表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI  作者: Inoue
2/2

165

入社9年目にインターネットからホテルの予約ができるシステムが流行り始め、元々IT関連詳しめだった俺はすぐに飛びついた

自社システムではなく後に楽天トラベルが吸収した予約サイトで通称旅窓


その導入で関連ホテル全体の売上アップが評価され、東京の本社に来い、27歳で役員は前代未聞の大出世だと言われたけど、俺はベッドメイクのおばちゃんからフロントのやつらもエージェント(旅行代理店)も、地元の横つながりまでみんな大好きだから地元も現場を離れるつもりはないと何度も断った。


 これ書きながら嫁さんから何度も言われた自分の弱点を思い出した。


 嫁「優しすぎるんわかってる?」

 私「俺が?優しい?何の冗談だよw」


 仕事では厳しくて少しのミスも許さない。でも二度目のミスが起こらないよう、どんな小さなことでも同じ失敗をしないよう一緒に考えて実際にやってみせて、もう大丈夫と実感するまで付添ったことが何度もあった。


 おそらく一見冷たい、自分もそうだと思っていたけど、どんな人だろうと真剣に接客しているならば本人的には些細なミスのつもりだったのかも。意識の違いがあるのかと徹底的に接客、お金をもらえる大切さを細かく教えた。人間には時間が限られているのだからその1秒がどれほど大切なのかを中心に聞いてもらったら何か仲良くなってしまう。

 それが嫁に言わせると私が優しいから、らしい。



ある日、旅窓と競合する予約サイトの営業からメールが来て電話もして、あまりにも熱心なので感心して新幹線乗って会いに行ってみたら、美人とは言わないけれど、若いかわいらしい女の子が上司の課長と同席し、まさか私の方から来ると思わなかったらしくどぎまぎしていて俺のハートは撃ち抜かれた


半年後、初めて彼女の部屋で泊まり、朝飯の味噌汁を飲んだ瞬間「ああ、俺この人と結婚するんだな」って何の根拠もなく確信あり、その3ヶ月後に妊娠発覚、部屋泊の翌日に夜祭で電撃プロポーズしておいたから特に問題はなくデキ婚へ


 その前の日の夕食もよかった。まだ会って数回だから夜は気を遣って外食になるだろうと思っていたら、自宅アパートに招かれて残り物のクリームシチューを出してくれた。普通、客にこんなの出すか?と思ったけど、ああ、俺って客じゃないのか、この人にとってはもう身内なのか……と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ