5.勇者 / 出会い
今日中に5回更新予定です。
《???》
「父さーん! 大物獲れたよ! 見てこのデッカいイノシシ!」
『お前は朝から賑やかだな。……1人で仕留めたのか?』
「うん! まだ父さんみたいには行かないけど、これくらいなら!」
『そうか、もうそろそろ継承の儀を行っても良いかもしれん……が、お前の身体は我と異なるからな。修行を続けつつ、器の成熟を見極めようぞ』
「そっかぁ、まだダメかー」
『こればかりは、ただ鍛えるだけでどうにかなるものではないからな。気長に時を待てば良い』
「父さんの時間感覚は長過ぎるんだよ」
『そ、そうか? ……まあ、時が来るのはそう遠くないだろう。我の勘だがな』
「父さんの勘かぁ。五分五分って一番何とも言えない的中率だよね……」
◇◇◇
「人を探しているのですが、『侵触スル者』と言う言葉に聞き覚えのある方はいらっしゃいませんか?」
なんでこの人そのことを!? どこから情報を得たのか、何が目的なのか……。
「ああ、失礼しました。私はレイヴェオン王子のジスランと申します。こっちは私の従者のソフィ。古からの約束の下、『侵蝕スル者』討伐の協力を求めてここに来ました」
『侵蝕スル者』の討伐? それが本当なら味方ってことだと思うけど。
「データ照合確認。当時予測された状況の1つと一致します。グランドマスターの打った布石で間違いありません」
当時の予測とか布石とか、完全に理解できたとは言えないけど、アテナの判断なら信用しても良いだろうか。このまま隠していても話は進まない。名乗り出ることにした。
「その単語には聞き覚えがあります。お二人の目的は私達ではないでしょうか」
「そちらは……っ! まさか伝承にあった魔導人形!? ではあなたが異世界からの……!」
だいぶ事情は知られているわけか。敵に回ることはないと思うけど……。
「お時間は取らせません。一度お話させてもらえますか?」
「分かりました。こちらからもよろしくお願いします」
それから場所を変え、腰を落ち着けて話をした。アテナのグランドマスターは研究室を残しただけでなく、『侵蝕スル者』を倒す方法が作られるように各地に情報を伝えていたらしい。この時代まで情報を伝えてきた内の一つがレイヴェオン王家ということか。
「あなたの世界にも『侵蝕スル者』が……。この世界が襲われるのもそう遠い話ではなさそうですね」
「元の世界がどうなっているか不安ですが、確認のしようがないですからね」
考えれば考えるだけドツボにハマっていくようだ。
「そろそろ本題……といきましょうか。シュウさん、私たちと共に来て頂けませんか?」
「是非とも……と言いたいところですが、村の人達とも相談してから返事させてください。数日間とは言え良くしてもらったので」
「ああ、それは当然ですね。明日……いえ、この村に迷惑が掛からなければ2,3日待たせてもらいたいと思うのですが」
「そこも含めて相談してきます。待たせることになって済みません」
◇◇◇
村の人達からは快く送り出してもらえそうだ。まあ元々よそ者ではあるし、旅してるとも言ってあったし。歓迎するからまた来いよ、と言われたのはシンプルに嬉しかった。
しかしそんな中、唯一の異なる反応をしたのがグレイスだった。
「行くんだろう? 私も付いて行っては……いけないかな」
「来てもらえるなら嬉しいし、頼りになると思うけど……この村は大丈夫なのか?」
魔物とか野生動物への対処はグレイスが中心になっていたはずだ。その彼女が村を離れたら、何かあったときにマズいことになるんじゃないか?
「マスター、それでしたら転移陣を設置しては如何でしょう」
「あぁ、その手があるか」
文字通り、異なる地点を空間的に繋げるものだ。移動先は固定されるけど、距離に関係なく一瞬で移動することが出来る。許可を取る必要はあるけど、ここに設置しておけば、グレイスはもちろん俺やアテナも簡単に戻ってこれる。
「でもそれはそれで作業時間は必要か。やっぱりジスランさん達には待っててもらわないといけないな」
次は8:00に更新します。




