愛があったの?


「馬鹿だねぇ。ヨシオがそういう行為が好きだからヒトエは全力で演じてるのさ」




え…なにそれ、縦ロールのキャラ作られたものなの? あの陰険ぽいお内裏様のために?


「なんか、知りたくなかったです…」


「ヒトエが健気で可愛いじゃないか。本当は女雛はヒトエだったのに、あの子は照れてねぇ。」

「照れる?」

「仮装でも夫婦役は恥ずかしくてできませんって真っ赤な顔して逃げ回るから可愛くてねぇ」

「それは可愛いですね。」


「ヨシオも満更じゃないだろうが、ヒトエは本物ではないからねぇ」

「本物…というと」

「ヨシオは本物の女王様とやらを探し続けていて、なかなか諦められないようだ…」



(ヨシオォォォォ調子にのってんじゃねぇぇ)




『くだらない話はそこまでだ。早く帰れ』

今まで静かにしていたルークが話を切る。


「人が恋バナに盛り上がってたのに無粋だねぇ。あんたは魂バカだけどそこに人格がある事を忘れるんじゃないよ。」


『意味が分からない』


「分からないのかい?お前も学ばないねぇ。せいぜい足掻きなさいな。あと魔王ちゃんが可愛いから加護をつけてやったよ。せっかくの祭りだし少しは楽しませてあげなさいよ」



蛇神さまは艶やかな笑顔を残し、衛士を引き連れ去って行った。

ていうか、理想の女王様って蛇神さまの事じゃないかな…だったら縦ロールは切ないな。




分かっていたけど、やはり蛇神さまは神さまだった。パスには白蛇と刻まれた。





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