その2 本当に、
その1、ご覧いただきありがとうございました(*^^*)
続きです!
「お兄様!また私宛のお手紙を勝手に開封しましたわね!?」
「いや、ユリア、ちがうんだよ。」
「何が違いますの?この綺麗な切り口、お兄様のペーパーナイフに決まっています。」
「流石ユリア、僕の持ち物がよく分かって…じゃなくて。ほら、心配なんだよ。」
「もう…もう!信じられないわ!」
私は怒っています!なぜなら、私の家族はみんな過保護で、私の自由を奪っていくから。
「これは大事なお友達が、旅行先での出来事を伝えてくれる大切なお便りですのよ。とても楽しみにしているのに、私より先に開封してしまうだなんて…」
「ごめんよ、ユリア。どこの馬とも知れない輩からのラブレターだったらどうしようかと思って、気が気でなかったんだ。」
「例えそうだとしても、お兄様には関係のないことですわ。」
ツン、とそっぽを向いて見せても、兄のソフィアはデレデレと眉を下げて謝るだけ。こんなシスコンの兄でも、王城の専門施設の一員を務め、数多の女性からアプローチを受けているというのだから世間はおかしい。真顔の時はテア家の一員らしい整った顔立ちなので、みんな騙されているのだわ。
「ごめんよ、大切なお手紙を開けてしまって。そうだ、ユリア、お詫びと言ってはなんだが、一緒に新しい便箋を買いに行かないか?もちろんエスコートするよ。」
「…お兄様が、私と出掛けたいだけではないのですか。」
「ユリアと一緒に出掛けられたら嬉しいよ。」
「…もう勝手に私の物に触らないと、約束してくださいますか?」
「ふふ、分かっているよ。」
決して約束する、とは返さず、のらりくらりと結局は私の意思を無視する。この兄と話していると、全てが暖簾に釘押しだ。私のことをまるで聞き分けのない幼女のように扱う。
うちの家族は皆過保護で心配性だ。
未子として存分に甘やかされている一方で、たくさんの制約も与えられている。
兄に手紙を勝手に見られるのなんて序の口で、朝目覚めたら母がベッドの縁で私の目覚めを待っていただとか、隣国の親戚の元で留学中の姉から毎週末贈り物が届くだとか、
ーーー社交の場には、参加させてもらえない、だとか。
14歳と言うと、お兄様は貴族の男子が通う学園に通っていたし、お姉様はお母様と共にお茶会や夜会に参加していたはず。
私だって、そろそろこの安全で甘やかな屋敷から出て、社交に励んだり、世間を知ったりしても良いはずなのに。
そんなに私、頼りないのですか?
その一言がどうにも口に出せずに、もやもやとした心地で過ごしている。
ソフィアお兄ちゃん(21)
愛の強いシスコンお兄様です。
がんばれユリアちゃん!