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2.森の村 / グレイス

五日連続更新します。

「状況は分かった。誤解して申し訳ない」


 丁寧に説明すると、獣人の女性は納得して謝罪までしてくれた。


「いえ、こっちとしても理解できない話じゃないので」


 ここ一月ひとつきぐらい、彼女達の村では不気味なことが起こってたそうだ。数日おきに少しずつ人が消えているらしい。男も女も、大人や子供も関係なく。

 そんなときに、子供達がさらわれるという事件が起こったが、今回は偶然にも拐われる瞬間の目撃者がいた。今までの事件にも関わっているかもしれないと、犯人の追跡が行われる。

 そして、戦闘音を耳にして確認に来たところで俺達を発見した、というわけだ。


「最近は魔物の被害も増えていて、村の見回りに手が回らなくなっているのも確かなんだ。そんなことは言い訳にもならないと分かっているつもりではあるんだが……」


 ずいぶん厄介なことになっているんだな。場合によってはホラー案件じゃないか。


「そうだ、まだ名前も聞いていなかったな。私はグレイス。一応、狩人とか自警団……ということになるのかな」


「俺は改泉かいずみしゅう。集の方が名前で。えっと、特に仕事はしてないし……まあ、旅人……なのかな?」


魔導人形マギアドールのアテナと申します。シュウ様の護衛、道案内、その他雑務を行っております」


 今日始めて会ったんだから、まだお世話されてる実感はないけどな。護衛は別だけど。


「家名に従者か。もしかして、シュウは……いえ、シュウ様は貴族や何かでしたか?」


「いやいやいや! 別にそんなんじゃない。えっと……ちょっと説明は難しいか。とりあえず、俺はそんな大層な人間じゃないから。言葉使いも普通のままでお願いします」


 今更感はあるけど『侵蝕スル者(イロウシェン)』のことって秘密にするべきなのかな。最後の最後まで抱え込むのはロクなことにならないっていうのが鉄板だけど。流石に今言うことではないか。


「そうか。じゃあ私も自然体にさせてもらうよ」


 その一言を転機に、空気が僅かに弛緩したような気がした。もしかしたら、この世界は身分差が大きいタイプの世界なのかもしれない。


「これから子供達を村まで送っていくんだが、良ければ2人も一緒に来ないか? 子供達を助けてくれたお礼と勘違いしたお詫びがしたいんだ」


「そうだな……アテナはどう思う?」


「私はマスターの決定に従います」


 やっぱりそうなるか。でも、特に予定もないしな。せっかくだし、着いて行ってみるのもいいか。


「分かった。その招待、ありがたく受けさせてもらうよ」


 こうして俺達は、彼女達の暮らす村に向かうことになった。

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